
執筆: Leverages Global編集部 (ライター)
人手不足に悩む介護現場において、外国人介護人材の受け入れの現状や今後の動向が気になる方も多いでしょう。外国人材の雇用は、貴重な労働力の確保だけでなく、異文化交流による施設の活性化やサービスの質の向上につながる大きなチャンスです。
本記事では、外国人介護人材の受け入れの現状について、最新の動向や国別の割合に基づいて解説します。雇用のメリットや課題、事業所側の準備も紹介するので、参考にしてみてください。
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目次
この記事のまとめ
- 外国人介護人材の受け入れは年々増加しており、慢性的な人手不足を解消するための貴重な即戦力となっているのが現状
- 外国人介護人材を受け入れるメリットには、就労意欲の高い若い働き手の確保や施設全体の活性化などが挙げられる
- 言語の壁や文化の違いから生じる課題に対しては、日本語学習の継続的なサポートや気軽に話せる相談窓口の設置が不可欠である
- 介護分野で働ける在留資格には4種類あるため、それぞれの特徴や雇用方法を理解したうえで自社に合う人材の採用を行うことが重要
介護現場における外国人介護人材の受け入れの現状
近年、介護現場における深刻な人手不足への対策として、外国人介護人材の受け入れに注目する事業所が増加しています。
ここでは、厚生労働省のデータをもとに、外国人介護人材の受け入れの現状や在留資格別、国籍・地域別の動向について見ていきましょう。
受け入れ数の動向
調査時点に多少ばらつきはありますが、厚生労働省が2026年3月に公表した「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」によると、直近で約10万2,000人を超える外国人材が介護に特化した在留資格で働いています。2024年度から2025年度にかけても約2万8,000人増加しており、受け入れを実施する法人が年々右肩上がりに増えているのが現状です。
国内の介護職員全体に占める外国人材の割合はまだ低いものの、都市部だけでなく地方の介護施設においても、貴重な人材確保の選択肢として一般化しつつあります。
在留資格別
厚生労働省の同データによると、介護分野で活躍できる在留資格別に見た在留者数は以下のとおりです。
| 在留資格の種類 | 在留者数 |
| 特定活動(EPA:経済連携協定)※インドネシア・フィリピン・ベトナム | 3,004人※うち資格取得者435人(2026年2月1日時点) |
| 介護 | 1万3,949人(2025年6月末時点) |
| 技能実習 | 2万0,065人(2025年12月末時点) |
| 特定技能1号 | 6万5,505人(2025年11月末時点・速報値) |
参照元:厚生労働省「外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について」
上記のなかでも、特定技能1号が最も高い割合を占めているのが分かります。比較的取得しやすい在留資格でありながら一定水準の介護スキルと知識、日本語能力を有している人材のため、即戦力としての活躍を期待して活発な採用が行われているといえるでしょう。
国籍・地域別の割合
国籍・地域別の割合では、受け入れ元の傾向が分かります。厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」によると、国籍別・産業別外国人労働者数は、介護分野を含む「うち医療、福祉」産業においてインドネシア出身者が最多という調査結果でした。
出典元:厚生労働省「別添3『外国人雇用状況』の届出状況表一覧(令和7年10月末時点)」
次いでミャンマーやベトナム、フィリピンといった東南アジア諸国からの受け入れが主流です。これらの地域は日本への親しみや関心が高く、世界的に見ても若年層の労働力人口が豊富なため、今後の外国人材採用においても中心的な存在になっていくと考えられます。

【行政書士監修】外国人採用まるわかりガイド|注意点・メリット・募集・雇用の流れ
参照元:
厚生労働省「介護分野における特定技能協議会運営委員会(令和7年度第1回)厚生労働省説明資料」
厚生労働省「介護分野における特定技能協議会運営委員会(令和6年度第1回)厚生労働省説明資料」
厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」
外国人介護人材の受け入れが進んでいる背景
国内の介護現場で外国人介護人材の受け入れが急速に進展している背景には、日本の少子高齢化に伴い、介護職員の必要数に対して採用が追いついていない状況があります。厚生労働省が2025年5月に公表した「介護人材確保の現状について」によると、2026年度には現在の介護職員数にプラス約25万人、2040年度にはさらに約57万人の介護職員が必要と推測されているのが現状です。従来の国内だけで人員を確保する採用手法だけでは、将来的に現場の維持が困難になる可能性が指摘されています。
また、同データによると介護分野における有効求人倍率は直近の2025年3月時点で3.97を記録しており、全職種の平均値である1.16に対して約3.42倍という非常に高い水準が続いている状態です。こうした需要と供給の深刻なギャップを踏まえ、国としても介護福祉士を目指す留学生などの支援や在留資格の職域拡大を進めるなど、外国人介護人材の受け入れ促進に向けたさまざまな環境整備に注力しています。

