執筆: Leverages Global編集部 (ライター)
介護施設の人手不足による閉鎖のニュースを見て、自施設は大丈夫だろうかと不安を感じている経営者の方もいるのではないでしょうか。閉鎖に至る施設には、共通する前兆と段階があります。
本記事では、最新のデータで閉鎖の実態を確認したうえで、人手不足が経営を圧迫する仕組みと前兆の見極め方、そして閉鎖を回避するための具体的な対策を解説します。
外国人採用ならLeverages Global
外国人採用をもっと安心で簡単に、
はじめてみませんか?
支援実績多数!レバレジーズグローバルが支持される理由は、
以下サービス概要資料からご確認ください。
目次
この記事のまとめ
- 介護施設の人手不足による閉鎖は増加しており、倒産と休廃業はいずれも過去最多の水準
- 2025年の介護事業者の倒産は176件で、人手不足を要因とする倒産も29件と過去最多
- 閉鎖には前兆があり、人員配置基準を守れる段階で動けば人員体制を立て直す余地が残る
- 人手不足を解消し体制を立て直す手段として外国人材の活用も有効であり、着任期間を見越した早期の準備が鍵となる
介護施設の人手不足による閉鎖は過去最多の水準
介護施設の人手不足による閉鎖は、近年増加傾向にあります。東京商工リサーチの調査によると、2025年の介護事業者の倒産は176件で、2年連続の過去最多を更新しました。
- 2025年の介護事業者の倒産は176件で2年連続の過去最多
- 倒産には至らない休廃業・解散も653件発生している
- サービス種別では訪問介護の倒産が91件と突出している
- 人手不足を要因とする倒産は29件で過去最多を更新
まずは閉鎖の規模について、倒産件数・休廃業の状況・サービス種別の傾向・要因という4つの観点から解説します。
2025年の介護事業者の倒産は176件
介護事業者の倒産は、2025年に176件へ達しました。東京商工リサーチが介護保険制度の始まった2000年以降を集計したもので、2年連続の過去最多です。新型コロナウイルスの感染拡大前にあたる2019年の111件と比べると、約6割の増加になります。
倒産の要因として最も多いのは売上不振で、140件と全体の約8割を占めました。利用者の獲得競争が激しくなっているうえ、職員が足りずに利用率そのものが落ち込んでいる事業所が多いことがうかがえます。
つまり、閉鎖に至るのは経営判断を誤った一部の施設だけではありません。日々の運営を続けながら、少しずつ収支が悪化していった結果として起きているケースが大半だといえるでしょう。
休廃業と解散は653件に増えている
閉鎖の実態をつかむうえで見落とせないのが、倒産に含まれない休廃業・解散です。同調査では2025年に653件が確認されており、4年連続で最多を更新しています。倒産の176件と合わせると、1年間で800件を超える事業者が事業を止めた計算になります。
休廃業・解散は負債を抱えて行き詰まる前に、経営者が自らの判断で事業をたたむ選択です。赤字が積み重なる前に見切りをつける動きが広がっており、統計に表れない段階で経営が苦しくなっている事業者が相当数存在すると考えられます。
裏を返せば、閉鎖はある日突然に決まるものではなく、判断を重ねた末の結果だということです。早い段階で手を打てるほど、選べる打ち手は多く残されています。
訪問介護と通所で閉鎖が目立つ
倒産の状況はサービス種別によって差があり、なかでも訪問介護が91件と突出しています。3年連続で最多を更新するなど、依然として高水準な推移が続いている状態です。
| サービス種別 | 2025年の倒産件数 | 前年の件数 |
| 訪問介護 | 91件 | 81件 |
| 通所・短期入所 | 45件 | 56件 |
| 有料老人ホーム | 16件 | 18件 |
| 認知症老人グループホーム | 9件 | 2件 |
訪問介護で閉鎖が相次ぐ背景には、ヘルパーの高齢化と採用難に加えて、移動にかかるガソリン代をはじめとする運営コストの上昇が挙げられます。一方、通所・短期入所や有料老人ホームは前年より件数が減ったものの、過去と比較すると依然として高い水準です。
注目したいのは、認知症老人グループホームが2件から9件へ増えている点です。施設系のサービスであっても、職員が足りずに定員まで受け入れられない事業所は珍しくなく、規模の小さい施設ほど影響を受けやすい状況にあります。
人手不足を理由とする倒産は29件
人手不足が直接の引き金になった倒産は、2025年に29件でした。前年から45.0%増えて過去最多となり、そのうち求人難によるものが15件を占めています。
件数だけを見れば全体の一部ですが、売上不振とされた140件の多くにも、職員を確保できずサービスを提供しきれないという事情が隠れています。人手不足は「働く人が足りない」課題であると同時に、「受け入れられる利用者が減る」という経営課題でもあるのです。

