
執筆: Leverages Global編集部 (ライター)
深刻な人手不足が続く介護業界において、即戦力となる外国人材の採用を検討する施設が増えています。なかでも、日本の介護現場に馴染みやすい文化的背景を持つベトナム人は、有力な候補の一つです。しかし、「具体的な手続きは?」「費用はどのくらいかかる?」といった疑問を持つ担当者の方もいるでしょう。
この記事では、特定技能「介護」でベトナム人を採用する手順やメリット、費用、注意点までわかりやすく解説します。
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目次
この記事のまとめ
- 特定技能「介護」の在留資格を持つベトナム人は1万人を超えており、今後もさらなる増加が見込まれる
- ベトナム人は穏やかな人柄や年長者を敬う傾向があり、日本の介護現場に馴染みやすい
- 採用の際は、ベトナム政府独自の「推薦者表」の手続きが国内外問わず原則として必要となる
- フルタイムでの直接雇用が義務付けられており、受け入れ施設には10項目の義務的支援が発生する
特定技能の在留資格を得て、日本の介護現場で就労するベトナム人は1万人を超えています。
特定技能とは人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性や技能を持つ即戦力の外国人材を受け入れるための在留資格です。出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等(令和7年12月末)」の【第1表】主な国籍・地域別 特定産業分野別 特定技能1号在留外国人数によると、特定技能「介護」の在留資格を持つ外国人は全体で67,871人に達しています。国籍別の内訳を見ると、インドネシアの21,139人、ミャンマーの19,803人に次いでベトナムが10,401人となっており、3番目に多い規模です。
ベトナム人材が日本の介護業界で数多く活躍している背景には、これまでの受け入れ実績があります。ベトナムは経済連携協定(EPA)や技能実習制度を通じて、早くから日本の介護現場に人材を送り出してきました。そのため、現地では日本で働くことへの関心がもともと高いのが特徴です。
実際に、技能実習「介護」の送り出し国としてはベトナムが最も多く、実習を修了した後に特定技能へ移行する方が少なくありません。良好な就労基盤があるため、特定技能におけるベトナム人の人数は今後もさらに伸びていくと予想されます。
参照元: 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表等」 外務省「我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組」 外務省「日・ベトナム経済連携協定」 厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」 出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」

ベトナム人の特徴とは?仕事に対する考え方や雇用する際の注意点を紹介
特定技能「介護」とは、介護業界の深刻な人手不足を解消するために設けられた在留資格であり、一定の専門知識や技術を持つ外国人材を即戦力として受け入れられる制度です。国が指定する産業分野の一つとして運用されており、多くの現場で体制維持や深刻な人員不足の解消に役立てられています。任せられる業務は利用者の入浴や食事、排泄介助といった身体介護のほか、それに付随する支援業務や関連業務です。
特定技能の外国人材は就労開始当日から人員配置基準に算入できるため、現場の配置調整をスムーズに進められます。ただし、受け入れにあたっては上限が設定されており、施設の常勤介護職員の総数を超えて雇用することは認められていません。なお、2025年4月からは従来の施設勤務に加えて訪問介護への従事も可能となり、より柔軟な人員配置が行えるようになりました。
介護分野には、他の産業分野に設けられている「特定技能2号」がありません。その代わりに、日本で実務経験を積みながら国家資格である「介護福祉士」を取得することで、在留資格「介護」へ移行できる仕組みが用意されています。在留資格「介護」を取得すれば、在留期間の更新制限がなくなり家族の帯同も認められるため、貴重な戦力として長期にわたる活躍が期待できます。

特定技能とは?制度の仕組みや技能実習との違いをわかりやすく解説
ベトナム人材を雇用する大きなメリットは、日本の介護現場に馴染みやすい点です。親しみやすい人柄や文化的背景から、良好な人間関係を築きやすく、スムーズな職場定着が期待できます。
温厚な人が多く利用者と信頼関係を築きやすい
ベトナム人は温厚な人柄の方が多いといわれており 、日々の丁寧な対応を通じて利用者と信頼関係を築きやすい傾向があります。いつも笑顔で接する姿は、職場の雰囲気を自然と明るくしてくれます。高齢者の不安や不穏な感情を優しく和らげることで、施設を利用する本人だけでなく、その家族にも安心感を与えられるでしょう。
学習意欲が高く介護技術の習得が期待できる
ベトナム人は仕事や勉強に対して真摯に向き合う方が多く、日本の介護技術をスムーズに習得できるポテンシャルを秘めています。日々の業務に必要な知識に対しても、熱心に学ぶ姿勢が印象的です。身体介助の手順や施設独自のケア方針を意欲的に吸収するため、現場への早期の定着と活躍が期待できるでしょう。
年長者を敬う文化があり介護現場に馴染みやすい
ベトナムには儒教の教えに基づき、家族や目上の人を大切にする文化的背景があるといわれています。こうした背景を持つ方は、年長者への敬意を大切にする介護現場の価値観と親和性が高い傾向があります。

