
執筆: Leverages Global編集部 (ライター)
特定技能の採用を考えていても、自社の分野が対象に含まれるのか、何から手をつけるべきなのかお悩みの採用担当者の方は多いのではないでしょうか。制度は毎年のように見直されており、対象分野は19分野に広がった一方で、外食業分野では2026年4月以降新規の受け入れを停止しているのが現状です。
本記事では、特定技能で外国人材を採用する流れと費用、採用後に必要な届出を、最新の制度運用に基づいて解説します。
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目次
この記事のまとめ
- 特定技能での採用は、要件の確認から就業開始まで6つのステップで進み、期間は3〜6ヶ月が目安である
- 受け入れ対象は2026年に3分野追加され、19分野に拡大した
- 外食業分野では受入れ上限に達し、2026年4月13日以降の新規受け入れが原則停止されている
- 企業には義務的支援10項目と年1回の定期届出が課され、支援業務は登録支援機関へ委託できる
特定技能は、人手不足が特に深刻な分野において、一定の知識や技能をもつ外国人労働者の雇用を促進するための制度です。基準を満たした外国人材が申請すると在留資格「特定技能」が付与され、特定の分野内であれば、ある程度幅広い業務に従事できるようになります。
ここでは、特定技能での採用が可能な19分野と最新の制度動向、在留資格の仕組みについて解説するので、受け入れを考えている企業の方はぜひ参考にしてみてください。
対象は19分野|2026年に3分野追加
出入国在留管理庁によると、特定技能制度が創設された目的は以下のように説明されています。
特定技能制度の意義は、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(以下「特定産業分野」という。)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することである。
出典:出入国在留管理庁「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針及び育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する基本方針」p.2
分かりやすくまとめると、日本人のみの雇用では人手不足が解消できないほど労働力が不足している業界で、ある程度専門的な仕事ができる外国人を採用しやすくするために作られた制度です。
特定産業分野には、以下の19分野が定められています(2026年8月時点)。追加された時期ごとに整理しました。
- 2019年の制度開始時からの12分野:介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
- 2024年に追加された4分野:自動車運送業、鉄道、林業、木材産業
- 2026年に追加された3分野:リネンサプライ、物流倉庫、資源循環
各分野の業務に関しては、分野ごとの所管省庁が管理をしています。対象分野は定期的に見直されており、2026年1月23日の閣議決定で「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が加わったことで19分野へと拡大されました。2026年6月よりリネンサプライ分野における在留資格の申請が開始されており、物流倉庫と資源循環については、省令等の準備が整い次第の受け入れ開始となる見込みです。
自社の事業が19分野のどれに当たるかを最初に確認することが、特定技能の採用の出発点になります。業務の一部が該当するだけでは受け入れられない場合もあるため、分野の区分と従事させたい業務の範囲を照らし合わせておきましょう。
外食業は新規受け入れが停止中
外食業分野では、2026年4月13日以降、特定技能1号の新規の受け入れが原則として停止されています。出入国在留管理庁と農林水産省が2026年3月27日に公表した措置で、特定技能制度の運用が始まって以来、受け入れ上限に達したことを理由とする停止措置は初めてです。
背景には、外食業分野での在留者数の急増があります。2026年2月末時点で約4万6,000人(速報値)に達しており、受け入れ上限である5万人を同年5月頃に超える見込みとなったためです。
具体的な取り扱いは、以下のとおりに定められました。
- 2026年4月13日以降に受理した「在留資格認定証明書交付申請」は不交付
- 同日以降に受理した「在留資格変更許可申請」は原則として不許可
- すでに外食業分野の特定技能1号で在留している人からの転職や「在留期間更新許可申請」などは通常どおり審査
