
人手不足の解決策としてベトナム人雇用を考えているものの、在留資格の種類が多く、どこから手をつけるべきか分からないという声を耳にします。制度は複雑に見えますが、任せたい業務内容と採用ルートの2つを決めれば、自然と選ぶべき在留資格を絞り込めるでしょう。
本記事では、ベトナム人を雇用できる在留資格の違いから企業側が満たすべき要件、手続きの流れまでを順に整理しました。費用や給料の目安もあわせてご紹介します。
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目次
この記事のまとめ
- ベトナム人雇用で使える在留資格は、特定技能や技術・人文知識・国際業務など複数の選択肢がある
- 日本で働くベトナム人は2025年10月末時点で60万5,906人にのぼり、外国人労働者全体の23.6%と国籍別で最多である
- 特定技能で現地から雇用する場合は、ベトナム内務省海外労働管理局(DOLAB)への推薦者表交付申請といった独自の手続きが必要になる
- 2027年4月には技能実習が育成就労へ移行するため、今後のベトナム人雇用では制度変更を見据えた計画的な受け入れが重要
ベトナム人の雇用で使える在留資格
厚生労働省の「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ【本文】」によると、2025年10月末時点で日本で働くベトナム人は60万5,906人にのぼり、外国人労働者全体の23.6%を占めています。国籍別では最も多く、実際に採用の現場でベトナム人候補者と出会う機会も自然と増えているでしょう。
ただし、ベトナム人だからといって特別な在留資格があるわけではありません。ほかの国籍の方と同じく、就労が認められた在留資格をもっているかどうかで判断します。企業の受け入れでよく使われるのは、次の3つの在留資格です。
・特定技能:一定の技能と日本語力をもつ外国人材を、人手不足が深刻な特定の分野で受け入れる
・技術・人文知識・国際業務:外国人材が大学や専門学校で学んだ知識に関連する専門業務で受け入れる
・身分に基づく在留資格:永住者や定住者などが該当し、就労に制限がない
技能実習も受け入れ手段の1つに挙げられますが、2027年4月に「育成就労制度」への移行が決定しています。今から検討する場合は前提が変わるため、記事後半の「2027年の育成就労で変わること@」で内容を確認してみてください。
特定技能で雇用する
特定技能は、人手不足が深刻な分野で即戦力を受け入れるための在留資格です。出入国在留管理庁の「特定技能在留外国人数」によると、2025年12月末時点で特定技能1号で在留する外国人のうち、ベトナム国籍者が15万8,497人と最も大きな割合を占めています。
対象となるのは、介護、製造業、建設、農業、飲食料品製造業など、国が定めた分野です。学歴は問われず、分野別の技能試験と日本語試験に合格するか、技能実習2号を良好に修了することで取得できます。
ベトナム人材を特定技能で受け入れる際の詳しい要件は、「ベトナム人を特定技能で雇用するには?企業側のメリットや注意点を徹底解説」の記事にまとめています。
技術・人文知識・国際業務で雇用する
技術・人文知識・国際業務は、専門的な知識や技術を活かす業務に就くための在留資格です。エンジニア、通訳・翻訳、海外営業、設計、経理といった職種が該当します。
取得には、大学や日本の専門学校を卒業しているか、10年程度の実務経験があることが求められます。加えて、学んだ内容と実際に従事する業務に関連性が必要です。
身分に基づく在留資格の人を雇用する
永住者や定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等は、就労に制限がない「身分や地位に応じた在留資格」です。日本人と同じ条件で採用でき、職種や業種の縛りもありません。
手続きの負担は軽くなりますが、特定技能などのように送り出し機関や人材紹介会社を介した母集団形成が難しく、自社で求人媒体などを活用して広く募る必要があるため、候補者数は限られます。とはいえ、国内在住のベトナム人材を探す際に見落とされやすい選択肢のため、覚えておくと採用の幅が広がるでしょう。

