執筆: Leverages Global編集部 (ライター)
監修: 濱川 恭一 (行政書士)
少子高齢化により労働力不足が深刻化するなか、多くの企業が海外人材の活用に目を向けています。なかでも、フィリピン人は英語力の高さやホスピタリティに優れた国民性から幅広い分野で活躍中です。
この記事では、フィリピン人の性格や特徴を、根付いている文化・社会通念をもとに解説。また、フィリピン人と円滑に働くうえで知っておくべきポイントを紹介します。フィリピン人が能力を発揮できる職場づくりのために、ぜひお役立てください。
※Leverages Globalは偏見と差別の排除を理念の一つに掲げて活動しています。本稿にも「人種」や「国籍」といった特定の属性に対するイメージを単純化する意図はありません。本稿の内容は、あくまでフィリピンの文化や社会通念をもとに紹介するものであり、個々人の性格は多種多様であるという点を踏まえてご覧ください。
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フィリピンとはどんな国?
フィリピンは東南アジアに位置する島国で、7,000を超える島々で構成された豊かな自然と多様な文化をもつ国です。国土面積は29万8,170㎢と、日本のおよそ8割の広さを擁します。
以下は、フィリピンの基本的なデータをまとめた表です。
| 面積 | 29万8,170㎢(日本の約8割) |
| 人口 | 1億1,272万9,484人(2024年時点) |
| 首都 | マニラ |
| 民族 | マレー系を主体に、中国系、スペイン系及び少数民族が存在 |
| 公用語 | 国語はフィリピノ語、公用語はフィリピノ語及び英語 |
| 宗教 | 83%がカトリック、そのほかのキリスト教が10% |
参照元:外務省「フィリピン共和国(Republic of the Philippines)基礎データ」
歴史的にも日本と深い関わりのある国で、特に1980年代以降、日本の経済成長に伴い就労目的で来日するフィリピン人が増え始めました。首都はマニラで、経済や政治の中心地として発展しています。
ここでは、フィリピン人の背景や価値観を理解するために、フィリピンという国の基本的な特徴を見ていきましょう。
人口が増加している
フィリピンの人口は年々増加しており、2024年のフィリピン国勢調査では1億1,272万9,484人でした。若年層の割合が高いのが特徴で、平均年齢は26歳程度といわれています。労働人口が豊富で経済成長率が高い「人口ボーナス期」に入っている状態です。
フィリピンの人口ピラミッドは綺麗な三角形をしており、「子どもが多く高齢者が少ない」状態なのがはっきり分かります。すりばち型の日本の人口ピラミッドとの違いは一目瞭然です。
「フィリピン国家統計局(PSA)」によると、2022年のフィリピンの合計特殊出生率は1.9でした。前回調査の2017年の2.7から大幅に減っていますが、新型コロナウイルスの一時的な影響が大きいと考えられています。依然として高い水準であることに変わりはありません。
フィリピンでは家族や親戚と一緒に暮らすのが一般的で、家事・育児を手伝ってくれる人が身近にいます。こうした環境が、子どもが多く生まれる理由の一つといえるでしょう。
今後もしばらくは人口の増加が見込まれており、将来的には2億人国家になると予想されています。
公用語が英語
フィリピンでは、フィリピノ語(タガログ語)とともに英語を公用語に定めているのが特徴です。学校教育は英語で行われるため、ほとんどの国民が英語を流暢に話すことができます。
EF EPI「世界最大の英語能力指数 ランキング」によると、フィリピンの英語力は世界28位です。アジア圏ではマレーシアに次ぐ2位であり、非常に英語力が高い国であることが分かります。
また、フィリピン人が話す英語は、ネイティブスピーカーよりも発音のつながりやスラングが少なめです。アメリカ英語が基盤となっていることもあり、日本人にとって聞き取りやすいといわれています。
親日国
フィリピンは長年にわたり日本との友好関係を築いてきた親日国です。日本のアニメや音楽などはフィリピンでも広く親しまれており、若い世代を中心に日本への関心が高まっています。
外務省が実施した「海外における対日世論調査 令和5年度ASEAN」によれば、日本を信頼できる理由として「友好関係」と回答した人が76%にのぼりました。また、日本に対するイメージでは「経済力・技術力が高い国」が82%、「豊かな伝統と文化を持つ国」が71%と高評価を得ています。
さらに、日本についてもっと知りたい分野として「文化(伝統文化、ポップカルチャー、和食などを含む)」を挙げた人が67%を占めました。このように、日本という国そのものへの興味や好意をもっている人が多い国といえるでしょう。
参照元: 外務省「フィリピン共和国」 Philippine Statistics Authority 「Health」 EF EPI「世界最大の英語能力指数 ランキング」 外務省「海外における対日世論調査」
フィリピン人の性格や特徴
フィリピンには明るく社交的な性格の人が多く、周囲との調和を大切にし、助け合いながら生活する文化が根づいています。また、家族や地域社会とのつながりを大切にするのも特徴の一つです。