- 技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)の修了者などは、受入れ見込み数の範囲内で順次特定技能1号(外食業分野)への移行を許可
受入れ上限は分野ごとに設定されているため、同じことは外食業以外の分野でも起こりえます。特定技能での採用計画がある場合は、上限に近づく前に動き出せるよう計画を立てておくことが望ましいでしょう。
在留資格は1号と2号の2種類
特定技能制度で日本に在留する外国人には、在留資格「特定技能」が付与されます。種類は1号と2号があり、1号で一定期間就労したあと、特定産業分野内のより熟練した技能を要する業務に従事可能と認められた外国人材は、2号への移行が可能です。
なお、「介護」「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の5分野は、特定技能2号では受け入れ対象外となっています。2026年に追加された「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野も、現時点では特定技能1号のみで受け入れ可能です。
それぞれの特徴を以下の表にまとめました。
| 特定技能1号 | 特定技能2号 | |
| 在留期間 | 通算5年まで | 3年・1年・6ヶ月(更新制限なし) |
| 技能 | 一定の専門性・技能を有する | 熟練した技能を有する |
| 支援義務 | 必要 | 不要 |
| 家族の帯同 | 不可 | 可能(一部条件あり) |
| 永住権 | 申請不可 | 条件を満たせば申請可 |
2025年12月時点では、特定技能1号では38万2,341人、特定技能2号では7,955人が日本に在留しています。特定技能2号は2023年6月から対象分野が11分野に拡大されたため、今後さらに人数が増えていくことが予想できるでしょう。
1号と2号の違いは、在留期間や家族帯同の可否だけでなく、企業側の外国人材に対する支援義務の有無も含みます。どちらで受け入れるかによって企業の負担が変わるため、あわせて確認しておきましょう。
企業には外国人材の支援義務がある
特定技能外国人を採用する企業は、支援業務の実施義務があります。支援が義務付けられた目的は、特定技能制度で就労する外国人材がスムーズに日常生活や社会生活を送れるようにするためです。
具体的には、以下の10項目の支援の実施が定められています。
出典:出入国在留管理庁「外国人労働者に関する制度概要」
事前ガイダンスや相談・苦情対応のほか、特定技能外国人が孤立しないよう地域住民との交流を促進することも、重要な支援業務の一つです。
義務的支援10項目の内容
義務的支援は、入国前から就業後まで幅広い場面に及びます。内容は以下のとおりです。
- 1.事前ガイダンスの実施
- 2.出入国する際の送迎
- 3.住居の確保と生活に必要な契約の支援
- 4.生活オリエンテーションの実施
- 5.公的手続きなどへの同行
- 6.日本語学習の機会の提供
- 7.相談・苦情への対応
- 8.日本人との交流の促進
- 9.転職の支援(人員整理などの場合)
- 10.定期的な面談と行政機関への通報
このうち定期的な面談は、3ヶ月に1回以上の実施が求められます。母国語での相談対応や役所への同行など、通常の労務管理には含まれない業務が並ぶため、担当者のリソースを事前に見積もっておくと安心です。
はじめは登録支援機関を利用するのがおすすめ
初めて特定技能制度を利用する際は、支援業務を登録支援機関に委託することをおすすめします。登録支援機関とは、企業に代わって特定技能外国人の支援業務を行う機関で、人材紹介会社や業界団体、行政書士などがその役割を担うのが一般的です。
自社で支援業務を適切に実施するためには人員やノウハウが必要なので、人手が不足している企業では負担になることもあるでしょう。また、前提として「過去2年以内に中長期在留者を適正に雇用・管理した実績がある」「外国人材が理解できる言語で支援できる人材がいる」などの要件を満たさなければ、自社で支援を行うことはできません。
以上のことから、社内に支援業務のノウハウが蓄積されるまでは、委託費用を掛けて登録支援機関を利用するほうが業務がスムーズに進むでしょう。
「Leverages Global(レバレジーズグローバル)」は、人材紹介と登録支援機関の両方の機能をもっています。そのため、支援計画の策定から入社後のフォローまで一貫してお任せいただける点が特徴です。自社支援と委託のどちらが合うか迷う段階でも、外国人採用に精通した専門アドバイザーが体制に合わせてご提案いたしますので、まずはこちらからお気軽にお問い合わせください。

登録支援機関の役割とは?特定技能制度との関係や要件を解説
