
執筆: Leverages Global編集部 (ライター)
日本人の介護人材の採用が難しくなるなか、特別養護老人ホームフレンズホームでは、昨年度から特定技能人材の採用を進めています。初めての外国人採用では、候補者の選考だけでなく、既存職員の不安をどう解消するか、受け入れ後の業務をどう整えるかといった準備も必要でした。
今回は、フレンズホームの米澤様に、外国人採用を始めた背景や受け入れに向けた工夫、入職後に感じた変化、今後の展望について伺いました。

会社名
社会福祉法人 日本フレンズ奉仕団
特別養護老人ホーム フレンズホーム
業種
医療、福祉
設立
1990年
地域
東京都世田谷区
従業員数
197名
外国人従業員数
7名
目次
お話を伺った方

特別養護老人ホーム フレンズホーム /
副施設長
米澤様
課題
- 日本人の介護職員の採用が難しく、安定した人員確保が課題だった
- 初めての外国人採用にあたり、既存職員の不安解消や日本語面のサポート体制づくりが必要だった
効果
- 採用から行政手続きまでの支援により、初めての外国人採用を円滑に進められた
- 経験とコミュニケーション力を持つ人材の活躍が、既存職員にとってもよい刺激になった
日本人採用の難しさを背景に、外国人採用を検討
ーー外国人採用を始めたきっかけを教えてください。
昨年度から、外国人採用の検討を具体化しました。以前から選択肢にはありましたが、日本人の採用は募集をかけてもなかなか結び付かない状況が続いていたためです。紹介会社を利用する機会が増え、費用面も課題になっていました。ただ、より大きかったのは、そもそもの介護人材不足です。同じ世田谷区内でも外国人職員を採用する特別養護老人ホームが増えており、当施設でも採用を進める必要があると判断しました。
ーー選考時に重視しているポイントは何でしょうか。
重視したのは、施設での勤務経験と日本語力です。特に、入所施設での勤務経験があり、できれば特別養護老人ホームで働いた経験を持つ方を希望しました。加えて、日常会話に支障がない日本語力も条件としてお伝えしています。結果、希望に合う方をご紹介いただき、面接でも「この方なら安心して任せられる」と感じることができました。
入職後は、業務の習得スピードが期待どおりだっただけでなく、日本人職員や利用者様とのコミュニケーション力も高く、期待以上の活躍を見せてくれています。
ーー弊サービスを導入した決め手を教えてください。
一番の決め手は、サポートの手厚さです。当施設にとって、外国人採用は初めての取り組みでした。多少の知識はあったものの、実際の採用方法や手続きが当施設に合っているのか、不安な部分もありました。
採用活動だけでなく、行政手続きについてもサポートしてもらえる点が大きかったです。分からないことがあった際に確認しながら進められたため、初めてでも安心して採用を進められました。また、本社ではほかのサービスも併用していましたが、レバレジーズは利用後も細かく対応していただけると感じています。
期待を上回るコミュニケーション力が、組織にもよい刺激に
ーー受入れにあたり、既存職員にはどのように説明しましたか?
最も大きな準備は、既存の日本人職員への説明と理解促進でした。長く勤めている職員のなかには、外国人職員を受け入れた経験がない方も多くいます。一方、前職で外国人職員と働いた経験がある方のなかには、「言葉が通じにくい」といったマイナスの印象を持つ方もいました。
そこで、会議や説明会の場を複数回設け、職員から率直な不安や疑問を聞き、その都度説明を重ねています。実際の面接内容や候補者の印象を具体的に共有しながら、受け入れへの不安を一つずつ解消していきました。
ーー外国人職員の実際の働きぶりについて教えてください。
今回採用した方々は、施設経験者を優先してご紹介いただいたため、業務の習得スピードについては期待どおりでした。一方で、期待以上だったのはコミュニケーション力です。日本人職員とのやり取りだけでなく、利用者様とのコミュニケーションも非常に良好でした。面接でも重視していた点ですが、入職後も高い水準で力を発揮していただいています。
業務経験だけでなく、職員や利用者様とのコミュニケーション力が期待を上回っていました。外国人だからといって、仕事の質が低いということはありません。個人差はあるものの、今回入職された方々には、介護の仕事に対する強い思いと高いプロ意識を感じています。
ーー採用後に感じた変化やメリットはありますか?