ベトナム人あるあるを紹介!仕事に対する考え方の特徴やタブーな言動も解説
特定技能「介護」でベトナム人を採用するには、ベトナム人本人と受け入れ施設の双方が国や制度の定める要件をすべて満たしている必要があります。
まず、ベトナム人が在留資格「特定技能」を取得するためには、主に以下の4つのルートのいずれかをクリアしなければなりません。
- 介護技能評価試験と日本語試験に合格する
- 技能実習2号を良好に修了する
- 介護福祉士養成施設を修了する
- EPA介護福祉士候補者として4年間就労する
また、受け入れ施設側にも適切な雇用契約の締結に加え、介護分野における特定技能協議会への入会が義務付けられています。ベトナム人が日本で安心して生活し、就労に専念できる環境を整えるための支援体制の構築も不可欠です。
なお、ベトナム人を雇用する際は、海外からの呼び寄せか国内採用かを問わず、原則としてベトナム政府が発行する「推薦者表」の手続きが必要です(すでに国内で特定技能として就労している場合を除く)。
詳しくは、以下の記事で解説しています。

ベトナム人を特定技能で雇用するには?企業側のメリットや注意点を徹底解説
参照元: 出入国在留管理庁「試験関係」 出入国在留管理庁「特定技能制度」 外務省「我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組」 厚生労働省「外国人介護人材の受入れについて」
ベトナム人を特定技能で雇用する際は、ベトナム独自の送り出し制度の遵守や直接雇用・フルタイム勤務といった法令上の義務を正確に把握しておく必要があります。
現地から採用する場合は送り出し機関の利用が必須
現地に居住するベトナム人を採用する場合は、ベトナム政府が認定した送り出し機関を経由しなければなりません。これはベトナムの法令で定められたルールであり、日本の施設が現地で直接募集を行って採用することは禁止されています。
送り出し機関は現地の候補者募集や面接のセッティング、入国前の日本語教育などをサポートしてくれる存在です。手続きを滞りなく進めるためにも、実績が豊富で信頼できる機関を選定することが大切です。
雇用形態は直接雇用のみ
特定技能の外国人材を受け入れる際は、人材派遣ではなく施設と直接雇用契約を結ぶことが義務付けられています。
パートやアルバイト、短時間勤務といった形態での採用は認められておらず、安定した就労環境の提供が必要です。なお、雇用条件を満たしていれば、正社員だけでなく契約社員として採用することも可能です。
特定技能で求められるフルタイムの雇用とは、「週5日以上・週30時間以上・年間217日以上」の条件をすべて満たす勤務体制を指します。勤務割を作成する際は、この基準を下回らないよう管理しましょう。
特定技能1号に共通する支援義務が発生する
特定技能1号の外国人を受け入れる施設には、外国人が日本での生活や就労を円滑に始められるよう、法律に基づいた支援を行うことが義務付けられています。
具体的な支援内容は住居の確保や生活オリエンテーションの実施、役所への手続きの同行、日本語学習の機会の提供など、多岐にわたる10項目です。これらすべての支援を施設だけで対応することが難しい場合は、登録支援機関へ業務を委託するのがおすすめです。
Leverages Global(レバレジーズグローバル)は人材紹介のみならず、専門家等と連携し入社に伴う書類作成サポートや、入社後の定着支援なども行っております。登録支援機関として、特定技能人材への義務的支援にかかるサポートも代行いたしますので、手続きにご不安な方もぜひお気軽にお問い合わせください。

登録支援機関の役割とは?特定技能制度との関係や要件を解説
特定技能のベトナム人材の早期離職を防いで定着を促すには、日々の丁寧な意思疎通と将来的な成長の見通しを明確に示すことが欠かせません。具体的には、言葉の壁を考慮した指示の出し方やモチベーションを高めるキャリアパスの提示が効果的です。
わかりやすい日本語で明確に指示を出す
業務の指示を出す際は曖昧な表現を避け、作業の内容や手順、期限を具体的に伝えることが大切です。
特定技能の在留資格を持つベトナム人は一定の日本語力を備えていますが、日本の職場に見られる暗黙の了解や細かいニュアンスまで正確に汲み取ることは容易ではありません。誤解によるすれ違いを防ぐためにも、「何を」「どのように」「いつまでに」行うのかを一つずつ明確に提示し、お互いが安心して働ける環境を整えることが大切です。
具体的なキャリアパスやスキルアップの機会を設ける
長く働き続けてもらうためには、充実したスキルアップ支援や具体的な評価基準の整備が不可欠です。
ベトナム人は新しい知識や技術の習得に対して意欲的な方が多く、自身の努力や成果が適切に評価される環境を好む傾向があります。そのため、「介護福祉士の資格取得に向けた学習支援」や「将来的なリーダー職への登用」といった明確な道筋を提示することが効果的です。昇給や昇格の基準を事前に共有しておくことで、定着率の向上が期待できるでしょう。