参照元:
出入国在留管理庁「特定技能制度に係る制度の運用に関する基本方針・分野別運用方針・運用要領」
出入国在留管理庁「特定技能『外食業分野』における在留資格認定証明書交付の一時停止措置について」
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」
出入国在留管理庁「特定技能制度」
特定技能制度と混同されやすい制度として「技能実習制度」が挙げられます。両方とも外国人雇用に関わる制度ですが、目的や職種、在留資格の特徴にさまざまな違いがあることを理解しておくのが重要です。
それぞれの違いをまとめると、以下のようになります。
| 特定技能制度 | 技能実習制度 | |
| 制度の目的 | 人材確保 | 国際協力 |
| 職種 | 19分野 | 96職種174作業 |
| 入国時の試験 |
| 一部の職種を除き無し |
| 在留期間 |
|
|
| 受け入れ人数 | 業界ごとの定めあり | 事業所ごとの定めあり |
| 転職 | 条件を満たせば可 | 原則不可 |
なお、技能実習制度は内容の見直しなどにより発展的に解消され、2027年4月1日からは「育成就労制度」への移行が決定しています。
育成就労制度とは、人材育成と人材確保の両方の側面をもつ制度です。原則3年の就労期間の間に、外国人材の技能を特定技能1号の水準まで育成するという目的があります。
つまり育成就労は、特定技能1号への入口として位置づけられる制度です。技能実習から特定技能へ移行する採用ルートを使ってきた企業にとっては、移行期間中の人材確保の見通しに影響する可能性があります。各制度の関係性については「育成就労制度と特定技能制度の関係は?技能実習との違いも解説」の記事をご参照ください。
育成就労制度と特定技能制度の接続を整理したうえで、両制度の最新情報をチェックしつつ、どの制度で外国人材を受け入れるか検討してみましょう。

技能実習から特定技能への移行ガイド!条件・手続き・メリットを解説
参照元:出入国在留管理庁「育成就労制度・特定技能制度Q&A」
特定技能で外国人材を採用する利点は、単に人手を確保できることだけではありません。一定水準の技能と日本語力があるかを確認したうえで迎えられるため、受け入れ後の立ち上がりが早く、長期的な戦力にもなり得ます。
ここでは、特定技能の採用で企業が得られる3つのメリットを紹介します。
即戦力として現場を任せられる
特定技能で採用する外国人材は、分野ごとの技能試験と日本語試験に合格しているため、入社直後から一定の業務を任せることが可能です。制度上も「相当程度の知識または経験を必要とする技能」をもつ人材と位置づけられており、業務未経験者の育成とは前提が異なります。
たとえば、介護分野であれば、介護技能評価試験と介護日本語評価試験に合格した人材が対象です。専門用語の理解を含めて確認されているため、現場での指示が通りやすい点が実務上の利点になります。
2号へ移行すれば長期の定着が見込める
特定技能1号の在留期間は通算5年までですが、2号へ移行すると在留期間の更新に上限がなくなり、家族の帯同も認められます。長期的な就労の見通しが立つため、育成にかけた時間やコストを還元してもらいやすくなるでしょう。
自社の1号人材に、2号の在留資格取得を促す企業も増えています。ただし、2号の受け入れ対象は11分野に限られるため、自社の分野が該当するかを事前に確認しておかなければなりません。両者の違いについては、以下の記事にまとめています。

特定技能1号と2号の違いとは?分野・取得要件・移行メリットなどを解説
採用難の分野でも母集団を確保できる
特定技能の対象となっている19分野は、いずれも「国内での人材確保が難しい」と認められた分野です。求人を出しても応募が集まらない状況でも、特定技能という選択肢を加えることで母集団を広げられます。
実際に受け入れた施設からは、「日本人採用だけでは人員を維持できなかった状況が変わった」という声も聞かれます。求人広告への出稿を続けてもなかなか応募が集まらないのであれば、選択肢を広げる意味は大きいといえるでしょう。

初めての外国人採用から始まった、現場の連携と受入れ体制づくり
特定技能制度で外国人材を雇用する企業には、「支援体制」「受け入れ機関」「雇用契約」において要件が定められています。いずれも満たしていない場合は在留資格の申請が通らないため、採用活動を始める前に自社の状況を確認しておきましょう。
支援体制に関する要件
支援体制に関する要件は以下のとおりです。
- 中長期在留者の生活支援などに従事した者、もしくは同程度に支援業務を適正に実施できる者から支援責任者および支援担当者を選任している(過去2年以内に中長期在留者の受け入れ・監理を行っている場合は、役職員から選出も可)