外国人を雇用するには?入社前・入社後の手続きと必要書類
参照元:
厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」
ベトナム人を雇用する企業側の要件
在留資格の候補を絞れたら、次は企業側が満たすべき要件を確認します。要件の厳しさは在留資格によって大きく異なり、特に特定技能では受け入れ企業に複数の基準が設けられています。
以下では特定技能を中心に解説し、ほかの在留資格特有のポイントもあわせて補足します。
日本人と同等以上の報酬を支払う
同じ業務に従事する日本人と同等かそれ以上の報酬を支払うことが、法令上の要件に定められています。国籍を理由に基本給を低く設定したり、手当や賞与の対象から外したりすることは認められません。
社内に同じ業務に従事する日本人がいない場合は、賃金規程や同業他社の水準をもとに、設定した理由を説明できるようにしておきましょう。在留資格の申請時に説明を求められることもあるため、根拠を整理しておくと手続きが進めやすくなります。
この考え方は特定技能に限らず、技術・人文知識・国際業務や身分に基づく在留資格で採用する場合にも共通する基本的な考え方です。
過去1年以内に会社都合の退職者がいない
この要件は特定技能や技能実習(育成就労を含む)に特有の受け入れ機関基準で、技術・人文知識・国際業務や身分に基づく在留資格では課されません。
特定技能や技能実習(育成就労含む)で受け入れる場合、従事させる予定の業務において、過去1年以内に会社都合の解雇や退職者を出していないことも要件の一つです。これは、退職者が日本人か外国人かを問わず適用され、「受け入れ機関としての適格性」が判断されます。
協議会への加入と支援体制の整備
特定技能で受け入れる場合、分野ごとに設置された協議会への加入が必要です。在留資格の申請時点で協議会の構成員であることが求められるため、加入までの期間を加味したうえで、採用活動と並行して手続きを進めましょう。
あわせて、外国人材への事前ガイダンスや生活オリエンテーション、定期面談などの支援を実施するための体制づくりも求められます。支援責任者と支援担当者を選任して自社で実施するほか、人手不足などで人員を確保できない場合は、登録支援機関へ支援委託をすることも可能です。
なお、建設分野については協議会への加入に加え、建設特定技能受入計画の認定や建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が必須となります。分野によって追加の手続きが発生する場合もあるため、早い段階で自社が該当する分野の要件を確認し、計画的に準備を進めることが重要です。
登録支援機関の支援の中身や委託の考え方については、以下の記事を参考にしてみてください。

登録支援機関の役割とは?特定技能制度との関係や要件を解説
参照元:
出入国在留管理庁「制度資料説明:外国人労働者に関する制度概要」
一般社団法人建設技能人材機構「01. 受入れまでのフロー」
自社に合う雇用ルートの選び方
在留資格と企業の要件を把握しても、自社に適切な選択肢を判断しづらいこともあるでしょう。そのような場合は、以下で解説する3つの軸をもとに順に絞り込めば、選ぶべき雇用ルートを定めやすくなります。
国内在住者と海外からの採用の違い
最初に決めたいのが、日本国内にいる外国人材を採用するか、海外から呼び寄せるかです。どちらを選択するかで、手続きの内容や就労開始までの期間が大きく変わります。
国内在住者を採用する場合、多くのケースでは外国人材と直接雇用契約を締結し、必要に応じて「在留資格変更許可申請」や「就労資格証明書交付申請」を行うのが一般的です。
一方で、海外から呼び寄せる場合は企業が「在留資格認定証明書交付申請」の手続きを行い、本人が現地の日本大使館で就労ビザを取得する流れになります。後者は現地の送り出し機関との契約や渡航準備・手配などが加わるため、就労開始までの期間は長くなる傾向です。
業務内容から在留資格を絞る
国内または海外のどちらから採用するかが決まったら、次に「任せたい業務内容」を具体的に整理します。たとえば、現場作業が中心であれば「特定技能」、設計や経理など専門知識を活かすオフィス業務なら「技術・人文知識・国際業務」が主な候補となるでしょう。
なかでも判断に迷いやすいのが、専門業務と現場作業が混在するケースです。「技術・人文知識・国際業務」で採用した人材に現場作業を継続的に任せると、在留資格で認められた就労範囲を逸脱する恐れがあるため注意しなければなりません。
選定時には、それぞれの業務が全体でどの程度の割合を占めるかを可視化し、在留資格の基準と照らし合わせて確認しましょう。
学歴や実務経験の要件を確認する
学歴や実務経験など、候補者側の要件をまとめることも重要です。「技術・人文知識・国際業務」で雇用する場合、従事させる業務と外国人材の学歴との関連性が厳しく審査されます。しかし「特定技能」には基本的に学歴の要件がなく、分野ごとの技能試験と一定水準の日本語試験に合格すれば在留資格が付与されるのが特徴です。
在留資格の全体像を確認しておきたい場合は、以下の記事をご参照ください。