外国人職員が利用者様に接する姿や、仕事に向き合う姿は、既存職員にもよい刺激を与えています。
仕事を長く続けていると、日々のコミュニケーションが慣れ合いになってしまうこともあります。しかし、外国人職員の方々が丁寧に利用者様と向き合う姿を見ることで、「本来はどう接するべきだったか」を改めて考える機会になりました。外国人職員の仕事への真摯な姿勢が、既存職員が初心に返るきっかけにもなっています。
ーー外国人雇用を推進するなかで、大変だったことはありますか?
最も大きな課題は、日本語、特に漢字を含む書類対応です。日本人職員であれば5分程度で書ける報告書や事故報告書、ヒヤリハットの記録でも、外国人職員にとっては20〜30分かかることがあります。言葉や漢字を調べ、適切な表現を探す必要があるためです。
書類の書式を簡素化し、翻訳機能やイラストも活用することで、日本語による負担を減らしています。チェックを入れるだけで済む項目を増やすなど、書類はより分かりやすい形に見直しました。
ーー採用後の育成面で工夫していることはありますか?
日本人の新人職員と同様に、チューター制度を導入しています。先輩職員が一人つき、業務上の相談はもちろん、日常的な不安も相談しやすい体制を整えています。
外国人職員にとっては、仕事を覚える過程で分からないことが出てくる場合もあります。そのため、すぐに相談できる相手がいることは大切です。先輩職員が身近で支えるチューター制度により、業務面の不安を相談しやすい環境をつくっています。
ーー定着に向けて取り組んでいることがあれば教えてください。
法人として支給していた住宅手当について、規定を整備し、外国人職員も対象としました。仕事だけでなく、生活面も含めて働きやすい環境を整えることが重要だと考えています。また、研修や法人全体の集まりへの参加を呼びかける際には、母国語で案内を渡すこともあります。施設長や役職者から招待状のような形で伝え、施設全体で歓迎していることを分かりやすく伝えるようにしています。
採用から2〜3か月後には、施設長が中心となってお茶会も実施しました。仕事で困っていることや疑問点を気軽に話してもらい、業務外でもコミュニケーションを取る機会にしています。現在、特定技能の職員は7人おり、休日に一緒に出かけたり、カラオケに行ったりするなど、職員同士の自然なつながりも生まれているようです。住宅支援や母国語での案内、日常的な交流を通じて、安心して長く働ける関係づくりを進めています。施設側が過度に介入しなくても、職員同士で支え合える関係ができつつあります。
固定観念を持たず、一人ひとりを見ることが重要
ーー今後のキャリアパスや、外国人職員に期待する役割を教えてください。
今後も、日本人採用の難しさを踏まえると、特定技能人材の採用は続いていくと考えています。まずは、介護福祉士などの国家資格取得を目指してもらいたいです。そのうえで経験を積み、将来的には特定技能人材のOJTを担えるリーダーになってほしいと考えています。
将来的には、資格を取得した職員が後輩の育成や施設運営を担う存在になることを期待しています。特定技能人材に限らず、施設の役職を担う職員が生まれることも理想です。そのためには、採用するだけでなく、施設側が継続的に育成する仕組みをつくる必要があります。
ーー資格取得や長期就業に向けて、今後取り組みたいことはありますか?
