執筆: Leverages Global編集部 (ライター)
登録支援機関とは、特定技能外国人を雇用する企業に代わって、外国人材の生活や就労に関する各種支援業務を行う専門機関です。自社だけで支援体制を整えるのが難しい企業にとって、スムーズかつ適切な受け入れを実現するために欠かせない存在となっています。
本記事では、登録支援機関の役割や10項目の支援業務、委託が必須になるケースを解説。2027年の要件改正や費用相場、選び方のポイントも取り上げています。
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この記事のまとめ
- 登録支援機関は特定技能外国人と受け入れ企業を双方向でサポートする専門機関である
- 支援業務は事前ガイダンスや定期面談など法令上の10項目があり、義務的支援と任意的支援に整理される
- 2027年4月の改正により、支援責任者・支援担当者の常勤化や養成講習の義務化など満たすべき要件がより厳格になる
- 委託先の選定時は、月額1人当たり2〜4万円の費用相場や対応言語の種類、支援実績を総合的に比較検討する
外国人雇用に関わる機関は、監理団体や送り出し機関、登録支援機関などさまざまな種類があり、初めは混乱してしまうこともあるでしょう。名称が似ているものも多いですが、それぞれ役割が全く異なります。
ここでは、外国人雇用に関する数ある機関のうち、特定技能制度で働く外国人材と雇用する企業に関係する「登録支援機関」について解説します。
特定技能所属機関と外国人材をサポートする
登録支援機関とは、特定技能制度のもと日本で働く外国人材と、雇用する企業(特定技能所属機関)の両方をサポートする機関です。
特定技能制度での外国人雇用は、技能実習から移行する人が多かったり、人手不足が深刻な特定産業分野で一定の技能をもつ外国人材を即戦力として受け入れられたりと、ほかの在留資格とは異なる部分が多数あります。外国人材をやみくもに受け入れて劣悪な環境で働かせるために当制度が使われないよう、細かいルールが設けられている点も特徴です。
しかし、人手不足や外国人雇用に関するノウハウが蓄積されていないことが原因で、「適切に受け入れられるだろうか」という不安から、特定技能制度の利用に踏み切れない企業も一定数存在します。このような企業と外国人材を支援するために、サポートに特化した登録支援機関が作られました。
「そもそも特定技能制度を十分に理解していない」という方向けに、以下の記事で制度全体の詳細を解説しています。登録支援機関の役割を知るうえでの前提知識としてあわせて確認しておくと、より理解が深まるでしょう。

特定技能とは?制度の仕組みや技能実習との違いをわかりやすく解説
特定技能所属機関の代わりに支援業務を行う
登録支援機関の主な仕事は、特定技能外国人を雇用する機関(特定技能所属機関)に代わって支援業務を行うことです。支援業務とは、特定技能所属機関に対して義務付けられている、外国人材の仕事や暮らしに関する手助けを意味します。
詳しくは後述しますが、支援すべき内容は10項目あり、あらかじめ作成した支援計画に沿って進めなければなりません。支援を正しく行うことで、特定技能外国人の人権侵害や過重労働などのさまざまな問題・課題の予防につながるのです。適切な支援は外国人材が安心して働ける職場づくりにも寄与し、早期離職を防止する効果が期待できます。
なお、登録支援機関への委託は義務ではなく、基準を満たせば支援業務を自社で行うことも可能です。ただし、適切な支援には専門知識が必要なうえ、支援責任者・支援担当者の工数も大きくなってしまいます。委託するかどうかの具体的な判断基準は、後述の「登録支援機関への委託は必須?」で詳しく解説します。
登録支援機関の数と利用率
登録支援機関の数は年々増加しています。出入国在留管理庁の公表によると、2026年9月17日時点で1万1,615件の機関が登録されており、特定技能外国人の受け入れ拡大にともなって登録件数も右肩上がりで推移してきました。
出入国在留管理庁が2022年7月に実施した意識調査によると、登録支援機関を利用している特定技能所属機関は84.4%にのぼります。支援業務のすべてを自社だけで実施できる体制を整えている企業は限られており、特に初めて特定技能外国人を受け入れる企業ほど、登録支援機関に支援業務を委託するケースが少なくありません。
参照元:
出入国在留管理庁「登録支援機関(Registered Support Organization)」