特定技能「介護」とは?業務内容・採用メリット・受け入れ要件を解説
参照元:厚生労働省「社会保障審議会(福祉部会福祉人材確保専門委員会)」
外国人介護人材の受け入れ現状から見るメリットと課題
外国人介護人材の雇用は、現場にポジティブな影響をもたらすプラスの側面がある一方、あらかじめ想定しておくべき実務上のハードルも存在します。
ここでは、外国人介護人材の受け入れ現状から見るメリットと課題について確認してみましょう。
介護現場で外国人材を受け入れるメリット
介護現場で外国人材を受け入れるメリットには、「勤勉で若い労働力の確保」「異文化交流がもたらすプラスの相乗効果」「施設全体における介護技術やサービスの質の向上」などが挙げられます。
勤勉で若い労働力の確保
日本での就労を希望する外国人材は、介護技術を身に付けながら母国へ仕送りをしたいと考える20~30代の若年層が多い傾向です。そのため、真面目で就労意欲の高い若手人材を確保しやすい点がメリットといえます。また、働く場所へのこだわりが強くない外国人材も一定数いるため、日本人労働者が集まりにくい地方の施設にも採用のチャンスが広がっていくでしょう。
異文化交流がもたらすプラスの相乗効果
異なる文化的背景をもつ外国人スタッフが加わることで、異文化交流がもたらすプラスの相乗効果にも期待できます。施設全体が明るく活気あふれる雰囲気に変化したり、外国人ならではの視点が日本人職員の刺激になったりする場面もあるでしょう。施設の利用者さまにとっても、日々の生活に新鮮さや前向きな活力をもたらすなど、コミュニケーション面で好循環を生む可能性があります。
施設全体における介護技術やサービスの質の向上
外国人介護人材に対して介護技術や定型業務を教えるプロセスを通じて、日本人職員も自身の技術や仕事の手順を振り返るきっかけとなり、施設全体における介護技術やサービスの質が向上することもメリットの一つです。外国人材の受け入れを契機に、職場のマニュアルが誰にでも分かりやすい形にブラッシュアップされたり、教育体制や業務効率化が見直されたりするケースも少なくありません。
介護現場で外国人材を受け入れる際に考えられる問題点
外国人介護人材の採用は多くのメリットをもたらす一方で、異なる国・文化で育った人材を雇い入れるからこその課題や懸念点も存在します。あらかじめ想定される問題点を把握し受け入れ体制を整えておくことが、採用後のトラブルを未然に防ぎ、長期的な定着へとつなげるための重要なステップです。
以下で、受け入れ施設が直面しやすい課題とその解決策について見ていきましょう。
言語の壁によるコミュニケーションエラー
よく挙がる問題点として、言語の壁によるコミュニケーションエラーがあります。日本語特有の絶妙なニュアンスや曖昧な表現への対応、読み書きが必要な介護記録の業務などにおいて、スムーズにいかない場面が発生しやすいようです。就労に必要な日本語能力試験や介護日本語評価試験に合格している人材も、実践的な場面では細かいやり取りに齟齬が生じるリスクがあります。
職場に慣れるまでは、日本語での意思疎通や専門用語でのやり取り、利用者さまの方言の聞き取りなどをフォローしてあげるのが望ましいでしょう。簡単な日本語での指示出しや外国人材の母語を併記したマニュアルの用意のほか、同じ国出身の先輩外国人スタッフを相談役に任命するといった工夫が効果的です。
文化や生活習慣の違いによる摩擦
食文化や生活習慣、衛生観念など、生まれ育った背景の違いから、時間感覚やケアの方法に対する向き合い方にズレを感じる可能性もあります。ほかの介護職員や利用者さまと良好な信頼関係を築くためには、頭ごなしに注意したり日本のルールをただ押し付けたりするのは避けましょう。相手の文化を尊重しつつ、なぜその手順が重要なのかを体系立てて一つずつ丁寧に説明する姿勢が大切です。