就労ビザ(在留資格)は難しくない!全19種類のうち外国人採用に関わるビザはどれ?
ベトナム人を雇用する手続きの流れ
在留資格の候補が決まったら、いよいよ手続きです。基本的な流れは在留資格の種類にかかわらず共通していますが、特定技能・技能実習で海外から呼び寄せる場合は、日本とベトナムの二国間の協力覚書に基づく独自の手続きが加わります。ただし、独自の手続きの中身は在留資格によって異なるため、次の項目で詳しく解説します。
海外から採用する場合の流れ
海外から採用する場合、共通する基本の流れは以下のとおりです。
- 候補者と面接し、雇用契約を締結する
- 地方出入国在留管理局へ「在留資格認定証明書」の交付申請を行う
- 本人が在ベトナム日本大使館などで査証(ビザ)の申請を行う
- 来日し、就労を開始する
なお、特定技能で呼び寄せる場合は、上記1の前後に、認定を受けた送り出し機関との契約締結と、送り出し機関を通じた「推薦者表」の交付申請が追加で必要になります。出入国在留管理庁の「ベトナム特定技能外国人に係る手続の流れについて」に基づく詳しい流れは、以下のとおりです。
- ベトナム認定送り出し機関と「労働者提供契約」を締結する
- 紹介を受けた候補者と面接し、雇用契約を締結する
- 送り出し機関を通じて「推薦者表」の交付申請を行う
- 地方出入国在留管理局へ「在留資格認定証明書」の交付申請を行う
- 本人が在ベトナム日本大使館などで査証(ビザ)の申請を行う
- 来日し、就労を開始する
一方、技術・人文知識・国際業務や身分に基づく在留資格で採用する場合は、送り出し機関や推薦者表の手続きは不要です。求人媒体や人材紹介会社を通じて直接候補者を募集し、雇用契約の締結後に在留資格認定証明書交付申請へ進みます。
送り出し機関の選定と契約に時間がかかるため、特定技能・技能実習で採用する場合は特に、採用計画には余裕をもたせておくと安心です。送り出し機関の選び方や注意点は、以下の記事でも詳しく解説しています。