出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
出入国在留管理庁「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第8回)」

なぜ、今外国人採用が注目されているのか?要件を満たせば、個人・団体問わず登録支援機関として活動できるため、様々な立場の組織が存在しています。特に多いのは、「社労士や行政書士の事務所」「技能実習監理団体」「人材紹介会社」の3つのパターンです。
社労士や行政書士の事務所
外国人雇用に特化した社会保険労務士(以下、社労士)や行政書士が、登録支援機関を兼ねるケースがあります。最大のメリットは、受入れ後の支援だけでなく、在留資格申請や労働法務に関する相談も含めてワンストップで対応してもらえる点です。
一般の登録支援機関の場合、社内に行政書士などが在籍していなければ申請手続きを外部委託するため、追加コスト(取次手数料)や回答までのタイムラグが発生することがあります。士業事務所へ直接依頼すると、それらのコストや時間的損失を抑えつつ、法律や制度に関するトラブルにも適切に対処してもらうことが可能です。
一方で、個人事業主や小規模事務所も多いため、大手企業や各種団体に比べると支援の内容が限られやすい傾向があります。たとえば、外国人材同士の定期交流会や、団体主導の日本語教室といったイベントの開催はあまり期待できません。
技能実習監理団体
技能実習生の受入れを支えてきた監理団体(事業協同組合や商工会議所など)が、登録支援機関を兼ねるケースもあります。
技能実習監理団体と登録支援機関の役割は、制度ごとの違いはあるものの「外国人材の就労・生活を支援する」という枠組みは共通しているため、ノウハウやサポート体制がすでに整っているのが特徴です。そのため、技能実習監理団体を務める商工会議所や事業協同組合が、登録支援機関を兼ねるケースも珍しくありません。
また、技能実習2号を良好に修了した外国人材が同じ企業で特定技能へ移行する場合、新たに登録支援機関を探すよりも、今までつながりのあった監理団体兼登録支援機関を継続して利用するほうが、手続きや状況把握がスムーズになります。
なお、技能実習制度は2027年4月に「育成就労制度」へ移行することが決定しており、これに伴い、監理団体は許可要件がより厳格化された「監理支援機関」へと変更されます。移行後に監理支援機関と登録支援機関を兼ねる場合は、監理支援機関の許可と登録支援機関の登録をそれぞれ受けなければなりません。
育成就労は特定技能と密接な関係をもつ制度として運用が開始されるため、あわせて詳細を確認しておきましょう。

育成就労制度はいつから?何が変わる?基本概要や技能実習との違いを解説
人材紹介会社
出入国在留管理庁の発表によると、登録支援機関として登録されている組織で最も多いのが、株式会社や合同会社などの企業です。一般的な傾向として、外国人材を日本企業に紹介する「人材紹介業」を行う企業が、登録支援機関を担うケースもあります。自社に合った人材の紹介を受けつつ、採用が決まったあとも引き続き同じ企業からサポートを受けられる点がメリットです。
Leverages Global(レバレジーズグローバル)では、人材紹介事業と登録支援事業の両方を請け負っています。そのため、即戦力となる人材の紹介から採用時の手続きのサポート、採用後の支援業務まで一貫した対応可能です。外国人採用でお困りの企業さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。
参照元:
外国人技能実習機構(OTIT)「よくあるご質問」
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」
登録支援機関は、以下の要件を満たした企業や個人が認定を受けられます。
- 機関自体が適切(例:5年以内に出入国・労働法令違反がない)
- 外国人を支援する体制あり(例:外国人が理解できる言語で支援できる)
出典:出入国在留管理庁「制度概要 ④受入れ機関と登録支援機関について」
出典:出入国在留管理庁「受入れ機関に関する基準③」
ただし、上記の要件を満たしていても、下記の拒否事由に一つでも当てはまる場合は登録支援機関になれません。
- 労働法・入管法などの関係法令による刑罰を受け、執行完了等から5年を経過していない
- 心身の故障により支援業務を適切に行えない、または破産手続きの決定後に復権を得ていない
