執筆: Leverages Global編集部 (ライター)
「技能実習」と「特定技能」の違いを正確に説明できるでしょうか?この2つの在留資格は目的や仕組みが全く異なるため、自社に合った制度を選ぶには正しい理解が不可欠です。
この記事では、制度の目的や在留期間、転職の可否など8つの視点を徹底比較。技能実習から特定技能へ移行する要件や方法、企業側のメリット・デメリットも詳しく解説しています。
これから外国人材を雇用予定の企業担当者の方はぜひ参考にしてください。
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技能実習とは、日本が培ってきた技術や知識を開発途上国へ移転し、国際貢献を果たすことを目的とした在留資格です。外国人材を実習生として受け入れ、OJTを通じて実践的なスキルを習得してもらいます。
技能実習制度の根幹にあるのは「人づくり」への協力であり、日本の人手不足を補うことが直接の目的ではありません。帰国した実習生が母国の経済発展を担うことが期待されています。
特定技能とは、国内の深刻な人手不足に対応するため、2019年に創設された在留資格です。特に人材の確保が困難な16の特定産業分野において、一定の専門性や技能を持つ外国人材の受け入れを目的としています。
特定技能外国人は、即戦力として活躍することが期待される労働者です。そのため、就労を開始する前に、業務に必要な技能水準と日本語能力水準を満たしている必要があります。
技能実習と特定技能はどちらも外国人材が日本で働くための制度ですが、その目的やルールは大きく異なります。企業が自社のニーズに合った人材を受け入れるためには、これらの違いを正確に理解しておくことが不可欠です。
ここでは、両制度における8つの違いをわかりやすく解説します。
1.制度の目的
最も根本的な違いは、制度が掲げる目的です。
技能実習は、あくまで日本から海外への「技術移転を通じた国際貢献」を目的としています。そのため、技能実習生は単純な労働力ではなく、技術を学ぶ立場です。よって、活動内容も計画実習の範囲内に限定されています。
一方、特定技能は国内の人手不足を解消するための「労働力の確保」が目的です。特定技能外国人は労働力として雇用でき、幅広い業務への従事が期待できます。
この目的の違いが、在留期間や転職の可否といったほかのルールの違いにつながっているのです。
2.対象分野と職種
対象となる業務の範囲も異なります。
技能実習は、国が定めた91職種168作業が対象です。一方、特定技能は「介護」「建設」「外食業」など、より広い範囲を指す16の「特定産業分野」が対象となります。両制度で重なる分野も多く、それが技能実習から特定技能への移行を可能にしています。
3.在留期間
技能実習の在留期間は、段階を経ても最長で5年間です。技能実習1号が1年、技能実習2号が2年、技能実習3号が2年とステップアップしていく仕組みで、期間が満了したら原則として帰国しなければなりません。
一方、特定技能は1号が通算で最長5年間です。そして、熟練した技能が求められる特定技能2号へ移行できれば、在留期間の更新に上限がなくなります。そのため、特定技能2号は長期的な就労、ひいては永住も見据えることが可能な在留資格といえるでしょう。
4.求められる技能水準
技能実習は、未経験者を受け入れて日本で一から技術を教えることを前提としています。入国時に講習を受け、その後は企業で働きながらゼロから技術を学んでいく育成型の制度です。そのため、来日前のスキルは問われません。
それに対し、特定技能は即戦力となる人材を求める制度です。特定技能1号の在留資格を得るには、各分野で定められた技能評価試験と一定レベル以上の日本語能力試験に合格しなければなりません。ただし、技能実習2号を良好に修了した人はこれらの試験が免除されます。
5.受け入れ人数
技能実習では、常勤職員の総数に応じて受け入れ可能な人数の上限(基本人数枠)が定められています。具体的には以下のとおりです。
| 常勤職員の総数 | 技能実習生の人数 |
| 301人以上 | 常勤職員総数の20分の1 |
| 201人~300人 | 15人 |
| 101人~200人 | 10人 |
| 51人~100人 | 6人 |
| 41人~50人 | 5人 |
| 31人~40人 | 4人 |
| 30人以下 | 3人 |
一方、特定技能では、原則として受け入れ人数の上限はありません。企業の常勤職員の総数を超える人数の受け入れも可能です。そのため、多くの人材を一度に確保したいと考える企業にとっては、特定技能制度のほうが合っているといえるでしょう。ただし、例外として介護分野と建設分野では、以下のように受け入れ人数が定められています。
| 介護分野 | 事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数が上限 |
| 建設分野 | 特定技能1号の外国人と外国人技能実習生の総数が、受け入れる企業の常勤職員の総数まで |
6.受け入れ方法
技能実習では、多くの場合「団体監理型」という方式がとられます。団体監理型とは、監理団体が海外の送り出し機関と連携して人材の募集や入国手続き、企業への監督・指導を行う方式です。企業は監理団体のサポートを受けながら実習を進めます。