外国人介護士の受け入れで人手不足の解消へ!雇用の現状や在留資格を解説
参照元:
東京商工リサーチ「2025年「介護事業者」倒産 過去最多の176件 「訪問介護」の倒産が突出、認知症GHも増加」
東京商工リサーチ「2025年「介護事業者」の休廃業・解散653件 苦境の「訪問介護」が押し上げ、過去最多を更新」
人手不足が介護施設の閉鎖につながる4つの理由
人手不足がなぜ閉鎖にまで至るのかというと、職員が減ることで収入が下がり、その結果さらに職員が離れるという悪循環が生まれるためです。人が足りない状態は、現場の忙しさにとどまらず経営の数字に直結します。
ここでは、人手不足が介護施設の閉鎖につながる過程を4つの理由に分けて解説します。どの段階に自施設が当てはまるかを考えながら読み進めてみてください。
人員配置基準を満たせず減算になる
最初の分岐点になるのが、人員配置基準です。介護保険サービスは、利用者数に応じて配置すべき職員数が定められており、基準を下回った状態で運営すると介護報酬が減額されます。
減算の影響は一時的な収入減にとどまりません。人員を採用するための原資が細り、賃金や職場環境の改善にも手が回らなくなるため、次の採用がさらに難しくなります。
職員の退職が続いている段階で、自施設が基準に対してどの程度の余裕を持っているかを把握しておくことが大切です。余力が分かっていれば、どのタイミングで採用や配置転換に動くべきかを判断しやすくなります。
新規の受け入れを止めて稼働率が下がる
配置基準を維持するため、多くの施設は新規の受け入れを制限する判断をします。ベッドや利用枠に空きがあっても、対応できる職員がいなければ受け入れられないためです。
介護事業の収入は利用者数にほぼ比例するため、受け入れを止めれば売上は直接的に減ります。一方で、建物の賃料や光熱費、システムの利用料といった固定費は変わらず発生し続けます。
稼働率の低下は、人手不足が経営を圧迫する代表的な要因です。空き枠がありながら受け入れを断った件数を記録しておくと、機会損失の大きさを金額として把握できます。
時間外や夜勤手当で人件費が膨らむ
欠員が出ても現場を止めるわけにはいかないため、当面は既存職員のシフト調整でカバーすることになります。その結果、時間外労働や夜勤の回数が増え、手当の支払いがふくらんでいきます。
収入が減っているところに人件費だけが上振れするため、収支は両側から圧迫されます。しかも、この状態は職員の疲弊と引き換えに成り立っているため、長く続けられるものではありません。
一時的な補充として派遣や紹介を活用すること自体は、現場を止めないための有効な判断です。問題は外部の力を借りること自体ではなく、常勤の欠員が埋まらないまま補充だけを続ける状態が長期化することにあります。

特定技能「介護」は夜勤が可能!配置基準・任せるメリット・注意点を解説
連鎖退職で運営体制を維持できなくなる
負担が重い状態が続くと、次の退職者が出る可能性が高まります。一人の退職が次の退職を呼ぶ連鎖が始まると、現場の力だけで止めるのは難しくなります。
特に、経験を積んだ職員やリーダー層が抜けた場合の影響は大きくなりがちです。新人の教育やシフトの調整を担う人がいなくなり、残った職員の負担がさらに増える構図が生まれます。
ここまで進むと、採用活動を始めても立て直しが間に合わないことがあります。だからこそ、連鎖が始まる前の段階で兆候をとらえることが重要です。

