外国人採用をもっと安心で簡単に「レバレジーズグローバル」

ベトナム人の特徴とは?仕事に対する考え方や雇用する際の注意点を紹介

公開日:2025年4月28日

更新日:2025年4月28日

ベトナム人の特徴とは?仕事に対する考え方や雇用する際の注意点を紹介

今や、日本で働くベトナム人の数は外国人労働者全体の約3分の1を占めるようになりました。技能実習生や特定技能外国人、留学後にそのまま日本企業に就職した人など、その経緯は多種多様です。

しばしば「ベトナムと日本の国民性は似ている」といわれます。ややステレオタイプ的な表現ではあるものの、共通する文化や社会通念が多々あることは確かです。

当記事では、弊社のベトナム出身スタッフ監修の元、ベトナム人の特徴や仕事観を紹介。そのうえで、雇用のポイントやモチベーションを上げる秘訣を解説します。ぜひ、ベトナム人が能力を発揮できる職場づくりにお役立てください。

※WeXpatsは偏見と差別の排除を理念の一つに掲げて活動しています。本稿にも「人種」や「国籍」といった特定の属性に対するイメージを単純化する意図はありません。本稿の内容は、あくまでベトナムの文化や社会通念を紹介するものであり、個々人の性格は多種多様であるという点を踏まえてご覧ください。

目次

  1. ベトナムの基本データ
  2. ベトナム人の性格の特徴
  3. ベトナム人の国民性は出身地域によって異なる
  4. ベトナム人の仕事に対する考え方
  5. ベトナム人が日本で働く理由とは?
  6. ベトナム人と働くうえで理解しておくこと
  7. ベトナム人を雇用する際の注意点
  8. まとめ

外国人採用ならLeverages Global

特定技能、技能実習の採用・雇用支援をはじめ、技人国の人材紹介から求人掲載まで、

貴社のニーズに合わせてサポートいたします!

ベトナムの基本データ

ベトナムの基本データの画像

まずは、ベトナムについて詳しく知っておきましょう。

ベトナムは南シナ海に面した南北に細長い国で、面積は32万9241平方キロメートル。日本から九州を除いた面積とほぼ同じ大きさです。北部には首都のハノイ、南部には都市のホーチミンがあり、それぞれ気候や文化が異なります。

ベトナムの人口は約1億30万人で、平均年齢は31歳。人口ピラミッドは「つぼ型」で、25~40歳の働き手世代が多いのが特徴です。多民族国家であるベトナムには人口の約86%を占めるキン族のほか、53もの少数民族が暮らしています。

公用語は、キン族の母語であるベトナム語です。とはいえ、北部のハノイと南部のホーチミンで発音が大きく異なるほか、ベトナム語を話せない少数民族の人もいます。

食文化は日本と同じく米が中心。ベトナム料理として有名なフォーの麺や生春巻きの皮は米粉が原料です。また、フランスの植民地だった影響もあり、バゲットに具材を挟んで食べるバインミーやコーヒー(ベトナムコーヒー)が根付いています。

日本で働く外国人のうち、最も多いのはベトナム人です。長らく1位だった中国を2020年に抜き、2024年には外国人労働者全体の24.8%を占めるまでになりました。

参照元: 外務省「ベトナム社会主義共和国 厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)

ベトナム人の性格の特徴

もちろん性格は人それぞれ異なりますが、日本人に「控えめで自己主張しない」「集団主義で和を重んじる」といった傾向が見られるように、ベトナム人にも比較的当てはまりやすい特徴があります。

穏やかで温厚

一般的にベトナム人は穏やかで温厚な性格だといわれます。これは日本と同様に「感情を強く表に出すのはあまりよくないこと」という考え方が浸透しているためです。同じ理由から我慢強い性格だといわれることもあります。

このように、コミュニケーションにおいて美徳とされる振る舞いに日本と似ている箇所が散見されるのが特徴です。

人見知りしがち

南国で開放的なイメージを持たれがちなベトナムですが、実はシャイで人見知りをしやすい人も多いといわれています。そのため、打ち解けるまでには少し時間がかかることもあります。

ただし、ベトナムでは集団行動を重視する文化が根付いており、食事も友人や同僚と一緒にとるのが一般的です。そのため「自分の席で一人でコンビニ弁当を食べる日本の職場のランチ風景を見て驚いた」という声もあります。こうした環境の違いから、職場でうまく馴染めないと、想像以上にストレスや孤独感を感じてしまうこともあるのです。

企業がベトナム人スタッフを採用する際には、歓迎会を開いたり、日常的に雑談の機会を作ったりと、自然にコミュニケーションが取れる環境を整えると良いでしょう。もちろん「一人でいる方が気楽」と感じる人もいますが、そのような個性を理解するためにも普段からの会話や関わりが重要です

ジンクスや行事を大切にしている

ベトナム人も日本人と同じく、ジンクス(願掛け)や行事を大切にしています

なかでも、特に重要で多くの人が楽しみにしているのが旧正月「Tết Nguyên Đán(テト・グエン・ダン)」、通称「テト」です。日本のお正月のように、家族や親戚と集まりご馳走を食べたりお寺にお参りに行ったりします。日程は旧暦に沿って決まり、新暦では1月下旬~2月中旬ごろです。日本の年末年始休暇とは日程がずれるので、柔軟な休暇取得制度があると良いでしょう。