ベトナム人特定技能人材の送り出し・受け入れに関する注意点を詳しく解説
国内在住者を採用する場合の流れ
すでに日本に在留しているベトナム人材を採用する場合も、基本の流れは在留資格に関わらず共通しています。 面接を経て雇用契約を結んだあと、地方出入国在留管理局で「在留資格変更許可」または「就労資格証明書交付」を申請する流れです。
ただし、特定技能へ変更する場合は、駐日ベトナム大使館での「推薦者表」の交付申請が別途必要になります(すでに特定技能の在留資格で就労している方を採用する場合を除く)。
見落とされやすいのが、すでに特定技能の在留資格をもつ方を採用する場合です。特定技能は働く会社と業務内容が指定される在留資格のため、特定技能のまま同分野内で転職するケースでも、改めて「在留資格変更許可申請」を行わなければなりません。
ベトナム独自の推薦者表の交付申請
「推薦者表」の交付申請は、特定技能で受け入れる場合に必要な手続きです。技術・人文知識・国際業務や身分に基づく在留資格では発生しません。
「推薦者表」は、ベトナム政府が自国民の海外就労を管理するために設けている独自の書類です。日本とベトナムが交わした協力覚書に基づく仕組みで、ほかの国籍出身者の採用にはない手続きになります。
採用ルートによって「推薦者表」の申請先が変わる点に注意が必要です。ベトナム現地から呼び寄せる場合は送り出し機関を通じてベトナム内務省海外労働管理局(DOLAB)へ、日本国内で採用する場合は駐日ベトナム大使館へ申請してください。
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ベトナム人労働者の特徴とは?日本で急増する理由やメリットを紹介
参照元:
出入国在留管理庁「ベトナムに関する情報」
厚生労働省「ベトナムとの協力覚書」
ベトナム人雇用にかかる費用と給料
ベトナム人雇用にかかる費用は、採用時に発生するものと就労開始後に継続してかかるものに分かれます。あらかじめ全体像を掴んでおくと、予算の見通しを立てやすくなるでしょう。
給料は日本人と同等以上が原則
前述のとおり、外国人材の採用では、同じ業務に従事する日本人と同等以上の給料を設定することが要件です。加えて、勤務地の都道府県で定められた最低賃金を下回ることはできません。
各種手当や賞与、昇給に関する取り扱いも日本人と同じ基準で運用します。母国への送金を予定しているベトナム人材も一定数いるため、手取り額への関心は高い傾向です。総支給額だけでなく、社会保険料や税金を差し引いた金額も説明しておくと、入社後の認識のずれを防げます。
採用と申請にかかる費用
採用の段階で発生する主な費用は次のとおりです。
- 人材紹介費:採用が決まった際に発生する費用
- 在留資格の申請サポート費:各種書類作成の支援や行政書士との連携にかかる費用
- 送り出し機関への手数料:ベトナム現地から呼び寄せる場合に発生する費用
- 渡航や住居にかかる費用:航空券の手配や日本での住居の確保にかかる費用
おおよその全体像をあらかじめ把握しておくことで、予算内でのスムーズな採用活動につながります。
支援や日本語教育にかかる費用
就労開始後には、生活支援や教育に関する費用が継続して発生します。特定技能外国人の支援業務を登録支援機関に委託する場合は、外国人材1人当たりに月額の委託費が設定されるのが一般的です。
このほか、日本語学習の教材費や研修費を負担する企業もあります。義務ではありませんが、日本語力の向上は業務の幅や質を広げるほか、定着率アップにもつながる先行投資といえるでしょう。
なお、特定技能の義務的支援にかかる費用を外国人材本人に負担させることはできません。給与から差し引く運用も認められていないため、社内で認識を統一しておくことが大切です。
「外国人材を受け入れたいけれど費用面が不安」という企業は、受け入れ環境の整備にかかる費用を一部負担してくれる国や自治体の支援制度を活用できる場合があります。たとえば、厚生労働省の「人材確保等支援助成金」では、就業規則の多言語化や相談体制の整備が助成の対象になるため、計画段階で制度の活用を検討してみましょう。
外国人材の採用で活用できる補助金・助成金については、以下の記事をご参照ください。

【2025年】外国人雇用でもらえる助成金7選|金額や条件を徹底解説
参照元:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」
雇用契約書と労務管理の注意点
ここでは、ベトナム人雇用の雇用契約書と労務管理の注意点について解説します。外国人材の場合、日本人の採用と同じ感覚で進めると確認が漏れる箇所が出てくるため、特有のポイントを理解しておくことが不可欠です。
雇用契約書は母国語も用意する
労働条件がどれくらい正しく伝わっているかは、入社後の信頼関係や定着に影響します。日本語だけの契約書では細かな条件が正確に伝わらず、認識のずれが生じやすくなってしまうでしょう。
なお、特定技能で受け入れる際は、外国人材が十分に理解できる言語を併記した雇用条件書の交付が求められます。ベトナム人材の雇用ではベトナム語を併記し、給与の内訳や勤務時間、休日、業務内容をしっかり明記しておきましょう。
社会保険と労働保険に加入する
社会保険と労働保険は、国籍にかかわらず日本人と同じ基準で適用されます。要件を満たしているにもかかわらず企業側が加入手続きを行っていない場合、在留資格の更新に影響が出ることもあるため必ず確認するようにしましょう。
なお、日本とベトナムの間では現在、社会保障協定が締結されていません。外務省の報道発表によると、2025年7月に締結に向けた政府間交渉が開始されましたが、現時点ではまだ交渉段階です。そのため、ベトナム国内の法制度上、日本の社会保険加入とは別にベトナムの社会保険への加入継続が求められる可能性があります。雇用契約時には、両国で社会保険料の二重負担となるリスクについて本人に確認し、認識の齟齬がないよう配慮することが大切です。
外国人材の社会保険加入条件は、以下の記事で詳しく解説しています。