一方、特定技能は企業が直接海外の候補者と契約を結んだり、国内にいる留学生などを採用したりと、より自由な方法で採用活動が可能です。また、外国人の支援は企業が自ら行うことも、登録支援機関に委託することもできます。
7.転職の可否
技能実習生は、実習計画に基づいて一つの企業で技術を習得することが目的のため、原則として転職(転籍)は認められていません。やむを得ない事情がある場合に限り、例外的に認められることがあるだけです。
これに対し、特定技能外国人は同一の業務区分内であれば本人の意思で転職することが可能です。企業側としては人材が流出するリスクがある一方で、他社で経験を積んだ優秀な特定技能外国人を中途採用できる可能性もあります。
8.家族帯同の可否
技能実習制度では、在留期間中に家族を日本に呼び寄せることは一切認められていません。あくまで本人のみが日本に滞在し、技術の習得に専念することが前提です。
また、特定技能制度でも特定技能1号の場合は家族帯同が認められていません。しかし、特定技能2号に移行した場合に限り、配偶者と子の帯同が認められます。長期的に日本で生活し、キャリアを築いていきたいと考える外国人材にとって、家族と共に暮らせるかどうかは非常に重要な要素といえるでしょう。
参照元: 出入国在留管理庁「外国人技能実習制度について」 出入国在留管理庁「介護分野」 出入国在留管理庁「建設分野」
関連記事:「特定技能と技能実習の違いを徹底比較!自社に合った在留資格の選び方」
技能実習を修了した人材は、日本の業務や文化に慣れた貴重な存在です。そのため、技能実習から特定技能へと在留資格を変更し、同じ企業や同分野の他社で就労を継続する道が用意されています。
ここでは、技能実習から特定技能へ移行するための要件や対象分野、具体的な手続きについて分かりやすく解説します。
移行の要件
技能実習から特定技能へ移行するには、いくつかの要件を満たす必要があります。移行を希望する際は、技能実習生と受け入れ企業の双方が要件を確認して準備を進めなければなりません。
ここでは、特に重要な2つのポイントについて解説します。
技能実習2号を良好に修了していること
特定技能へ移行するための大前提は、技能実習2号を「良好に」修了していることです。
「良好に修了」とは、技能実習を計画通りに2年10ヶ月以上終え、技能検定3級または同等の技能評価試験の実技試験に合格していることを指します。加えて、実習態度に問題がなく、出入国や労働に関する法令違反がないこともポイントです。
これらの条件を満たすことで、特定技能1号の在留資格を得る際に通常課される「技能評価試験」と「日本語能力試験」の両方が免除されます。
従事予定の業務と技能実習2号の職種・作業に関連性が認められること
移行先の特定技能で従事する業務は、技能実習2号で経験した職種・作業と関連性がなくてはなりません。関連性が認められる具体例は以下のとおりです。
- 農業分野
技能実習「職種:農業、作業名:畑作・野菜」 → 特定技能「農業」
(栽培や収穫のスキルがそのまま活かせるため) - 建設分野
技能実習「職種:とび、作業名:とび」 → 特定技能「建設」
(足場や鉄骨の組立スキルが即戦力となるため)
このように、企業は移行を希望する人材が培ったスキルを引き続き活かせる業務分野であるかを事前に確認することが不可欠です。
移行可能な分野と職種
技能実習のすべての職種が、特定技能の分野に対応しているわけではありません。移行を検討する際は、技能実習で従事していた職種・作業が、特定技能1号のどの分野に該当するかを確認する必要があります。
たとえば、技能実習の介護職種は、特定技能の介護分野へスムーズに移行が可能です。同様に農業や建設、食品製造など、多くの職種で移行できる分野が設定されています。一方で、クリーニングやゴム製品製造といった職種は、特定技能に対応する分野がありません。
そのため、企業は自社で受け入れている技能実習生が、どの特定技能分野へ移行可能か確認しておきましょう。
移行する方法
技能実習から特定技能へ移行するには、技能実習生本人が地方出入国在留管理局に対して「在留資格変更許可申請」を行います。
申請には技能実習生本人が用意する在留資格変更許可申請書や写真、申請人のパスポートおよび在留カードのほか、特定技能所属機関となる受け入れ企業が作成した雇用契約書や支援計画書など数多くの書類が必要です。必要書類が揃っていないと申請が通らないため、事前に確認してしっかりと用意しておきましょう。
なお、申請から許可が下りるまでには1~2ヶ月ほどかかります。一定期間を要するため、余裕を持ったスケジュールで申請準備を進めることが大切です。
参照元: 出入国在留管理庁「特定技能 ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~」 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」 出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」」