現在は研修体制を改めて整備しています。外部の支援を受けながら実務者研修を受講していますが、将来的には施設内でも資格取得を支援できる仕組みを整えたい考えです。勤務時間内に施設で学習できる仕組みを整え、資格取得に伴う負担を減らしたいと考えています。周囲に職員がいる環境であれば、授業で分からなかった部分や、日本語面で理解しにくかったこともその場で相談できますしね。
ーー外国人雇用を検討している企業の皆様へメッセージをお願いします。
外国人採用には、受け入れるまでのハードルがあります。既存職員から反対意見が出ることもあるかもしれません。しかし、受け入れ側である日本人職員とも丁寧にコミュニケーションを取り、不安を一つずつ解消していけば、乗り越えられることは多いと思います。受け入れ前の不安には丁寧に向き合い、既存職員との対話を重ねることが重要です。
また、外国人採用の導入までには時間がかかりますが、まずは行動してみることで、よい人材との出会いにつながるのではないでしょうか。外国人人材とのコミュ二ケーションについても、特定技能人材や外国人職員という枠組みで捉えるのではなく、一人の職員として向き合うことが大切です。それぞれに個性があり、仕事に対する思いがあります。実際に受け入れ、コミュニケーションを取るなかで、そうしたことが見えてくると感じています。
2023年8月に特定技能として日本に来て、2025年9月に特別養護老人ホームフレンズホームへ入職した、ミャンマー出身のKYAW ME ME KHAING(チョー ミー ミー カイン)さん。日本で働こうと思った理由や、今の仕事、これからの目標を伺いました。
お話を伺った方

KYAW ME ME KHAINGさん
家族を支えたい気持ちが一番大きく、日本で働くことを決めました。また、介護の仕事でキャリアアップするために、日本はよい国だと考えました。フレンズホームを選んだ理由は、同じ法人の保育園が近くにあり、子どもたちとの交流があるとホームページで知ったからです。高齢者様も子どもも好きなので、今も楽しく働いています。家族を支えながら、介護の仕事でも成長したいと思い、日本で働くことを選びました。
今は、食事・排泄・入浴の介助を主に行っています。利用者様の様子を報告したり、面会に来たご家族の対応をしたりすることもあります。利用者様と話したり、冗談を言い合ったりする時間が楽しいです。身体的に大変なことや、忙しい日もありますが、困ったときは周りの職員が助けてくれます。資格取得の支援や住宅支援があることも、ありがたいです。困ったときに周りの職員が助けてくれるので、安心して働けています。
日本語は、ミャンマーにいたときに日本語学校で勉強しました。日本に来てからも、休みの日に勉強を続けています。今は、介護福祉士の試験に向けて勉強していて、新しい言葉を学ぶことも多いです。これからも任せてもらった仕事をしっかり行い、日本で長く働きたいと考えています。介護福祉士の資格を取り、日本で長く介護の仕事を続けることが目標です。
初めての外国人採用でフレンズホーム様が重視されたのは、候補者本人への支援だけではありませんでした。既存職員の不安に耳を傾け、面接で感じた人柄や経験を具体的に共有しながら、受け入れへの理解を広げていった点が印象的です。
書類の簡素化、翻訳機能の導入、チューター制度、母国語での案内、住宅手当の対象拡大、資格取得支援の検討など、定着に向けた施策は一つではありません。採用後の働きやすさを現場の課題に合わせて整えていくことが、長期的な活躍につながると感じました。米澤様の「外国人という括りで見ず、一人の職員として向き合う」という姿勢は、外国人雇用を検討する多くの施設にとって参考になるのではないでしょうか。
Leverages Global(レバレジーズグローバル)では、介護分野における即戦力人材のご紹介から、入職後の定着に向けた支援まで、一気通貫でサポートしております。在留資格や職種など、各企業様のご要望に応じた柔軟なご対応が可能です。外国人採用を検討される際は、ぜひお気軽にLeverages Globalまでお問い合わせください。
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※本記事の内容は、取材実施時点(2026年6月15日)での情報となります。

- ・最新の外国人採用市場の動向について
- ・日本国内の人手不足の状況
- ・外国人を採用している企業の意向
- ・採用手段の1つとして外国人採用が選ばれる理由
- ・外国人採用を安心で簡単に進める方法