- 外国人材が分かる言語で支援を実施できる
- 支援責任者および支援担当者が欠格事由に該当しておらず、支援計画を実施できる
- 支援責任者および支援担当者が、外国人材とその監督者と定期的に面談できる
支援責任者および支援担当者は同じ人が務めることも可能です。
また、支援の全部を登録支援機関に委託した場合は、この支援体制の基準を満たしているものとして取り扱われます。自社に支援経験がない段階では、委託を前提に体制を組む選択肢も検討してみましょう。
受け入れ機関に関する要件
受け入れ機関に関する要件は以下のとおりです。
- 1年以内に特定技能外国人と同じ業務をする労働者を会社都合で退職させていない
- 1年以内に会社の責任で行方不明者を発生させていない
- 欠格事由に該当していない
- 外国人から違約金や補償金を受け取っていない
- 採用にかかる費用を外国人に負担させていない
- 報酬を口座振込などで支払う
- 特定技能外国人の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備えておく
- 分野に特有の基準に適合する
また、特定技能外国人の在留資格申請前までに、該当分野の協議会への加入も必要になります。
協議会の加入手続きは分野ごとの所管省庁が窓口となっており、加入には一定の期間がかかる点に注意が必要です。
雇用契約に関する要件
雇用契約に関する要件は以下のとおりです。
- 同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬を支払う
- 所定労働時間が同じ仕事をする労働者と同等になっている
- 分野省令で定める技能を要する業務に従事させる
- 外国人であることを理由とした差別をしない
- 一時帰国時は休暇を許可する
- 契約終了時、帰国旅費がない場合は企業側が負担する
- 健康や生活状況を把握するための措置を講じている
なお、特定技能制度では直接雇用が原則です。ただし、農業分野と漁業分野に関しては季節によって業務量に差が出るため、派遣雇用が認められています。

特定技能は転職可能!企業側の手続きや必要書類をわかりやすく解説
参照元:出入国在留管理庁「特定技能制度」
特定技能制度で就労する外国人材のレベル感は、「日本語で基本的な会話ができ、相当程度の知識や技能を要する業務を行える」と考えて問題ないでしょう。
ここでは、外国人材が在留資格「特定技能1号」を取得するための要件を解説します。
日本語の要件
日本語能力は、以下のいずれかを満たすことが求められます。
- 日本語能力試験(JLPT)のN4レベルの取得
- 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)の合格
N4は、基本的な日本語を理解できる水準に相当します。同じN4でも聞き取りや読み書きの得意分野には個人差があるため、面接では実際の業務場面を想定したやり取りで確認しておくと、配属後のミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。
なお、介護分野の場合は業務で専門的な用語を多数使うため、上記いずれかに加えて「介護日本語評価試験」への合格も必要です。
技能の要件
技能試験は、学科と実技試験の両方で「相当程度の知識または経験を必要とする技能」を有しているかが測られます。
たとえば、工業製品製造業分野の機械金属加工区分の学科試験で出題された問題例は、以下のとおりです。
(問)正しい場合はAを、間違っている場合はBを選びなさい。
- 労働者は、労働災害を防止するために、安全衛生の決まりを守らなければならないと法令で定められている。
- 塗装を重ねて塗るときは、下塗りが乾く前に塗るとよい。
- ノギスで、内径を測定することはできない。
出典:一般社団法人工業製品製造技能人材機構「試験関連資料」
試験は各分野・区分によって内容が全く違うので、試験実施機関のWebサイトなどをチェックしてみてください。
なお、外食業分野については、受け入れ停止措置に伴って特定技能1号評価試験も当面の間停止されています(2号評価試験は国内で2026年6月からCBT方式により実施)。採用計画を立てる際は、常に最新の情報を確認しておきましょう。
技能実習2号からの移行が可能
技能実習2号を良好に修了した技能実習生は、技能実習の職種・作業との業務に関連性があれば、試験なしで特定技能へ移行できます。技能実習とは別の職種に当たる特定技能分野への移行を希望する場合、技能試験の受験は必須ですが、日本語能力に関する試験の受験は不要です。

BJT・JLPT・EJUを比較!外国人の採用要件におすすめの日本語試験とは?