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外国人介護人材を受け入れる事業所側の準備とは?
外国人介護人材の採用を成功させ、長期定着へとつなげるためには、施設側が事前に正しい知識を身に付け適切な受け入れ体制を整えておくことがポイントです。
ここでは、外国人介護人材を受け入れる事業所側の準備について解説します。
受け入れ前に知っておきたい4つの在留資格の概要
介護分野で外国人材を受け入れる際は、本人が保有する在留資格の種類に合わせた適切な雇用が不可欠です。介護職として働ける4つの資格の特徴は、以下のとおりになります。
- 特定活動(EPA:経済連携協定):インドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヶ国との経済連携協定(EPA)に基づき、当該国の出身者が日本の介護福祉士の取得を目指すまたは介護福祉士として活動するための資格
- 介護:介護福祉士の資格を取得した外国人材が、介護や介護の指導を行う業務に従事する際に付与される専門性の高い資格
- 技能実習:開発途上国の人材育成を目的に、外国人材が働きながら日本の介護技術を学び母国へ移転することを前提とした資格
- 特定技能1号:人手不足が特に深刻な特定産業分野において、一定の専門スキルと日本語能力を有する外国人材が即戦力として幅広い業務に就ける資格
それぞれの資格の詳細や自社に合った選び方については、介護職での外国人採用について紹介している記事をあわせてご覧ください。
日本語学習や生活面のサポートを行える体制づくり
受け入れ施設は、外国人材が安心して長く働き続けられるようなサポート体制を整えておくことが重要です。継続的な日本語教育や技術研修といった就労面での支援をはじめ、住居・インフラの契約や役所での公的手続きの同行など、可能な限り生活面でのフォローも行うようにしましょう。日常の不安や困りごとを気軽に相談しやすい職場環境づくりは、早期離職を防ぐだけでなく、将来的に施設のコア人材へと成長していくきっかけにもなります。
参照元:出入国在留管理庁「在留資格から探す」

初めての外国人採用から始まった、現場の連携と受入れ体制づくり
外国人介護人材の受け入れを支える公的な補助金制度
採用や教育、生活支援などに伴う企業の費用負担を軽減するため、国や各自治体では外国人介護人材の受け入れを財政面から支える多様な補助金・助成金制度を用意しています。これらを上手く活用することで、外国人材の採用に係るコストを抑えることが可能です。
たとえば、東京都福祉局と東京都福祉保健財団が連携して実施している「デジタル機器導入促進支援事業(旧:ICT機器活用による介護事業所の負担軽減支援事業)」では、介護業務の負担軽減に寄与する機能をもつデジタル機器やシステムを導入する場合、必要な経費の一部を補助してもらえます。2025年4月から一定の条件下で解禁された外国人材の訪問介護では、ICT機器を用いた業務管理が要件の一つです。インカムやタブレット端末といったハードウェアのほか、介護ソフト・クラウドサービスの導入に対しても補助が受けられるため、無理なく体制構築を進められるでしょう。
また、厚生労働省や地方自治体は、外国人介護人材の日本語学習や生活支援の体制強化に要した費用、さらに指導に当たるほかの職員の研修受講費などの補助も実施しています。外国人介護人材の前向きな雇用検討のために、事業所の所在地や国でどのような補助金制度があるのかを調べてみることがおすすめです。

【2025年】外国人雇用でもらえる助成金7選|金額や条件を徹底解説
参照元:
東京都福祉局「外国人介護従事者受入れ環境整備等事業」
厚生労働省「介護分野における特定技能協議会運営委員会(令和7年度第1回)厚生労働省説明資料」
外国人介護人材の受け入れ現状に関するよくある質問
ここでは、外国人介護人材の受け入れ現状に関するよくある質問に回答します。
外国人介護士の給料の設定には決まりがある?
外国人介護士の給料は、同じ職務に従事しているほかの職員と同等以上の額に設定しなければなりません。厚生労働省の「外国人雇用はルールを守って適正に」に記載されているとおり、国籍を理由に賃金や労働時間、そのほかの労働条件について差別的な取扱いをすることは禁止されています。
なお、在留資格「介護」のように、業務に活かせる専門スキルを有していて経験値が高い人材ほど平均給与は上がる傾向です。労働基準法を遵守し、適切なキャリアパスや昇給制度を提示しましょう。
外国人介護士が就労できる受け入れ施設とは?
介護報酬の算定対象となっている公的な介護施設や事業所であれば、原則としてどこでも受け入れ可能です。ただし、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの一部においては、「特定施設入居者生活介護」等の指定を受けていることが条件となり、外部サービス利用型は対象外となる区分もあります。なお、在留資格「介護」については働く施設に制限がないほか、制度改定によって特定技能や技能実習で就労する外国人材も、一定の要件を満たせば訪問系サービスへの従事が認められるようになりました。

特定技能「介護」の受け入れ可能施設とは?要件や従事可能な業務を解説
参照元:
厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」
厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
まとめ
国内の介護現場では、慢性的な人手不足を背景に外国人介護人材の受け入れが年々広がっており、訪問系サービスへの従事解禁や補助金制度の拡充など、国を挙げた後押しも進んでいます。手続きや要件は複雑なものの、施設全体へのプラスの相乗効果も大きいため、専門家や人材紹介会社の活用も検討しながら、自社の受け入れ体制や予算に合わせた採用活動を進めていくことが重要です。
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