- 登録支援機関の登録を取り消されてから5年を経過していない(取り消された法人の役員であった場合も含む)
- 登録の申請の日前5年以内に出入国または労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした
- 暴力団員であるなど、暴力団排除に関する事由に該当する
- 過去1年間に、自社の責めに帰すべき事由により外国人労働者の行方不明者を発生させている
- 支援責任者または支援担当者が一定の前科があるなどの欠格事由に該当する
- 支援に要する費用を直接または間接的に外国人労働者に負担させている
- 支援委託契約を締結するに当たり、特定技能所属機関に対し、支援に要する費用の額および内訳を示していない
このように、特定技能外国人と受け入れ企業を適切にサポートできるよう、厳格な基準が設けられています。
登録支援機関になるには
登録支援機関になるには、申請者の本店や事務所の所在地を管轄する地方出入国在留管理局または同支局宛てに、「登録支援機関登録(更新)申請書」や要件を満たしていることを証明する各種書類を提出します。申請手数料として2万8,400円分の収入印紙を貼り付けた「手数料納付書」と、宛先を明記し490円分の切手を貼った返信用封筒(角型2号)も必要です。
オンライン申請には対応しておらず、郵送での申請のみとなります。登録支援機関の要件や拒否事由の審査にかかる期間は2ヶ月ほどです。
【2027年4月〜】支援体制の要件が厳格化
登録支援機関の要件の一部は、2027年4月1日から厳格化される予定です。出入国在留管理庁が公表した見直し内容によると、変更のポイントは主に4つあります。
- 支援責任者及び支援担当者(以下「支援責任者等」という。)を、支援を行う事業所(登録支援機関の場合は支援業務を行う事務所)ごとにそれぞれ常勤の役員又は職員の中から1名以上選任することとする(支援責任者が支援担当者を兼務することは可)
- 支援業務に従事することができる者を支援責任者等に限定する
- 支援責任者に対して支援能力向上のための養成講習(入管法や労働関係法令等)受講を義務付ける
- 支援担当者の数が、登録支援機関が支援業務の委託を受けている特定技能所属機関の数を10で割った数を超えており、1号特定技能外国人支援を行っている1号特定技能外国人の数を50で割った数を超えていることとする(支援責任者が支援担当者を兼務することは可)
出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)」
施行日より前に登録申請をしている場合は旧要件で審査が行われますが、登録申請および更新申請が施行日以降の場合は、その時点で新要件を満たしていなければなりません。
なお、養成講習の受講については「2027年4月1日以降であっても、当分の間は、講習を修了していなくても差し支えない」とする経過措置が設けられています。現在、業務委託中の登録支援機関がある企業の方は、2027年の制度改正に向けた対応状況を確認しておくと安心です。

特定技能の採用方法|19分野と流れ・費用を解説
参照元:
出入国在留管理庁「特定技能制度」
出入国在留管理庁「登録支援機関の登録申請」
出入国在留管理庁「1号特定技能外国人への支援体制に係る要件の改正について(令和9年4月1日施行)」
支援業務には、項目ごとに必ず実施しなければならない「義務的支援」と、可能な限り実施が求められる「任意的支援」があります。委託予定の登録支援機関からどのようなサポートを受けられるかを知っておくと、企業として行うべきことを整理しやすくなるでしょう。
また、登録支援機関に委託しない場合は企業がすべての支援業務を実施します。事前に業務内容を確認し、準備を進めておきましょう。
ここでは、出入国在留管理庁の「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」をもとに、各支援項目の「義務的支援」と「任意的支援」についてまとめています。
1.事前ガイダンス
事前ガイダンスとは、特定技能外国人が日本社会にスムーズに馴染み、安心して就労・生活できるよう、あらかじめ把握しておくべき情報を説明することです。
ガイダンス実施のタイミングは、在留資格の各種申請前もしくは特定技能雇用契約の締結前とされています。
義務的支援
事前ガイダンスは、対面またはオンラインで行います。義務的支援として義務付けられているガイダンスの内容は以下のとおりです。