参照元:
一般社団法人工業製品製造技能人材機構「試験関連資料」
農林水産省「外食業分野における外国人材の受入れについて」
特定技能の採用は、要件の確認から就業開始まで6つのステップで進みます。海外在住者と国内在住者で在留資格の手続きが変わりますが、それ以外の流れは共通です。
ここでは、採用活動を始めてから就業が始まるまでの手順を順番に見ていきます。
1.受け入れ要件を確認する
最初に確認するのは、自社が受け入れ機関の基準を満たしているかどうかです。自社の事業が19分野に該当するか、支援体制・受け入れ機関・雇用契約の3つの要件を満たせるかについて調べます。
あわせて、分野ごとの協議会への加入手続きも早めに着手しておきましょう。在留資格の申請前までに加入を済ませていないと申請が受理されないため、ここでの遅れがそのままスケジュール全体の遅れにつながってしまいます。
2.人材を募集して面接する
要件を確認できたら、求人を出して候補者を募集しましょう。募集の方法は、人材紹介会社への依頼や求人Webサイトへの登録などがありますが、詳しくはあとの見出しで解説します。
面接では、技能試験と日本語試験の合格状況を確認することが重要です。技能実習2号の修了者であれば試験が免除となる場合もあるため、修了証明書などの書類で確認しておきましょう。海外在住者が候補のケースでは、オンライン面接を活用すると双方の時間や費用の負担を軽減できます。
3.雇用契約を締結する
採用が決まったら、「特定技能雇用契約」を締結します。同じ業務に従事する日本人と同等以上の報酬であることや、所定労働時間が同等であることなど、雇用契約に関する要件を満たす内容に設定し双方合意のもと契約しましょう。
契約の内容は、本人が理解できる言語で説明することが求められます。労働条件の認識のずれは入社後のトラブルにつながりやすいため、日本語と母語を併記した書面を用意しておくと安心です。
4.支援計画を策定する
雇用契約の締結後、1号特定技能外国人支援計画を作成します。義務的支援10項目をどのように実施するかを具体的に定める書類で、在留資格の申請時に提出が必要です。
計画の策定は自社のほか、登録支援機関へ委託することもできます。支援の全部を登録支援機関に委託する場合は、この段階までに支援委託契約を結んでおきましょう。
5.在留資格の申請を行う
支援計画の承認を受けたら、地方出入国在留管理局へ在留資格の申請を行います。海外在住者を採用する場合は企業が代理で「在留資格認定証明書交付申請」を行い、国内在住者の場合は本人が「在留資格変更許可申請」を行うのが基本です。なお、すでに国内のほかの企業で働いていた特定技能外国人を採用する場合も、職場が変わることに伴う「在留資格変更許可申請」が必要となります。
提出書類は、企業側と本人側でそれぞれ準備するものがあるため、事前に確認しておきましょう。
企業が用意する必要書類
企業側で準備する主な書類は以下のとおりです。
- 特定技能雇用契約書の写し(和文と本人が理解できる言語の訳文)
- 1号特定技能外国人支援計画書
- 支援委託契約書の写し(登録支援機関に委託する場合)
- 協議会の構成員であることの証明書
- 登記事項証明書や決算文書の写しなど、企業の概要が分かる書類
- 労働保険料・社会保険料・税の納付状況を示す書類
初めて特定技能外国人を受け入れる場合は、すでに受け入れ実績がある企業よりも提出書類が多くなります。分野ごとに追加の書類が求められることもあるため、出入国在留管理庁のWebサイトであらかじめチェックしておきましょう。
外国人材が用意する必要書類
本人側で準備する主な書類は以下のとおりです。
- パスポートと在留カードの写し(国内在住者の場合)
- 規格を満たした顔写真
- 技能試験と日本語試験の合格証明書
- 技能実習2号を良好に修了したことを証明する書類(移行の場合)
- 健康診断個人票
- 履歴書や職歴に関する書類
書類の不備は審査の長期化に直結するため、選考の段階から本人と一緒に揃えていくと手戻りが少なくなります。本人が海外にいる場合は、書類のやり取りに日数かかる点も見込んでおきましょう。
6.就業を開始する
申請が許可されると、海外在住者の場合は在留資格認定証明書が交付されます。この書類を企業から本人へ送付し、本人が居住国の在外公館で査証(ビザ)の発給を受けて入国する流れです。国内在住者の場合は、在留資格の変更が許可されたのち就業できるようになります。
入国後は、空港での出迎えや住居の案内、市区町村での住民登録の同行など、支援計画に沿ったサポートを行いましょう。就業初日には職場のルールや通勤方法を説明するオリエンテーションを実施しておくと、外国人材の早い段階での慣れにつながります。
採用にかかる期間は2〜6ヶ月
採用活動を始めてから就業が始まるまでの期間は、国内在住者で最短3ヶ月、海外在住者で4〜6ヶ月が目安です。差が生まれる理由は、在留資格の手続きと入国準備の有無にあります。
国内在住者は最短3ヶ月
国内在住者は「留学生」「ほかの企業で特定技能で働いている」「技能実習生から移行する」などのパターンがあります。すでに日本にいるため入国関連の手続きが不要で、在留資格変更許可申請の審査期間も比較的短く済むのが特徴です。
早く人員を確保したい場合は、国内在住者を中心に探すほうがスケジュールを組みやすいでしょう。