特定技能「介護」の受け入れ可能施設とは?要件や従事可能な業務を解説
閉鎖に向かう介護施設に多い5つの前兆
閉鎖に至る施設には、経営が行き詰まる前に共通して現れるサインがあります。いずれも日々の運営のなかでは見過ごされやすく、気づいたときには選べる手段が減っていることも少なくありません。
ここでは、閉鎖に向かう介護施設に多い5つの前兆を紹介します。自施設に当てはまるものがいくつあるか、ぜひ確認してみてください。
- 直近1年で常勤職員の退職が続いている
- 求人を出しても応募がほとんど集まらない
- 夜勤の回数や時間外労働が慢性的に増えている
- 空き枠があるのに新規の受け入れを止めている
- 研修や設備の更新を先送りにしている
常勤職員の退職が続いている
最も早い段階で表れるのが、常勤職員の退職が続く状態です。一人ひとりの退職理由は家庭の事情や体調などさまざまでも、短期間に重なっている場合は職場側に要因が潜んでいる可能性があります。
注意したいのは、退職の申し出があった時点ではすでに気持ちが固まっているケースが多いことです。実際には数ヶ月前から不満や疲労が積み重なっており、引き止めでの解決は難しくなっています。
退職者の人数だけでなく、勤続年数や担当していた役割まで記録しておくと、どの層が抜けているのかが見えてきます。中堅層が続けて辞めている場合は、特に早めの対応が必要です。
募集をかけても応募が集まらない
退職が続いていても、その分を採用で補えていれば体制は維持できます。危険なのは、募集をかけても応募が集まらない状態が続いているときです。
介護関係職種の有効求人倍率は全職業の平均を大きく上回っており、求人を出して待つだけでは候補者と出会いにくくなっています。同地域の他業種との人材獲得競争も激化しているため、待遇面や労働条件の差がそのまま応募数の伸び悩みに直結します。
応募数が落ちている場合は求人媒体の掲載内容の見直しをするだけでなく、採用の対象そのものを広げられないかを検討する時期に来ています。
夜勤と残業が慢性的に増えている
欠員を現有の職員で埋め続けていると、夜勤の回数や時間外労働がじわじわと増えていきます。一時的な繁忙であれば問題ありませんが、それが常態化しているなら黄色信号です。
負担の増加は、職員の健康面だけでなく人件費にも表れます。各種手当の支給によって人件費コストが増えているにもかかわらず、事業収入が増えない、または減っている状態は、本格的な収支悪化が始まっているサインです。
月ごとの残業時間と夜勤回数を職員別に並べてみると、特定の人に負担が偏っていることも見えてきます。偏りの是正は、費用をかけずに着手できる対策の一つです。
空き枠があるのに受け入れを止めている
新規の利用申し込みを断る判断が増えてきたら、経営への影響はすでに始まっています。ベッドや利用枠が空いているのに埋められない状態は、売上の機会を逃し続けているのと同じだからです。
この段階の難しさは、現場としては正しい判断をしている点にあります。安全なサービスを守るために受け入れを絞っているため、問題として認識されにくく、経営数値に表れて初めて気づくことも少なくありません。
受け入れを断った件数と、それによって失った月あたりの収入を把握しておくと、人材への投資をどこまで行うべきかを判断する材料になります。
教育や設備投資が後回しになっている
収支が厳しくなると、研修の中止や設備更新の先送りといった判断が増えてきます。目の前の支出は抑えられますが、職員の成長機会や働きやすさを削ることになるため、中長期では離職につながりやすくなります。
記録システムの更新や見守り機器の導入を見送ることも、結果として現場の負担を残したままにする判断です。人が足りないからこそ、業務を軽くする投資の優先度は高いといえます。

外国人介護人材の受け入れの現状を紹介!メリット・課題や施設側の準備も解説
やむを得ず介護施設を閉鎖する場合の流れ
対策を尽くしても事業の継続が難しいと判断した場合は、利用者や職員への影響を最小限に抑える形で手続きを進める必要があります。介護施設の閉鎖は、届出さえ出せば済むものではありません。
ここでは、事業の見直しや閉鎖を検討する際に必要となる対応を4つの段階に分けて解説します。なお、具体的な手続きは自治体によって運用が異なるため、実際に進める際は指定権者への確認が欠かせません。
閉鎖の前に事業譲渡を検討する
事業を終わらせる以外に、他の法人へ引き継ぐという選択もあります。事業譲渡が成立すれば、利用者は慣れた環境でサービスを受け続けられ、職員の雇用も維持される可能性があります。
ただし、譲渡先を探すには一定の時間が必要です。人員体制が整っているうちのほうが条件を整えやすいため、検討するのであれば早い段階で専門の仲介事業者などに相談するとよいでしょう。
閉鎖と譲渡のどちらを選ぶにせよ、判断の余地を残せるかどうかは、経営体力が残っている段階で動けたかにかかっています。
指定権者への相談と廃止届の提出
最初に行うのは、指定を受けている都道府県や市町村への相談です。事業の廃止や休止にあたっては、あらかじめ届出を行うことが介護保険法で定められています。
届出の期限や様式、添付書類は自治体ごとに異なります。利用者の受け入れ先の調整に時間がかかることも多いため、閉鎖を検討し始めた段階で早めに窓口へ相談しておくと、その後の進め方を整理しやすくなります。
あわせて、介護報酬の請求や職員の社会保険に関する手続きも発生します。どの順番で何を進めるかを一覧にしておくと、対応の抜け漏れを防げるでしょう。
利用者と家族へのお知らせと移行支援
閉鎖の判断が固まったら、利用者とその家族への説明を丁寧に行います。生活の場やサービスが変わることは大きな負担になるため、可能な限り早い段階で伝え、十分な準備期間を確保することが求められます。
お知らせでは、閉鎖の時期と理由に加えて、受け入れ先の候補や相談窓口を具体的に示すことが大切です。担当のケアマネジャーや地域包括支援センターと連携すれば、次のサービスへの移行を一緒に進められます。
説明の場では、これまでの経過を含めて誠実に伝える姿勢が信頼につながります。同じ法人で他の事業所を運営している場合は、その後の関係にも影響する場面です。