一方で、時間やルールに対する考え方が日本人とは異なるため、相手の立場に配慮しながら丁寧に接することが求められます。
フィリピン人の性格をひとくくりにはできませんが、よく見られる傾向を知っておくことは、コミュニケーションを円滑に進めるうえで助けになるでしょう。
陽気でフレンドリー
フィリピン人は、陽気でフレンドリーな性格の人が多い傾向にあります。初対面の相手とも打ち解けやすく、人と関わることに対して積極的です。陽気で明るい性格には、年間を通じて温暖な気候に恵まれている南国特有の環境が影響していると考えられています。
フレンドリーさや高い社交性は、接客や介護、サービス業といった人と関わる仕事において大きな強みです。日本語に不慣れな場合も、前向きにコミュニケーションを取ろうとする姿勢でスムーズに溶け込んでいけます。
また、こういった明るさや親しみやすさは、周囲の人たちにもポジティブな影響を与えるでしょう。
ホスピタリティ精神が高い
フィリピンには、古くから「バヤニハン」と呼ばれる助け合いの文化が根付いています。これは、困っている人がいれば知り合いでなくても手を差し伸べるという考え方です。バヤニハンに基づくホスピタリティ精神は現代にも受け継がれており、職場や日常生活においても周囲と協力し合う姿が見られます。
また、フィリピンはASEAN唯一のキリスト教国家であり、国民の83%がカトリック教徒です。寄付や巡礼、ボランティアなどの善行をすれば、自分も救われるというカトリックの教えが浸透してます。フィリピン人が積極的に困っている人を助け気遣うのは、これらの信仰心も影響しているといえるでしょう。
家族を大切にする
フィリピン人は、家族や親戚同士で支え合いながら仕事や家事、子育て、介護を行ってきました。さらに、家族の人数が多い傾向もあることから、親や兄弟、親戚との絆をとても大切にしています。
たとえば、成人後も両親や祖父母、兄弟と同じ家もしくは同じ敷地内に住むのは決して珍しくありません。いわゆる「スープの冷めない距離」に住まいを構えるケースが多いようです。
海外で働くフィリピン人も、家族を大切に思う気持ちは変わりません。少しでも楽に暮らせるよう給料を仕送りしたり頻繫に連絡したりして、常に気にかけています。そのため、「体調を崩した家族を看病するために休みたい」などの申し出には、できる限り柔軟に対応するのが良好な信頼関係の構築につながるでしょう。
時間にルーズな一面がある
フィリピンでは、時間に対する感覚が日本と比べて緩やかです。約束の時間に多少遅れることを気にしない文化があり、「フィリピンタイム」と呼ばれています。
たとえば、友人と話が楽しく盛り上がっているのなら、次の待ち合わせに遅れそうでも途中で切り上げずに満足いくまで話し続けることも。人とのつながりを大切にするフィリピン人からすると、あとの予定に向けて厳密に時間を守るよりも、目の前の人間関係を円滑に進めるほうが優先順位が高いようです。
また、マニラをはじめとした都市部は、世界的に見ても交通渋滞が深刻化しています。予定どおりに出発しても渋滞で遅れてしまうことが多々あるため、「自力ではどうしようもない遅れは仕方ない」と考えられているのも時間にルーズな一面がある要因です。
ものごとを忘れがち
フィリピン人は「ものごとを忘れがち」という特徴があるといわれています。もちろん全員が当てはまるわけではありませんが、この性質から長期的な計画を細かく立てたり、決められた段取りを前提に業務を進めたりするのをあまり重視しない傾向です。どちらかといえば、その場の状況に応じて柔軟に対応する短期的な仕事を担うほうが向いており、時間を要するタスクは何度もリマインドする必要が生じる可能性があります。
一方で、変化に対して柔軟に動けるのは大きな強みといえるでしょう。トラブルが起きても冷静に対応できるため、臨機応変さが求められる場面では力の発揮を期待できます。
関連記事:「外国人との異文化コミュニケーションに必要なこと|心構えや失敗例も」
海外で働くフィリピン人は多い
国内の産業が十分に発展していないフィリピンでは、家族を支えるために海外に出て働くのはごく一般的なことです。フィリピン国家統計局(PSA)によると、2024年に海外で働いていたフィリピン人労働者の数は推定219万人で、2023年の216万人から1.5%増加していました。人口の約1割が国外で就労しており、外貨送金がフィリピン経済の重要な支えとなっています。
フィリピン人の海外就労を後押ししているのは、国民のほとんどが流暢に英語を話せる点です。海外でも言語の壁を感じにくく、スムーズに仕事を始めやすいことが考えられます。政府機関(POEA)が海外就労を積極的に支援しており、高校や大学の段階から国外で働くことを視野に入れて準備する人も少なくありません。
海外の就労先としてはアメリカや中東、カナダが人気です。日本も、距離の近さや歴史的な関係の深さを理由に就労先としてよく選ばれています。
「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」によると、日本で働くフィリピン人は26万869人にのぼり、外国人労働者全体のおよそ1割です。「永住者」や「日本人の配偶者」などの在留資格で長期的に日本で生活している人が多く、フィリピン人は非常に身近な存在といえるでしょう。