異文化コミュニケーションとは?よくある失敗例や交流成功のコツを紹介
特定技能「介護」でベトナム人を雇用する際にかかる費用は、現地から新しく受け入れるか、国内在住者を採用するかによって異なります。初期費用として送り出し機関や人材紹介会社への手数料が発生するほか、入国後も継続的な支援費用が必要です。
送り出し機関への手数料(現地から受け入れる場合)
ベトナムの法律により、受け入れ施設は最低でも基本給1ヶ月分にあたるサービス手数料を送り出し機関に支払わなければなりません。また、このサービス料とは別に、外国人材1人あたり10万円以上の渡航前教育費の負担も施設側に義務付けられています。この教育費は、現地での日本語訓練や職業技能訓練に充てられるものです。
海外からの採用を計画する際は、あらかじめ予算に組み込んでおきましょう。
渡航費用(現地から受け入れる場合)
ベトナム人労働者が日本に渡航する際の飛行機代も、受け入れ企業や施設が負担します。具体的な金額はベトナム国内での移動費や出入国時期によって異なりますが、1人当たり4~9万円ほどかかると見ておきましょう。
人材紹介会社への手数料
日本国内に在住しているベトナム人を採用する場合は、仲介する人材紹介会社への手数料が発生します。
紹介会社を介して採用する際の手数料の相場は、1人あたり20万円~80万円程度です。なお、知り合いからの紹介やハローワーク、自社の採用ページなどを通じて直接採用できた場合には、紹介会社への手数料は発生しません。
在留資格申請にかかる費用
在留資格申請の手続きにおいて、出入国在留管理庁へ支払う手数料は以下の通りです。
- 現地から受け入れる場合:「在留資格認定証明書交付申請」は無料
- 国内在住者を採用する場合:「在留資格変更許可申請」は6,000円(オンライン申請は5,500円)
- 在留期間を延長する場合:「在留期間更新許可申請」は6,000円(オンライン申請は5,500円)
登録支援機関への委託など義務的支援にかかる費用(国内外問わず)
特定技能1号の受け入れに伴う義務的支援を運用するためには、交通費や外部委託などの費用が必要です。
義務的支援を自社で実施する場合、出入国時の送迎費用や日本語学習のサポート費用などが実費として発生します。施設での支援対応が難しく、登録支援機関へ支援計画の実施を委託する場合の費用相場は、毎月1人あたり3万円程度です。
参照元: 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」 在ベトナム日本国大使館「『契約に基づいて外国で働くベトナム人労働者に関する法律』関連法令の仮和訳の掲載」 出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」

登録支援機関にかかる費用の相場・内訳は?委託のメリットや注意点も解説
ベトナム人を特定技能で雇用する際、手続きや現地の試験状況について疑問を持つ担当者は少なくありません。ここでは、よく寄せられる質問をまとめています。
ベトナム大使館で特定技能に必要な推薦状の発行はできる?
駐日ベトナム大使館で、特定技能の手続きに必要な推薦状(正式名称:推薦者表)の発行申請を行うことは可能です。
日本国内に在留している留学生や技能実習生などを特定技能へ切り替える際、駐日ベトナム大使館が推薦者表の承認窓口となります。手続きは外国人材本人が行うほか、受け入れ施設や登録支援機関が代行することも認められています。なお、すでに別の施設などで在留資格「特定技能」を得て就労しているベトナム人を採用する場合には、推薦者表の提出は不要です。
特定技能「介護」の試験はベトナムで実施されている?
特定技能「介護」の取得に必要な介護技能評価試験、日本語試験(JLPTやJFT-Basic)、介護日本語評価試験はいずれもベトナム現地で定期的に開催されています。
現地の開催日程をあらかじめ確認しておくことで、計画的な採用活動を進めやすくなるでしょう。
参照元:特定技能総合支援サイト「特定技能に関する試験情報」

受入れ前の不安が「いてくれてありがたい」へ。特定技能人材の活躍がもたらした変化
特定技能「介護」におけるベトナム人の採用は、施設の深刻な人手不足を解消し、現場の就労体制を安定させるための有効な選択肢です。
ベトナム人は穏やかな人柄や目上の方を敬う文化的背景を持ち、利用者や既存の職員と良好な関係を築きやすいという強みがあります。採用にあたっては、ベトナム独自の「推薦者表」の取得やフルタイムでの直接雇用、10項目の義務的支援といった制度上のルールを正しく理解し、適切に運用することが大切です。
手続きの煩雑さや支援に不安がある場合は、登録支援機関へ支援業務を委託することで、現場の負担を抑えながら確実な受け入れ体制を整えられます。
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