外国人が介護福祉士の資格を取得するには?最新の合格率や施設ができる支援を解説
閉鎖の前に事業譲渡を検討する
事業を終わらせる以外に、他の法人へ引き継ぐという選択もあります。事業譲渡が成立すれば、利用者は慣れた環境でサービスを受け続けられ、職員の雇用も維持される可能性があります。
ただし、譲渡先を探すには一定の時間が必要です。人員体制が整っているうちのほうが条件を整えやすいため、検討するのであれば早い段階で専門の仲介事業者などに相談するとよいでしょう。
閉鎖と譲渡のどちらを選ぶにせよ、判断の余地を残せるかどうかは、経営体力が残っている段階で動けたかにかかっています。
参照元:e-Gov法令検索「介護保険法」
閉鎖を回避するために優先すべき5つの対策
閉鎖を避けるうえで重要なのは、打ち手を思いつく順に並べるのではなく、効果が表れるまでの時間を踏まえて優先順位をつけることです。収支の悪化が進んでいる状況では、着手する順番が結果を左右します。
ここでは、閉鎖を回避するために優先すべき5つの対策を、短期で効くものから順に紹介します。
人員配置基準を割らない体制を組む
最優先で守りたいのは人員配置基準です。基準を維持できている限り、減算を避けながら受け入れを続けられます。
現在の配置がどの程度の余裕を持っているかを常勤換算で把握し、退職の申し出があった場合に何人まで耐えられるかを事前に確認しておきましょう。ユニットやフロアごとの偏りも見ておくと、配置転換で吸収できる範囲が分かります。
基準を割り込みそうな見通しが立った時点で、次の対策に動けるかどうかが分かれ目になります。
処遇改善加算の取得区分を見直す
収入を増やす手段として、まず確認したいのが介護職員等処遇改善加算です。2026年6月には改定率をプラス2.03%とする臨時改定が行われ、拡充された区分へ移行できる余地が残っている施設も少なくありません。加算は算定要件を維持できてこそ効果が続くため、計画書や実績報告の作成を担う人を決めておくと運用が滞りにくくなります。
制度の詳細や取得区分の見直し方は下記の記事でも解説していますので、あわせてご参照ください。

介護の人手不足は嘘?データで見る現状と5つの原因・解決策
短期の補充と長期の採用を組み合わせる
欠員が出ている状況では、現場を止めないための短期の補充と体制を立て直すための長期の採用を分けて考えると整理しやすくなります。
急な欠員や繁忙期には、人材派遣やスポットでの補充を活用すれば、残った職員への負担集中を防げます。そのうえで、常勤の採用や外国人材の受け入れといった時間のかかる打ち手を並行して進めることで、補充に頼る期間を短くできます。
どちらか一方に偏ると、現場が立ち行かなくなるか、根本的な欠員が解消されないまま外部コストだけが膨らむ結果になりかねません。目的に合わせて適切な施策を選択することが、結果として費用対効果を高めます。