外国人の社会保険加入条件とは?脱退一時金や社会保障協定についても解説
在留カードで就労の可否を確認する
採用前に必ず行いたいのが、在留カードのチェックです。警視庁の「不法就労者を雇用した事業主は不法就労助長の処罰対象になります」に記載があるとおり、企業が在留カードの確認を怠った結果、就労が認められていない外国人材を雇った場合、「不法就労助長罪」として3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される恐れがあります。その外国人材が不法就労者であることを知らなかったとしても本人と雇用主の双方が処罰の対象となるため、在留カードは必ず現物を提示してもらい、記載事項も漏れなく確認しましょう。
在留カードで優先的に確認すべき項目は、主に以下の3点です。
- 在留資格の種類:従事する予定の業務内容で働けるか
- 在留期間の満了日:在留期限が切れていないか
- 資格外活動許可(裏面):就労に制限はないか
なお、在留カード自体が有効なものか、偽変造されていないかについては、出入国在留管理庁が提供している「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」で検証できます。入社時だけでなく、在留期間の更新時にも改めて確認する運用方針にしておくと安心でしょう。

在留カード番号とは?意味・役割や企業向けに失効情報の確認方法などを解説
参照元:
外務省「報道発表」
警視庁「外国人の適正雇用について」
出入国在留管理庁「在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ」
2027年の育成就労で変わること
ベトナム人材の受け入れ手段として広く活用されてきた技能実習制度は、2027年4月1日に育成就労制度へと移行します。これから受け入れを検討する企業にとって、前提が変わる大きな改正です。
技能実習から育成就労への移行
改正入管法などによって技能実習制度は発展的な解消が決定しており、これに代わる制度として新たに「育成就労制度」が創設されました。最も大きな変化は、制度の目的が国際貢献による技能移転から、日本国内での人材育成と人材確保へと明確に位置づけし直された点です。
改訂された基本方針に基づき、育成就労では、原則3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで外国人材を育成することが想定されています。従来の監理団体は監理支援機関となり、許可制の導入や外部監査人の設置など、適正な運営のためにより厳格な基準が設けられる方向です。

技能実習生にベトナム人が多いのはなぜ?背景や採用するメリットを解説
今から技能実習を検討する場合
すでに技能実習生を受け入れている企業や準備を進めている企業に配慮して、育成就労制度の施行開始後も、一定期間は従来の枠組みによる受け入れを認める経過措置が設けられます。今すぐに技能実習生の受け入れが停止されるわけではありません。
とはいえ、これから新たに技能実習生の受け入れを検討する場合は、施行後の運用も見据えて総合的に判断したいところです。たとえば、特定技能で雇用すると制度移行の影響を受けにくく、育成就労からの移行先にもなるため、軸として据える選択肢もあります。
実務上の細かいルールや制度概要・関係法令などは施行開始日まで調整される可能性があるため、最終的な判断は出入国在留管理庁の最新情報を確認しながら進めましょう。
両制度の違いをあらかじめ把握しておきたい場合は、以下の記事をご覧ください。