海外在住者は4〜6ヶ月
海外在住者を採用する際は、在留資格を申請する手続きを企業が代理で行う必要があります。在留資格認定証明書の交付を受けたあと、本人が母国の在外公館で査証の発給を受け、来日する流れです。
送り出し機関を経由する国では現地側の手続きも加わるため、国内在住者より日数がかかります。繁忙期に合わせて配属したい場合は、余裕をもって半年以上前から動き出すのがおすすめです。

外国人採用の進め方!メリットや手順・注意点を解説【2026年版】
参照元:出入国在留管理庁「受入れ機関の方」
特定技能制度で外国人材を採用すると、海外から呼び寄せる場合は60~70万円ほど、国内人材を採用する場合は30~60万円程度かかるのが一般的です。海外から雇用する場合は、現地で外国人材を募集・紹介する役割をもつ送り出し機関に支払う資金が発生するため割高な傾向があります。
上記の総額は、主に以下の4つの費用で構成されています。何にいくらかかるのかを分けて把握しておくと、社内で予算を通しやすくなるでしょう。
※金額は弊社調べです。人材紹介会社を利用する場合はさらに金額が増えるので、参考程度にお考えください。
人材紹介の手数料
人材紹介会社を利用する場合、成功報酬として紹介手数料が発生します。分野や対象国、採用の難易度によって金額が変動するのが一般的です。
ハローワークや自社の求人で直接採用できれば手数料はかかりませんが、母集団の形成や書類対応を自社で担う必要があります。担当者の負担と費用のどちらを優先するかで選び方が変わってくるでしょう。
在留資格の申請費用
在留資格の申請には、収入印紙代のほか、書類の作成を行政書士などに依頼する場合の報酬が発生します。在留資格変更許可申請では手数料も必要です。
特に、書類の準備は特定技能の採用で最も手間のかかる工程です。自社で対応するか外部に任せるかを早めに決めておくと、スケジュールが読みやすくなります。
登録支援機関への委託費用
支援業務を登録支援機関に委託する場合は、1人あたり月額の委託費用が発生するのが基本です。支援の一部を自社で実施すれば、費用を抑えられることもあります。
月額の相場や内訳については以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

登録支援機関にかかる費用の相場・内訳は?委託のメリットや注意点も解説
採用後に毎月かかる費用
採用時の初期費用だけでなく、雇用を続ける間に発生するランニングコストも見込んでおく必要があります。具体的には、日本人と同等以上の給与の支払いや社会保険料の会社負担分などです。
住居の確保を企業が支援する場合は、社宅の借り上げ費用が生じることもあります。初期費用と継続費用を分けて試算しておくと、費用対効果を判断しやすくなるでしょう。
特定技能制度で外国人を採用する際は、主に4つの方法が考えられます。それぞれ費用と工数のバランスが異なるため、初めての受け入れか、すでに実績があるかによって適した方法を検討してみましょう。
人材紹介会社に依頼する
初めて特定技能外国人を受け入れる企業の場合は、人材紹介会社の利用がおすすめです。自社に合った人材の紹介を受けられるうえ、求人の掲載や面接の調整なども任せられるので、採用活動に掛ける時間が大幅に短縮できるでしょう。
また、特定技能外国人の紹介を行う人材紹介会社は、登録支援機関の許可を受けているところも多くあります。募集から採用後の支援業務までを一括で任せられるのは大きなメリットといえるでしょう。
「Leverages Global(レバレジーズグローバル)」も、人材紹介のみならず登録支援機関として貴社のサポートが可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。
求人Webサイトの利用
転職を考えている国内の外国人労働者は、求人Webサイトをよく閲覧しています。日本人も利用する一般的な求人Webサイトと、言語レベルや在留資格別に探せる外国人専用の求人Webサイトの両方に掲載すると、より効果的でしょう。
求人票では、業務内容と労働条件をやさしい日本語で具体的に書くことが応募につながります。専門用語や社内用語を並べると、条件が合う人材にも伝わらない恐れがあるため避けるのが無難です。
ハローワークで募集
国内の人材を採用したい場合は、ハローワークに求人を出す方法もあります。基本的に、手続きは日本人の採用時と同じです。外国人労働者の増加にともない、ハローワークも外国人専用の窓口を設置するなどの対策を取っています。
紹介手数料がかからない点がメリットですが、特定技能の要件を満たす人材が登録しているかは地域によって差があるのが課題です。そのため、ほかの方法と併用すると母集団を確保しやすくなるでしょう。
SNSでの募集
特定技能外国人の割合が多いアジア圏では、SNSを通しての求職活動が盛んです。特にFacebookやInstagramを利用する人が多いので、これらのプラットフォームで情報を発信すると目にとまりやすいでしょう。
多言語での発信はもちろん、写真や動画を使って雰囲気が伝わりやすい投稿をすると、外国人材が応募しやすくなります。なお、SNSでの採用活動は管理が難しかったりスムーズに進みにくかったりするため、求人サイトやWebページへ誘導する仕組みがあるとより効果的です。