外国人を派遣社員として雇える?雇用のメリット・デメリットや注意点を解説
ICTと介護ロボットで必要人数を抑える
人を増やすことが難しいのであれば、同じ人数で回せる範囲を広げるという発想も欠かせません。介護記録のデジタル化やインカムの導入は、申し送りや転記にかかる時間を短縮する効果が期待できます。
見守りセンサーや移乗支援機器を導入すれば、夜間の巡回や身体的な負担を軽くできる場合があります。導入費用については、都道府県が実施する補助事業を活用できることもあるため、募集要項を確認してみましょう。
導入の成否は、現場の職員が無理なく使えるかどうかで決まります。一部のフロアから試し、運用のルールを固めてから広げる進め方が現実的です。
外国人材で恒常的な欠員を埋める
常勤の欠員が慢性的に埋まらない状態が続いているなら、外国人材の受け入れが有力な選択肢になります。介護分野は特定技能の対象であり、実際に多くの施設が人員体制の立て直しに活用しています。
外国人材の採用は在留資格の確認や支援体制の準備が必要になるため、自社だけで進めようとすると時間がかかりがちです。
Leverages Global(レバレジーズグローバル)では、外国人採用に精通した専門アドバイザーが、自施設の状況に合う在留資格の整理から人材のご提案までを一貫してサポートします。何から着手すべきか迷っているという方には、まずは「はじめての外国人介護士採用マニュアル」をご覧ください。

介護職で外国人採用をするには?在留資格や受け入れの流れ・注意点を解説
参照元:厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」
閉鎖を防ぐ手段としての外国人材の受け入れ
外国人材の受け入れは、人手不足による閉鎖を避ける手段として現実的な選択肢です。ただし、受け入れられる在留資格は特定技能だけではありません。技能実習(育成就労)・EPA介護福祉士候補者・在留資格「介護」・永住者や日本人の配偶者などの身分に基づく在留資格と、選択肢は複数あり、閉鎖回避という観点では在留資格ごとに使い勝手が異なります。
ここでは、受け入れ人数の上限の有無、人員配置基準への算入タイミング、着任までにかかる期間、支援体制の整え方という4つの観点から整理します。
人数の上限がある人材とない人材を使い分ける
特定技能「介護」・技能実習(育成就労)・EPA介護福祉士候補者は、事業所単位で「日本人等の常勤介護職員の総数」を超えて受け入れられないというルールがあります。特定技能の対象分野のうち、企業ごとの受け入れ人数に上限が設けられているのは介護と建設の2分野のみです。
一方、介護福祉士の資格を取得した人材が対象の在留資格「介護」や、永住者・日本人の配偶者など身分に基づく在留資格で働く人材には、こうした人数上限がありません。すでに常勤職員が少なく、特定技能の受け入れ枠自体が限られている施設では、資格取得者の中途採用や身分系在留資格を持つ人材の採用も検討の余地があります。
なお、身分系在留資格を持つ職員は「日本人等」の人数に含まれるため、こうした人材を確保できれば、特定技能で受け入れられる人数の上限を広げることにもつながります。
人員配置基準に算入できるタイミングの違い
閉鎖の回避という観点で重要なのは、受け入れた人材を人員配置基準にいつから算入できるかです。基準を満たす人数として数えられなければ、減算を避けるという目的はすぐには果たせません。
特定技能や在留資格「介護」で就労する人材は、原則として就労開始の時点(配属当日)から配置基準に算入できます。一方、技能実習生やEPA介護福祉士候補者は、原則として就労開始から6か月が経過するまで算入できません。ただし令和6年度介護報酬改定により、受け入れ施設の研修体制・安全管理体制が整っている場合など一定の要件を満たせば、6か月未満でも算入できる取扱いに緩和されています。
「今すぐ配置基準を満たしたい」という切迫度が高い施設ほど、特定技能や在留資格「介護」保有者を優先的に検討する価値があります。判断に迷う場合は、受け入れ実績のある登録支援機関に相談すると整理が進みます。
受け入れまでにかかる期間の目安
外国人材の受け入れは、採用決定後すぐに就労を開始できるわけではありません。すでに日本国内にいる特定技能人材や技能実習修了者を採用する場合でも、選考から在留資格の手続きを経て入職するまでに数か月ほどかかるのが一般的です。海外から招へいする場合は、現地での選考や査証の手続きが加わるため、さらに時間を要します。
一方、在留資格「介護」を保有し、すでに国内の介護福祉士として就労している人材を中途採用する場合は、通常の転職採用に近い期間で受け入れられるケースもあります。半年以上先を見込んで計画を立てておくと、どの在留資格を選ぶにせよ配置基準の見通しと合わせやすくなります。
登録支援機関に支援業務を委託する
特定技能の人材を受け入れる場合、住居の確保や生活オリエンテーション、定期的な面談などの支援が義務づけられています。これらは自社で行うことも、登録支援機関に委託することも可能です。
人手が足りない状況で支援業務まで自社で抱えると、現場の負担がかえって増えてしまいます。業務負担を抑えて本来の介護業務に専念するためにも、登録支援機関への委託は有効な手段といえます。
Leverages Global(レバレジーズグローバル)は人材のご紹介にとどまらず、登録支援機関として入職後の支援まで一貫して対応しています。専門アドバイザーが在留資格の判断や受け入れ準備、定着に向けたフォローまで伴走しますので、初めての受け入れで不安のある施設様もお気軽にご相談ください。