- 従事する業務の内容や報酬金額、労働条件について
- 特定技能の業務区分で行うことができる活動内容の周知
- 入国手続きについて
- 違約金を定める契約や財産の移転を予定する契約の禁止について
- 特定技能外国人が外国の機関に支払っている費用および合意の有無や、その内訳などの確認
- 支援にかかる費用を本人に負担させることの禁止について
- 入国時に空港から事業所または外国人材の住居までの送迎があることの周知
- 住居の確保に関する支援の具体的な内容について
- 仕事や日常生活、社会生活に関する相談や苦情の受付体制について(時間や連絡先など)
- 支援担当者の氏名およびメールアドレスなどの連絡先の周知
なお、上記の説明は特定技能外国人が十分に理解できる言語で行うことが求められます。
任意的支援
任意的支援として行うべきガイダンスの内容は以下のとおりです。
- 入国時の日本の気候、服装
- 本国から持参すべき物、持参が推奨される物、持参してはならない物
- 入国後、当面必要となる金額およびその用途
- 特定技能所属機関等から支給される物(作業着など)
また、就労開始前であっても、任意的支援として特定技能外国人からの相談に適切に対応することが望まれます。
2.出入国時の送迎
特定技能外国人が出入国する際は、トラブルや失踪を防ぐために必ず送迎しなければなりません。
義務的支援
特定技能外国人の入国時の送迎は、港や空港から特定技能所属機関の事業所、もしくは特定技能外国人の住居までです。出国時は港や空港まで送り届けたあと、保安検査場の前まで同行し、入場したことを確認する必要があります。
任意的支援
技能実習2号から特定技能1号へ移行する場合など、すでに国内に在留している外国人材は、入国時の送迎(義務的支援)の対象外です。一方で、特定技能所属機関等が必要と判断した場合は、任意的支援として事業所までの送迎を実施したり、移動費用を負担したりするケースがあります。
なお、送迎を行わない場合は、外国人材が事業所まで到着できるよう交通手段や緊急時の連絡手段を伝達しておくことが求められます。
3.住居の提供や契約のサポート
日本に来たばかりの外国人材が1人で住居を確保し、生活に必要な各種契約を結ぶことは容易ではありません。そこで、住宅の提供や各種契約のサポートも支援計画に含まれています。
義務的支援
特定技能外国人が住居を確保していない場合、以下のいずれかの方法かつ本人の希望に基づく義務的支援の実施が必要です。
- 特定技能外国人が賃貸借契約を締結する際には業者や物件の情報を提供し、必要に応じて同行のうえ住居探しの補助を行う
- 特定技能外国人に連帯保証人がいない場合は連帯保証人となる、もしくは利用可能な家賃債務保証業者を確保するとともに、特定技能所属機関等が緊急連絡先となる
- 特定技能所属機関等が自ら賃貸借契約を締結したうえで、特定技能外国人の合意のもと住居として提供する
- 特定技能所属機関等が所有する社宅を、特定技能外国人の合意のもと住居として提供する
居室の広さは1人当たり7.5㎡以上であることが求められます。複数人が一緒に住む場合は、居室全体の面積を居住人数で割った面積が7.5㎡以上でなければなりません。なお、転勤や異動など企業側の都合で引っ越しが必要になった場合も、同様の支援を行う義務があります。
生活に必要な各種契約の義務的支援は、預金口座・貯金口座の開設や携帯電話、ライフラインなどの契約の際に、書類の提供や窓口の案内を行うことです。必要に応じて契約に同行するなど、各種手続きの補助が求められます。
任意的支援
住宅に関する任意的支援は、特定技能外国人との雇用契約が終了したあと、当該外国人材の次の受け入れ先が決まるまでの間の住居確保の支援や賃貸契約への同行です。外国人材が安定的・継続的に日常生活を送れるよう、雇用契約終了後も任意的支援を通じて配慮することが推奨されます。
生活に必要な各種契約の任意的支援に定められているのは、契約内容の変更があった場合や解約を行う際の手続き補助です。
4.日本での生活に関するオリエンテーション
生活オリエンテーションは、入国後(国内在留者の場合は在留資格変更の許可後)に、日本で生活するのに必要な情報を合計8時間以上かけて提供する義務的支援です。
伝えるべき事柄は多岐にわたり、以下はその一例となります。
- 日本での生活一般(金融機関や交通機関の利用方法、交通ルール、生活ルール・マナー、違法となる行為の例など)