インドネシア人を特定技能で雇用する流れ・要件・費用
特定技能の採用は、就業が始まったあとも手続きが続きます。出入国在留管理庁への届出を適切に行わなかった場合、特定技能外国人を受け入れられなくなるため、担当者と提出時期を決めておくことが大切です。
ここでは、採用後に押さえておきたい届出と面談のルールを整理します。
協議会への加入は申請前に必須
各分野の協議会への加入は、在留資格の申請前までに済ませておかなければなりません。申請時に構成員であることの証明書を求められるためです。加入後は、協議会からの調査や要請に協力する義務が生じます。窓口や手続きの方法は分野ごとに異なるので、所管省庁のWebサイトで確認しておきましょう。
定期届出は2026年から年1回に変更
定期届出は、2025年4月1日施行の省令改正により、四半期ごとの年4回から年1回に改められました。四半期ごとの提出は2025年4月15日までに提出したものが最後で、以降は1年分をまとめて届け出ます。
対象期間と提出期間は以下のとおりです。
- 対象期間:前年4月1日から当年3月31日分まで
- 提出期間:当年5月31日まで(5月31日が土日祝日の場合は翌開庁日)
- 提出者:特定技能所属機関(受け入れ企業)
回数は減りましたが、1年分の受入れ状況・活動状況・支援実施状況をまとめて正確に報告する必要があります。支援の全部を登録支援機関に委託している場合は、登録支援機関の支援実施状況も取りまとめて提出しましょう。日々の記録を残しておかないと、提出時期に情報を集め直す手間が生じてしまうので注意が必要です。
随時届出は事由発生から14日以内
定期届出とは別に、特定の事由が生じたときに提出する随時届出があります。雇用条件の変更や退職、支援計画の変更、受け入れの継続が困難になった場合などが対象です。
提出期限は、事由が生じた日から14日以内となります。注意したいのは、支援を登録支援機関に委託していても、随時届出は受け入れ企業が行う必要がある点です。委託の範囲を契約時に確認しておきましょう。
定期面談は3ヶ月に1回以上のまま
年1回になったのは定期届出であり、義務的支援に含まれる定期面談は3ヶ月に1回以上の実施が引き続き求められます。届出の回数と面談の回数を混同しないよう注意が必要です。
面談は、本人とその監督をする立場の職員の双方に対して行います。日々の業務では出てきにくい相談ごとを拾える場でもあるため、定着支援の観点においてもしっかり活用したい機会といえるでしょう。
届出を怠ると受入れができなくなる
届出が適正に行われていない場合、特定技能外国人を受け入れられなくなります。支援の全部を委託している登録支援機関の支援実施状況が提出されないと、その登録支援機関の登録が取り消される可能性もあるでしょう。意図せず違反してしまわないよう、提出物と期限を年間のスケジュールに落とし込んでおくのがおすすめです。
届出の様式や提出書類一覧は出入国在留管理庁のWebサイトで公開されているので、最新版を確認しておきましょう。

外国人採用に関わる4つの法律を分かりやすく解説【2026年3月最新版】
参照元:出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」
制度の要件を満たしていても、確認の抜けや準備不足でつまずくことがあります。あらかじめ押さえておけば避けられるものが多いので、採用活動を始める前に目を通しておきましょう。
ここでは、特定技能の採用でとくに気をつけたい3つのポイントを紹介します。
試験の合格を必ず確認する
選考の段階で、技能試験と日本語試験の合格証明書を実物で確認しましょう。本人の申告だけで進めると、申請の段階で要件を満たしていないことが判明する場合があります。
技能実習2号の修了者を移行で採用する場合は、修了した職種・作業と、従事させたい業務に関連性があるかも確認が必要です。関連性がない場合は技能試験の受験が求められます。
日本人と同等以上の待遇を用意する
報酬は、同じ業務に従事する日本人と同等以上にすることが要件です。基本給だけでなく、諸手当や賞与を含めた給与全体で比較されるため、賃金規程との整合をチェックしておきましょう。
待遇の説明が不十分なままだと、入社後の不満や早期離職につながりやすくなります。加えて、特定技能は同じ分野内での転職が認められているため、条件面の納得感を最初に作っておくことが定着率アップにとって重要です。
定着支援まで見据えて体制を組む
特定技能制度は、採用がゴールではありません。生活面の相談対応や文化・習慣への配慮、キャリアの見通しの提示といった継続的な関わりが、外国人材の定着率を左右します。
一方で、義務的支援10項目と年間の届出を通常業務と並行して行うのは、人手が限られた企業にとって負担の大きい作業です。どこまで自社で担い、どこを外部に任せるかを最初に線引きしておくと無理なく続けられるでしょう。
受け入れ前の不安が実際にどう変わったかについては、「受入れ前の不安が『いてくれてありがたい』へ。特定技能人材の活躍がもたらした変化」の採用事例の記事をご一読ください。
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最後に、特定技能の採用を検討する企業からよく寄せられる質問をまとめました。
採用できる人数に上限はある?