ゼロから分かる育成就労!技能実習との違い&施行までの流れを解説
参照元:出入国在留管理庁「育成就労制度」
ベトナム人材が定着する職場づくり
手続きを終えて就労が始まったあとは、長く働いてもらうための職場環境づくりが重要になります。採用にかけた費用と時間を活かすためにも、受け入れ前からしっかり準備しておきましょう。
※本記事でご紹介するのはあくまで一般的な傾向です。性格や価値観には個人差があり、すべての方に当てはまるわけではありません。実際の受け入れに当たっては、個々の価値観は多様であるという前提で一人ひとりとのコミュニケーションを大切にすることが重要です。
ベトナム人が日本で働く理由を知る
ベトナム人が日本を就労先として選ぶ背景には、母国と比べた際の給与水準の高さ、先進技術を学べる環境、生活の安全性などがあるといわれています。また、日本に親しみをもっている方が比較的多いことも理由の一つに挙げられるでしょう。
注目したいのは、就労先として日本以外の選択肢が広がっている点です。ベトナム国内の経済成長に加え、他国もベトナム人を含む外国人材の受け入れを進めており、日本が選ばれ続けるとは限らない状況になりつつあります。
そのため、将来的にも自社がベトナム人から「選ばれる企業」になれるよう、待遇面の見直しや労働環境の改善といった主体的な企業努力が不可欠です。単なる人手不足の解消手段としてではなく、共に成長し合うパートナーとしてベトナム人材を迎え入れる姿勢を示すことが、中長期的な人材確保につながる重要なカギとなります。
評価と昇給の基準を明確に伝える
仕事の進め方については、文化的な背景の違いから認識のずれが生じやすいとされています。特に、期待する成果や評価の基準が明確に言葉で示されていないと、戸惑いにつながることがあるようです。
評価項目や昇給の時期、昇給の判断基準については、数値や期日を具体的に伝えるようにしましょう。指示を出す際も、取り組む背景と完了の条件をあわせて説明すると認識が揃いやすくなります。また、ベトナムの「テト」と呼ばれる旧正月など、伝統的な祝日や家族の事情による一時帰国の希望も想定されるため、まとまった休みの申請期限や取得日数を制度として定めておくと、本人と現場の双方が判断に迷いません。
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ベトナム人の特徴とは?仕事に対する考え方や雇用する際の注意点を紹介
ベトナム人の雇用に関するよくある質問
最後に、ベトナム人の雇用についてよくある疑問にお答えします。
建設業で雇用する際の追加手続きは
建設分野で特定技能のベトナム人材を受け入れる場合、先述のとおり分野別の協議会への加入に加えて、建設特定技能受入計画の認定を受けなければなりません。あわせて、建設キャリアアップシステムへの事業者登録と技能者登録も必要です。ほかの分野にはない追加のプロセスが発生するため、建設分野に該当する企業の担当者の方は漏れなく手続きを行いましょう。
農業でベトナム人を雇用できますか
農業は技能実習(育成就労)や特定技能の対象分野に含まれているため、ベトナム人の受け入れが可能です。また、特定技能の中でも派遣形態での外国人材の受け入れが認められている数少ない分野でもあり、季節の繁忙期に合わせた人員配置をしやすい点が特徴といえます。
介護分野で雇用する際の追加要件は何ですか?
外国人材を介護分野で雇用する場合、出入国管理上の共通手続きに加え、受け入れ制度(在留資格)に応じた介護独自の技能・日本語要件を満たす必要があります。また、事業所側には「介護分野特定技能協議会」への加入義務(特定技能の場合)や、事業所ごとの受け入れ枠制限など、分野特有のルールが設定されています。
なお、訪問介護については条件付きで解禁されるなど制度の見直しも進んでいるため、詳細は下記の記事をご参照ください。

特定技能「介護」でベトナム人を採用するには?メリット・費用・注意点を解説
在留資格によって日本語能力の要件はどう変わりますか
特定技能1号では、原則JLPT N4相当以上、もしくはJFT-Basic(CEFR A2相当)の合格が目安です。自動車運送業や鉄道の一部区分ではN3相当以上、介護分野では介護日本語評価試験の合格も別途必要になります。
技術・人文知識・国際業務では、原則として法令上の日本語能力の要件はありません。ただし、2026年4月15日以降、中小企業などが該当しやすい「カテゴリー3・4」に区分される場合、営業や通訳などの対人業務に従事させる際はCEFR B2相当(JLPT N2以上など)の日本語能力を証する資料が必要になりました。 永住者などの身分に基づく在留資格には、日本語能力の要件自体がありません。

ベトナム人あるあるを紹介!仕事に対する考え方の特徴やタブーな言動も解説
参照元:
一般社団法人建設技能人材機構「01. 受入れまでのフロー」
出入国在留管理庁「農業分野」
厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
出入国在留管理庁 厚生労働省「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について外国人雇用状況の届出について」
まとめ
ベトナム人の雇用は、選ぶ在留資格によって企業側に求められる要件や手続きが大きく異なります。特定技能では送り出し機関・推薦者表といったベトナム独自の手続きが加わる一方、技術・人文知識・国際業務や身分に基づく在留資格では別の観点での審査が必要です。
また、2027年4月には技能実習が育成就労へ移行するため、今後は制度変更も見据えた受け入れ計画が求められます。手続きが複雑に感じる場合は、専門家のサポートを活用するのも一つの方法です。
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実際に外国人材を受け入れた企業の様子は、以下の採用事例の記事で紹介しています。受け入れ後のイメージを描く参考にしてみてください。

- ・最新の外国人採用市場の動向について
- ・日本国内の人手不足の状況
- ・外国人を採用している企業の意向
- ・採用手段の1つとして外国人採用が選ばれる理由
- ・外国人採用を安心で簡単に進める方法