- 国や地方公共団体への届出・手続き(在留資格に関する届出、社会保障・税、マイナンバーなど)
- 相談・苦情の窓口(支援担当者や国・地方公共団体の相談先の連絡先)
- 医療(外国人患者の受け入れ体制が整った医療機関の情報、民間医療保険の案内)
- 防災・防犯(災害情報の入手方法、トラブル時に身を守る方法)
- 法令違反を知ったときの対応(出入国や労働に関する法令違反の相談先)
このほかにも、各種法令の内容や年金に関する知識の共有が求められます。オリエンテーションは特定技能外国人が十分に理解できる言語で行うほか、質問があった場合に適切なコミュニケーションが取れる体制を整備のうえ、入国後の実施が不可欠です。
5.公的手続などへの同行
特定技能外国人が日本で暮らすうえで必要な行政手続きを確実に行えるよう、支援することも義務的支援の一つです。生活オリエンテーションを実施したあと、特定技能外国人が届出などの公的手続きを行う際は、必要に応じて関係機関の窓口へ同行し、書類作成の補助をしなければなりません。
同行・補助の対象となる主な手続きは、以下のとおりです。
- 住居地に関する届出(新規入国後・在留資格変更後・転居時)
- 所属機関などに関する届出
- 健康保険・厚生年金保険に関する手続き
- 国民健康保険・国民年金に関する手続き
- 源泉徴収・住民税に関する手続き
- マイナンバー(個人番号)に関する手続き
- 自転車の防犯登録
- 母子健康手帳の交付手続き
特に、国民健康保険と国民年金は外国人本人が手続きを行う必要があります。そのため、手続きを円滑かつ適切に進められるよう、担当者が同行することが望ましいとされています。
これらの手続きには期限が定められているものもあるため、生活オリエンテーションのあとは遅滞なく支援を実施しましょう。
6.日本語を学ぶ機会の提供
特定技能外国人の希望に基づき、受け入れ機関や登録支援機関は日本語を学ぶ機会を提供する義務があります。
義務的支援
特定技能外国人が日本語を学ぶための義務的支援は、以下のいずれかの方法です。
- 就労・生活する地域の日本語教室や日本語学校等に関する入学案内の情報を提供し、必要に応じて同行のうえ入学手続きの補助を行うこと
- 自主学習のための日本語学習教材やオンラインの日本語講座に関する情報を提供し、必要に応じて教材の入手や講座の利用契約手続きの補助を行うこと
- 特定技能外国人との合意のもと、特定技能所属機関等が登録日本語教員等と契約して日本語の講習の機会を提供すること
これらの支援は強制ではなく、特定技能外国人本人の合意のもと行われる必要があります。いずれの支援においても、外国人材に過度な学習費用の負担が発生しないよう留意しなければなりません。
任意的支援
任意的支援には、以下の項目があります。
- 支援責任者または支援担当者、その他職員による1号特定技能外国人への日本語指導・講習の積極的な企画・運営を行うこと
- 特定技能外国人の自主的な日本語の学習を促すため、日本語能力に係る試験の受験支援や資格取得者への優遇措置を講じること
- 日本語学習を実施する場合において、特定技能所属機関等の判断により、日本語教室等の入学金や月謝などの経費、日本語学習教材費、登録日本語教員との契約料といった諸経費の全部または一部を当該機関自ら負担するなど学習のための経済的支援を行うこと
日本語を習得するためには継続的な学習が重要です。そのため、外国人材の日本語習得状況にあわせて、学習の機会を適切かつ継続的に提供していく必要があります。
7.相談や苦情対応
特定技能外国人から相談や苦情の申し出があったときの対応も、支援計画に含まれています。
義務的支援
特定技能外国人から業務や日常生活、社会生活に関する相談や苦情を受けた場合は、遅滞なく適切に対応しなければなりません。相談内容に応じてアドバイスや指導を行うほか、必要があれば該当する機関への案内・同行を通じて手続きの補助を行います。なお、相談および苦情への対応は、1号特定技能外国人が十分に理解できる言語で実施することが義務です。
任意的支援
任意的支援では、あらかじめ相談窓口の情報を一覧化して手渡しておいたり、事務所に相談窓口を設けたりすることが求められます。相談・苦情の申し出専用の電話番号やメールアドレスの設置も任意的支援の一つです。
特定技能外国人が仕事や通勤時に病気・けがを負う、または死亡した場合、家族に対する労災保険の周知や必要な手続きの補助も望まれます。
8.地域住民との交流支援
特定技能外国人が日本で充実した生活を送れるよう、地域住民との交流を後押しすることも欠かせない支援業務です。