企業ごとに受け入れ人数の上限が設けられているのは介護分野と建設分野で、事業所の常勤職員数などに応じた制限があります。ほかの分野では、企業単位での人数制限は原則ありません。
ただし、分野ごとに「受け入れ見込数」という人数上限が設定されており、これに達すると新規の受け入れが停止されます。外食業分野が2026年4月に新規受け入れ停止となったのがその例です。新規受け入れが停止になると特定技能外国人の採用の競争率が高まるため、自社の分野の現状について把握し、できるだけ余裕をもった計画を立てるのが望ましいでしょう。
使える補助金や助成金はある?
外国人材の受け入れに特化した全国一律の助成金は限られますが、人材開発支援助成金など、日本人と同様に活用できる制度は存在します。主に、外国人材の日本語教育や研修、受け入れに伴う就労環境整備などにかかる費用の一部が助成対象です。
また、自治体が独自に外国人雇用の支援制度を設けていることもあります。内容や満たすべき要件、受付期間は自治体によって異なるため、事業所の所在地である自治体のWebサイトで確認してみましょう。
派遣やアルバイトでも採用できる?
特定技能はフルタイムの直接雇用が原則のため、アルバイトや副業としての就労は認められていません。派遣雇用が認められるのは、季節によって業務量の差が大きい農業分野と漁業分野に限られます。
物流倉庫や食品製造などで繁忙期のみ増員を検討している場合は、特定技能以外の在留資格をもつ人材の採用や派遣の活用も選択肢の一つです。たとえば、「永住者」や「日本人の配偶者等」といった身分に基づく在留資格をもつ外国人材は、就労制限がないため日本人と同じようにさまざまな職種・雇用形態で働けます。在留資格ごとに就労可能な範囲が異なるため、目的に合う制度を選ぶことが大切です。
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どの国籍でも採用できる?
国籍による制限は原則ありません。ただし、日本と「二国間の協力覚書(MOC)」を結んでいる国は、送り出しの手続きについて各国の制度で定められている場合があります。
たとえば、特定技能でベトナム人を採用する際は、必ず政府が認定した送り出し機関を経由のうえ「推薦者表」を取得しなければなりません。ほかにも、複数の国で特定技能に関する独自のルールがあるため、受け入れ前にあわせて確認しておきましょう。

ベトナム人特定技能人材の送り出し・受け入れに関する注意点を詳しく解説
特定技能外国人を採用する際は、ほかの在留資格をもつ外国人とは異なるルールがあります。はじめは複雑に感じるかもしれませんが、一度体系的に理解できれば、職種が変わらない限りあとは同じ流れになるのでそう難しくありません。
受け入れ対象が19分野に広がった一方で、外食業分野のように新規受け入れが停止となる分野も出てきました。今後ますます特定技能外国人の需要が高まることが予想されるため、制度の動きを追いながら、自社の分野の状況に合わせて採用計画を立てることが大切です。
また、登録支援機関や人材紹介会社を利用することで、より採用に掛ける工数を減らせます。特定技能外国人はさまざまな業務に従事でき、長期的な就労も叶う人材なので、ぜひ採用を検討してみましょう。
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