関連記事:「技能実習から特定技能へ変更は可能?手続きやメリット・デメリットを解説」
技能実習から特定技能への移行は多くのメリットがある一方、デメリットも存在します。移行を検討する際は双方を十分に比較し、自社の経営状況や人員計画と照らし合わせて慎重に判断することが大切です。
メリット
技能実習から特定技能への移行は、企業にとって即戦力の確保や業務の効率化に直結します。育成にかけた時間とコストを無駄にせず、企業の成長に繋げることができるでしょう。
ここでは、主な3つのメリットを具体的に解説します。
即戦力としての活躍が期待できる
技能実習から特定技能へ移行する最大のメリットは、すでに育成された人材を継続して雇用できる点です。
対象の外国人材は、既に3年間にわたって自社で業務を経験しています。そのため、仕事内容や社内ルール、人間関係を熟知しており、新たな教育はほとんど必要ありません。改めて採用活動をする手間もかからず、入社後すぐに「即戦力」として現場の第一線で活躍してくれるでしょう。
業務範囲が広がる
特定技能へ移行することで業務範囲の制約がなくなります。
技能実習制度では、技能実習計画で定められた範囲の業務しか従事できませんでした。関連する業務であっても、計画外の作業をさせることは認められていなかったのです。
しかし、特定技能ではこうした制約がありません。同じ特定産業分野内であれば、より幅広い関連業務を任せることが可能です。多様な業務を経験することで、外国人のさらなるスキルアップにもつながります。
長期的に労働力を確保できる
特定技能1号の在留期間は最長5年ですが、特定技能2号へ移行すれば在留期間の更新に上限がなくなります。つまり、企業と本人の合意があれば、無期限で働き続けてもらうことが可能です。技能実習で育成した優秀な人材に、企業の将来を担う中核的な存在として長く活躍してもらえます。
ただし、2025年8月時点で特定技能2号へ移行できるのは「ビルクリーニング」「宿泊」「自動車整備」「航空」などの11分野のみです。
技能実習から特定技能への移行には多くのメリットがある一方で、企業が注意すべき点があるのも事実です。デメリットを事前に把握し対策を講じておかなければ、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
特に人件費や支援義務、人材流出のリスクについて十分に理解しておきましょう。ここでは、特定技能への移行に伴う主なデメリットを3つ解説します。
給与水準が上がる
特定技能外国人は正社員・フルタイムでの直接雇用が原則で、日本人と同等額以上の報酬を支払うことが法律で義務付けられています。よって、技能実習で支払っていた給与のまま雇用を継続することはできません。
多くの場合、技能実習生の給与水準よりも高くなるため、人件費の増加は避けられないでしょう。移行を検討する際は人件費がどのくらい増加するかを事前に試算し、経営計画に織り込んでおく必要があります。
各種届出や支援の負担が増える
企業は特定技能1号の外国人材に対して、事前ガイダンスや住居確保・生活に必要な契約支援、生活オリエンテーションなど10項目の義務的支援を行う必要があります。また、出入国在留管理庁への定期的な届出も義務付けられており、管理コストが増加することを覚悟しなければなりません。
ただし、自社で支援が難しい場合は、登録支援機関に委託することが可能です。登録支援機関を活用することで、企業の負担を軽減できます。
転職のリスクがある
技能実習生とは異なり、特定技能外国人は同一分野内で転職が可能です。つまり、特定技能に移行しても、より条件の良い他社へ移ってしまう可能性があります。
そのため、企業は給与や待遇、職場環境の面で魅力を高め、選ばれ続ける努力をしなければなりません。人材の定着を図るための新たな取り組みが求められるでしょう。
参照元:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援・登録支援機関について」
技能実習と特定技能は、目的や仕組みが全く異なる在留資格です。技能実習は「国際貢献」のための人材育成、特定技能は「人手不足解消」のための労働力確保を目的としています。この根本的な違いを理解することが、両制度を正しく活用する第一歩といえるでしょう。
技能実習2号を修了した人材が特定技能へ移行する流れは、企業と外国人材双方にとってメリットがあります。ただし、企業側には「給与水準の向上によるコスト増加」「支援の負担増加」といったデメリットが生じるのも事実です。両制度のメリット・デメリットを十分に比較検討し、自社にとって最適な選択をすることが重要です。
なお、技能実習制度は廃止されることが決定しており、2027年を目途に新たに「育成就労制度」が創設されます。育成就労制度は、人材の「育成」と「確保」を目的としているのが大きな特徴です。
育成就労制度では、原則として同一分野内での転職(転籍)が可能になります。また、特定技能制度へのスムーズな移行を前提としたキャリアパスが示される予定です。今後、外国人材の受け入れを検討する企業は、育成就労制度の動向も注視しておきましょう。
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