義務的支援
必要に応じて、地方公共団体やボランティア団体などが主催する地域住民との交流の場や、地域の自治会に関する情報を提供・案内し、各行事への参加手続きの補助を行います。また、本人の状況に合わせて交流会や行事などに同行し、注意事項や実施方法を説明することも義務の一つです。
任意的支援
特定技能外国人が地域の行事への参加を希望する場合は、業務に支障のない範囲で有給休暇の付与や勤務時間の調節を行うことができるか、登録支援機関が企業に対して交渉を行います。地域社会での孤立を防ぎ、日本人との相互理解を深めて信頼関係を築けるよう率先して交流の場を作っていくのも、受け入れ機関や登録支援機関の役割です。
9.転職支援
人員整理や倒産など、受け入れ機関側の都合で特定技能外国人との雇用契約を解除する場合、当該外国人材が引き続き日本で働き続けられるようにするための転職支援が義務付けられています。
義務的支援
転職に関する義務的支援では、以下のいずれかのサポートが必要です。
- 所属する業界団体や関連企業などを通じて、次の受入先に関する情報を入手し提供すること
- 公共職業安定所やその他の職業安定機関、または職業紹介事業者などを案内のうえ、必要に応じて1号特定技能外国人に同行し、次の受入先を探す補助を行うこと
- 特定技能外国人の希望条件、技能水準、日本語能力などを踏まえて適切に職業相談・職業紹介が受けられるよう、または円滑に就職活動が行えるよう推薦状を作成すること
- 受け入れ機関が職業紹介事業の許可または届出を受けて職業紹介事業を行える場合は、就職先の紹介あっせんを行うこと
上記の1~4のいずれかに加えて、以下の内容はすべて実施することが義務付けられています。
- 特定技能外国人が求職活動を行うための有給休暇を付与すること
- 離職時に必要な行政手続き(国民健康保険や国民年金に関する手続きなど)について情報を提供すること
なお、支援業務のすべてを自社で実施している企業が、倒産などにより転職のための支援を適切に実施できなくなることが見込まれる場合、当該機関に代わって支援を行う者(登録支援機関や関連企業など)を確保しなければなりません。
特定技能外国人の転職に関する具体的な手続きや必要書類については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。

特定技能は転職可能!企業側の手続きや必要書類をわかりやすく解説
10.面談や行政機関への通報
外国人材が安心して働けるよう、特定技能外国人およびその監督者と定期的な面談を実施し、問題を把握した際は速やかに関係行政機関への通報が求められます。
義務的支援
実行が義務付けられている項目は以下のとおりです。
- 特定技能外国人および監督する立場にある者それぞれと、3ヶ月に1回以上の頻度で対面で面談を実施する
- 面談対象者が同意している場合はオンライン面談の実施も可能だが、支援計画書の「Ⅳ支援内容 9定期的な面談の実施・行政機関への通報」欄で署名を確認し、書面は帳簿書類として保存する
- 面談は支援責任者または支援担当者が実施する必要がある
- 面談では、生活オリエンテーションで提供した情報を、必要に応じて改めて伝える
- 特定技能外国人が十分に理解できる言語で面談を実施する
- 定期的な面談により労働環境関連の法令に違反があると知ったときは、労働基準監督署や関係行政機関に通報する
- 定期的な面談により、在留カードやパスポートの取り上げ、入管法違反の発生を知ったときは、地方出入国在留管理局に通報する
なお、海上で長期間にわたって行われる漁業分野における定期的な面談は、3ヶ月に1回以上の頻度で無線や船舶電話で本人および監督者へ連絡を取り、近隣の港に寄港した際に行えば差し支えありません。
任意的支援
任意的支援としては、特定技能外国人が見やすいかたちで関係行政機関の窓口情報を一覧にして提供することが望まれます。
参照元:出入国在留管理庁「特定技能運用要領」
結論から述べると、支援業務のすべてを登録支援機関に委託することは義務ではありません。ただし、委託が必須になるケースと自社のみで対応できるケースがあるため、自社がどちらに当てはまるかを事前に把握しておく必要があります。
委託が必須になるケース
自社で支援業務を行うには、出入国在留管理庁が定める支援体制の基準を満たす必要があります。主な基準は、過去2年間に中長期在留者(就労資格)を適正に受け入れた実績があることなどです。また、支援責任者・支援担当者には、特定技能外国人に対して業務上の指揮命令権をもつ人物(現場の上司にあたる社員など)を選任できません。