一方、就労目的では「特定技能」や「技能実習」の在留資格が多くなっています。フィリピン人材は高い言語力と適応力を背景に日本の労働市場で重要な役割を担っているため、今後も安定した人材交流が続くと考えられるでしょう。
関連記事:「日本に住む外国人が増加している理由は?」
参照元: Philippine Statistics Authority「Survey on Overseas Filipinos」 厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」
フィリピン人と円滑に働くには
フィリピン人と良好な関係を築くには、相手の文化や価値観を尊重する姿勢が欠かせません。真面目で明るい性格の特徴があるため、コミュニケーションを丁寧にとれば信頼関係を深められるでしょう。
ただし、日本独自の暗黙のルールや遠回しな表現は伝わりにくいことがあります。スムーズな連携のためには、言葉の選び方や接し方に注意しながら、日々のやり取りを工夫するのが大切です。
ここでは、フィリピン人と円滑に働くうえで押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
分かりやすい日本語で話す
フィリピン人の多くは英語が堪能で、なかには日本語をある程度理解できる方もいるでしょう。しかし、いくら日本語が話せるといっても、日本語特有の曖昧な表現や省略された言い回しをすべて理解するのは困難です。「これ」「あれ」などの指示語や、「〜してくれると助かる」などの遠回しな依頼は避けましょう。
仕事を依頼する際には、短く簡潔に「誰が・何を・どうするのか」を明確に伝えることが大切です。また、話すだけでなく、図やメモを使って視覚的にサポートする方法もあります。指示のあとは理解度を確認する時間を取り、フィードバックを行うことですれ違いを防げるでしょう。分かりやすい日本語で丁寧に伝える姿勢は信頼関係の構築にもつながります。
人前で叱責をしない
褒めて伸ばす文化が根付いているフィリピンでは、人前で叱責することは滅多にありません。もちろん誰であっても人前で怒られる行為を快く思いませんが、軽い注意のつもりであっても、フィリピン人の場合「恥をかかされた」「侮辱された」と受け取られる恐れがあります。
注意の方法を間違うと、帰属意識の低下や早期離職につながる可能性も。場合によっては、翌日から出社しないというケースも大いに考えられます。
指摘したい点や改善してほしいところがあるときは、周囲に人がいない場所で、声のトーンや表情にも配慮しながら伝えることが大切です。叱るよりも褒めて伸ばす姿勢を意識すると、双方にとって働きやすい職場環境に近づくでしょう。
適切な業務量を任せる
フィリピンでは綿密に計画を立てて行動する文化があまり根付いておらず、時間に対する意識も日本と比べて比較的ルーズです。そのため、業務の進行をフィリピン人スタッフに一任し過ぎると、対応にズレが生じ、ミスや混乱を招く恐れがあります。
フィリピン人スタッフに仕事を依頼する際は、まずは一人ひとりの理解度や作業スピードを把握し、無理のない範囲で業務を割り振ることが大切です。急ぎの仕事がある場合は、納期や優先順位を明確に伝え、途中経過もこまめに確認するのが望ましいでしょう。業務量を増やすときは、段階的に調整しながら相手の様子を見て進めるのがポイントです。
ただ業務を任せるのではなく、仕事の目的や最終的なゴールを丁寧に伝えることも意識してみてください。本人が納得して取り組めるよう工夫すれば、モチベーションの向上につながります。適切なサポートと明確な指示によって、パフォーマンスの安定と良好な信頼関係の構築が期待できるでしょう。
明確で丁寧な指示を心がける
フィリピン人スタッフに仕事を依頼する際は、曖昧な表現を避け、誰が読んでも分かるように丁寧かつ具体的な指示を出すことが大切です。たとえば、「できるだけ早く」「いつものように」などの抽象的な表現は人によって受け取り方が異なるため、業務のズレやトラブルが起きやすくなります。
また、仕事の目的やゴールを明確に伝えないと、意図と異なる方向に進んでしまうこともあるので注意しましょう。依頼内容は背景や意図を含めて簡潔に説明し、指示内容はステップごとに整理して伝えると効果的です。
加えて、「分からないことがあれば必ず聞いてほしい」とあらかじめ伝えておくと安心して質問しやすくなります。相互理解を深めるためにも、言いっぱなしにはせず、指示が伝わったかを確認する習慣をつけておきましょう。
関連記事:「DMW(旧:POEA)とは?フィリピン人雇用に関する独自のルールを解説」
まとめ
日本の職場で活躍するフィリピン人は年々増えており、今や多くの企業にとって欠かせない存在です。陽気でフレンドリーな性格や柔軟な思考、英語力など、フィリピン人ならではの強みは多岐にわたります。
とはいえ、文化や価値観の違いによってすれ違いが起きる場面もあるでしょう。当たり前ですが、性格や考え方は人によってさまざま。だからこそ、画一的な対応ではなく、個々の特性や背景を考慮しながら接することが大切です。全員が働きやすい職場環境を育むためにも、国籍や文化の違いを理解・尊重した関係性を築くことを心掛けてみましょう。

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