登録支援機関にかかる費用の相場・内訳は?委託のメリットや注意点も解説
介護施設の人手不足と閉鎖に関するよくある質問
最後に、介護施設の人手不足と閉鎖について、よくある質問にお答えします。
潰れそうな介護施設の特徴は?
常勤職員の退職が続いているうえに、募集をかけても応募が集まらない状態が重なっている施設は注意が必要です。夜勤や時間外労働が慢性化し、空き枠があるのに受け入れを止めている場合は、収支の悪化がすでに始まっている可能性があります。
いずれも単独では起こりうることですが、複数が同時に表れているときは、人員体制の立て直しを優先課題として扱うことをおすすめします。
介護施設を閉鎖する場合、どのくらい前に手続きや通知が必要か?
事業の廃止や休止は、あらかじめ指定権者へ届け出ることが定められています。実際には、利用者の受け入れ先を調整する必要があるため、届出の期限より早い段階で説明が行われるのが一般的です。
運営する側としては、法令上の期限を満たすことに加えて、ご家族が次のサービスを検討できる時間を確保することが求められます。
人手不足のなかで職員から退職の申し出があった場合、どう対応すべきか?
職員から退職の申し出があった際に、人手不足を理由に引き止め続けることは適切ではありません。退職の意思表示は労働者の権利であり、対応を誤ると職場への不信感が広がり、さらなる離職を招くおそれがあります。
施設側にできるのは、退職までの期間に業務の引き継ぎと配置の見直しを進めることです。あわせて、なぜ辞める判断に至ったのかを聞き取り、次の離職を防ぐ材料として活かしましょう。
事業所を閉鎖する際、職員の雇用はどう対応すべきか?
法人内に他の事業所があれば、異動によって雇用を維持できる場合があります。難しい場合は、離職に関する手続きを進めるとともに、再就職の支援を検討することになります。
一部の事業所を閉じる判断をした場合でも、残る事業所の人員体制を整えなければ同じことが繰り返されかねません。現場の体制を立て直すうえでは、外国人材の受け入れも有効な選択肢となります。以下の事例では、受け入れ後に現場がどう変化したかを詳しく紹介していますので、体制再建の参考にしてみてください。

誠実なケアで指名も獲得。外国人採用で生まれる、新たな交流と活気
まとめ
人手不足に端を発する介護施設の閉鎖は、深刻な経営課題として年々存在感を増しています。しかし、閉鎖はある日突然決まるものではなく、離職の急増や稼働率の低下といった「明確な前兆」を経て進行するケースが大半です。
閉鎖という最悪の事態を回避するには、自施設の現状を客観的に把握し、人員配置基準を割り込む前の段階で迅速に動くことが欠かせません。一時的なシフトの穴埋めに終始するのではなく、外国人材の受け入れや処遇改善加算の見直しなど、中長期的な現場再建に向けた施策を計画的に進める必要があります。
「Leverages Global(レバレジーズグローバル)」では、介護分野における特定技能人材の採用・定着支援を強みとしており、即戦力人材のご紹介から入職後の定着に向けた登録支援機関としての支援サービスまで、一貫したサポートを行っているのが特徴です。
「どのようなサービスを受けられるのか詳しく知りたい」という方向けに、サービス紹介資料もご用意しております。受け入れ状況や手続きについて専門アドバイザーに相談をしたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
▶外国人介護士の導入事例記事はこちらから

- ・最新の外国人採用市場の動向について
- ・日本国内の人手不足の状況
- ・外国人を採用している企業の意向
- ・採用手段の1つとして外国人採用が選ばれる理由
- ・外国人採用を安心で簡単に進める方法