これらの基準を満たせない場合は、支援計画の全部を登録支援機関に委託することが必須となります。受け入れ実績などの基準を満たしていない企業や、中立的な立場の担当者を社内で確保できない企業は、登録支援機関への委託を前提に準備を進めましょう。
自社支援でも対応できる場合
一方で、前述の基準を満たし、中立的な立場の支援責任者・支援担当者を選任できる企業であれば、支援業務を自社のみで行うことも可能です。たとえば、過去2年間に中長期在留者(就労資格)を適正に受け入れた実績があり、外国人材が十分に理解できる言語で支援できる体制を整えている企業が該当します。
委託する3つのメリット
登録支援機関に委託するメリットには、主に以下の3つがあります。
- 支援担当者を新たに育成・配置する手間がかからず、採用後すぐに支援体制を整えられる
- 出入国在留管理庁への各種届出や制度改正への対応を専門知識をもつ機関に任せられるため、ミスの軽減につながる
- 特定技能外国人本人にとっても、雇用主から独立した相談先を確保できるため、就労環境や生活面の悩みを相談しやすい
外国人採用に精通した専門アドバイザーがいる登録支援機関に委託すれば、初めての特定技能外国人の受け入れでも、書類準備から入国後のフォローまで一貫したサポートを受けられるので安心です。
Leverages Globalは、特定技能人材のご紹介から登録支援としての入社後の支援業務まで一貫したサポートを行っており、採用担当者の工数を抑えながら特定技能外国人の受け入れを進めたい企業さまをサポートしています。サービス内容が気になる方向けに「特定技能の採用・定着支援サービス資料」を無料で配布しておりますので、お気軽にご覧ください。

文化の共有・理解が定着の鍵。ミャンマー人材が「働きやすい」と感じる青木病院の組織づくり
参照元:
出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」
出入国在留管理庁「特定技能運用要領」
登録支援機関に支援業務を委託する場合、費用は主に「初期費用」と「月額の支援委託料」で構成されるのが特徴です。相場感を事前に把握しておくと、複数の登録支援機関を比較する際の判断材料になります。
月額の支援委託料の相場
月額の支援委託料は、特定技能外国人1名あたり2〜4万円程度が相場です。委託する支援業務の範囲(義務的支援のみか任意的支援まで含むか)や対応言語の数、登録支援機関の規模によって金額は変動します。支援計画書の作成といった初期費用を別途設定しているところもあるため、見積もりの内訳は漏れなく確認しましょう。
追加費用がかかるケース
基本の支援委託料とは別に、以下のような追加費用が発生するケースもあります。
- 契約後に対応言語を追加する場合の翻訳・通訳費用
- 住居探しや行政手続きへの同行回数が契約範囲を超えた場合の同行費用
- 支援計画の変更にともなう書類の再作成費用
契約前にどこまでが基本料金に含まれるのかを確認し、追加費用が発生する条件をすり合わせておくことで、「想定外のコストがかかってしまった」という事態を防げるでしょう。
費用の細かい内訳や複数社を比較する際に見るべきポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

登録支援機関にかかる費用の相場・内訳は?委託のメリットや注意点も解説
現在、登録支援機関は全国に1万件以上あります。そのなかから自社にあった登録支援機関を選ぶのは容易ではありませんが、以下のような要素を一つの指標としてみてください。
- 自社で雇用する外国人材の母語や国籍に対応している
- 費用体系や支援内容が明確である
- 自社からそれほど遠くない距離に拠点がある
- 登録支援機関としての実績が豊富である
ここでは、上記の観点から選ぶ際のポイントについてそれぞれ解説します。
対応言語・国籍で選ぶ
自社で雇用する人材と同じ出身国の特定技能外国人の支援経験があるかどうかは、重要な判断要素の一つです。特に義務的支援では、特定技能外国人と支援責任者・支援担当者がスムーズに意思疎通できるよう、外国人材が十分に理解できる言語で行うことが求められています。受け入れ予定の外国人材の母国語、またはそれに準じる言語に対応可能かどうかを必ず確認しましょう。
対応言語が限られている登録支援機関に委託すると、別途通訳の手配が必要になるなど、追加の手間が発生する場合があります。
費用体系の明確さで選ぶ
支援業務の範囲とそれにともなう費用については、登録支援機関によって対応がさまざまです。月額の支援委託料に加えて、どこまでの支援業務が含まれているのか、追加費用が発生する条件は何かについて、契約前に書面で明示してもらいましょう。見積もりの内訳が曖昧な登録支援機関は、あとから想定外の費用が発生するリスクがあります。
所在地・全国対応で選ぶ
登録支援機関のなかには、特定の地域に強い事業者と、全国対応が可能な事業者が存在します。特定技能外国人の受け入れでは緊急時の対応が必要になることもあるため、登録支援機関との物理的な距離も意識しましょう。特に、複数の事業所で特定技能外国人を受け入れる予定がある企業は、全国対応が可能かどうかを確認しておくと、拠点ごとに別々の登録支援機関を探す手間を省けます。
支援実績で選ぶ
受け入れ実績の件数だけでなく、自社と同じ業種・同じ国籍の受け入れ実績がどれくらいあるかを確認しておくことも重要です。自社に合う支援実績が豊富な登録支援機関ほど、より実務に即したサポートが期待できます。第三者が発信しているランキングや比較情報を参考にする場合は、その情報がどのような基準で作られているのかも確認しておくと安心です。
比較・ランキング情報の見方や失敗しない選び方については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

登録支援機関ランキングは信頼できる?失敗しない選び方と費用相場
ここでは、登録支援機関について、読者からよく寄せられる質問に回答します。
登録支援機関と監理団体の違いは?
登録支援機関が特定技能外国人の支援業務を担う機関である一方、監理団体は技能実習生の受け入れにおいて実習実施者を監理・指導する団体です。対象となる在留資格が異なるほか、監理団体は非営利の組合などに限定されるのに対し、登録支援機関は株式会社といった営利法人もなれる点が異なります。なお、技能実習の監理団体が登録支援機関を兼ねるケースもあります。
より詳しい役割の違いについては、以下の記事もあわせてご確認ください。

監理団体の役割と選び方とは?技能実習生受け入れの必須知識を解説
登録支援機関は個人でもなれる?
登録支援機関の要件を満たせば、個人でも登録支援機関になることが可能です。実際に、外国人雇用に特化した社会保険労務士や行政書士が、個人事業主として登録支援機関を担う場合があります。なお、2027年4月以降は支援責任者・支援担当者の常勤配置や養成講習の受講が求められるため、個人で運営する際も十分な体制づくりが必要です。
登録支援機関を変更したい場合は?
特定技能外国人を受け入れたあとでも、登録支援機関を変更することは可能です。変更する場合は、新しい登録支援機関との支援委託契約を締結したうえで、事由が生じた日から14日以内に出入国在留管理庁へ「支援委託契約に係る届出書(参考様式第3-3-2号)」を提出します。届出の際は、変更後の1号特定技能外国人支援計画書なども添付が必要です。
現在の登録支援機関との契約内容について、違約金の有無や途中解約の条件などを事前に確認し、支援が途切れる期間が生じないよう切り替えのタイミングを調整しましょう。
参照元:出入国在留管理庁「特定技能所属機関による支援委託契約に係る届出」
外国人雇用のノウハウが少ない企業が、細かく定められている支援業務のすべてを完璧に実行するのは容易ではありません。そのため、支援業務を代理で実施してくれる登録支援機関は、特定技能制度において非常に重要な役割を果たします。登録支援機関の立ち位置と任せられる業務を理解し、自社で特定技能外国人を受け入れる際の参考にしてみてください。
登録支援機関への委託を検討する際は、費用相場や支援内容を複数社で比較したうえで、自社に合った1社を選ぶことが大切です。特定技能制度の全体像や受け入れまでの流れを改めて整理したい方は、「特定技能制度 完全活用ガイド」をご活用ください。
Leverages Globalでは、人材紹介から登録支援機関としての支援業務まで一貫して対応しています。特定技能サービスに関する詳細は無料のサービス資料のほか、お問い合わせフォームからも直接ご相談が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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