また、ベトナムのお盆に当たる「ブラン祭」も大切な行事です。旧暦の7月15日、新暦では8月中旬~9月中旬ごろにお寺にお参りに行き、お墓参りをします。

ベトナム人の国民性は出身地域によって異なる

ベトナムは南北に長く伸びた地形をしており、地域によって気候や文化、言葉に違いがあるのが特徴です。また、性格や国民性にも地域ごとの特徴が見られます。

たとえば、日本で東京と大阪の人の気質が違うように、ベトナムでも北部と南部では人の印象が異なります。ただし、日本は同一民族内の地域差であるのに対し、ベトナムは多民族国家。文化的背景が複雑である点には注意が必要です。

ここでは、ベトナム北部と南部、それぞれの出身者に見られる特徴についてご紹介します。

北部出身のベトナム人の場合

北部には首都のハノイがあり、国の中心機能が集まっています。日本ほどハッキリはしていないものの、四季があり冬は寒く夏は暑い場所です。

北部出身のベトナム人は堅実で勤勉、また、辛抱強い人が多いといわれています。元々、ベトナム北部は南部に比べて資源が乏しいという事情がありました。そのため、少ない資源でどのように暮らしていくかをしっかりと考える習慣が付き、真面目に仕事する傾向が生まれたと考えられています。

南部出身のベトナム人の場合

南部にはベトナム最大の経済都市であるホーチミンがあります。気温はいわゆる常夏で、人々が想像するベトナムの気温のイメージに近いでしょう。安定して農作物や資源が採れるので、古くから商いの町として栄えてきました。

南部出身のベトナム人は、大らかで外交的な人が多いといわれています。商売をしている人が多いこともあり、人と人との繋がりを大切にする傾向があります。そして、食べ物に困らない温暖な気候に起因するのか、細かいことはあまり気にしません。貯蓄よりも消費に重きを置き、今を楽しみたいと考えている人が多い地域といえます。

ベトナム人の仕事に対する考え方

ベトナム人の仕事に対する考え方の画像

一緒に働くうえで、その人の仕事観を理解しておくことはとても重要です。行動や言動に疑問を持ったとしても、根本となる考え方を知れば、解消しやすくなるでしょう。

ここでは、弊社のベトナム出身スタッフに聞いた、ベトナム人の仕事観を紹介します。

勤勉で仕事やスキルアップに積極的

ベトナム人は基本的に勤勉で仕事熱心な人が多いといわれています。また、スキルアップにも積極的で、そのための勉強や努力を惜しみません。

特に日本にやってくるような人たちは、数年間も故郷を離れて暮らす選択ができるほどの強い目的意識を持っています。

しかし、その分、自身のキャリアの得にならないとわかると不満を感じてしまう可能性も。真面目さや勉強熱心なところを活かせるよう、キャリアアップ制度や資格取得制度などを整えられると良いでしょう。新規プロジェクトや大きな仕事にも意欲的です。

家族のために働いている

ベトナム人の多くは家族のために働いているといっても過言ではありません。家族を第一にという考えは、東南アジアの各国でよく見られます。特にベトナム人が大切にしているのが親です。「成人したら苦労して育ててもらった恩返しをすべき」と考えられています。

上記のような考え方から、家族より仕事を優先しなければならない状況では、モチベーションが低下してしまう可能性も。ベトナム人にとって、何より大切にしたいのは家族の絆です。そのため、家族の重要な行事や急病などがあったら、できる限り休暇の調整を検討してみてください。

残業に対してポジティブな人が多い

一般的に外国人はプライベートと仕事の時間をしっかり分けたいと感じているため、日本人ほど積極的に残業をしないといわれています。

しかし、「短期的にたくさん稼ぎたい」「将来の活動資金を貯めたい」というモチベーションから日本に来るベトナム人は多く、なかには給料が増える残業や夜勤に対しても比較的ポジティブな人も。そのため、正当な残業代をしっかりと支払えば、より多くの賃金を得られる機会と解釈し、意欲的に取り組んでくれるでしょう。

とはいえ、人によって性格や考え方はさまざまであり、長時間残業をさせても良いというわけではありません。業務上必要な場合のみ、残業を依頼しましょう。

能力を正当に評価されたいと考えている

自分の能力や成果を正当に評価されて嬉しくない人はいないでしょうが、ベトナム人はその傾向が強いといわれています。

ベトナムでは褒めて相手を称える文化が根付いており、企業でも社内コンテストや表彰制度が活発です。モチベーションを高く保つためにも、ふさわしいタイミングでしっかり言葉や行動で評価をしましょう。

新しくて効率的な方法を好む

新しくて効率的な方法を選ぶ人が多いというのも、ベトナム人の特徴の一つです。より良い道があるのなら、やったことのない方法でも積極的にチャレンジします。

また、以前から慣習的に行われている非効率な方法に対して、「無駄ではないのか?」「方法を変えるべきでは?」と疑問を持ちやすい傾向も。

ベトナム人の新しい視点からの疑問は、企業の効率化を促進するきっかけになります。積極的に耳を傾けて意見を取り入れてみましょう。

関連記事:「ベトナム人労働者の特徴とは?日本で急増する理由やメリットを紹介

ベトナム人が日本で働く理由とは?

日本で働くベトナム人は年々増加しており、製造業や介護、サービス業など幅広い分野で活躍しています。では、なぜ多くのベトナム人が日本での就労を希望するのでしょうか?

そこには経済的な理由だけでなく、日本への親しみや信頼、技術力の高さ、治安の良さなど、さまざまな魅力が関係しています。

ここでは、ベトナム人が日本を働く場所として選ぶ主な理由について詳しく解説します。

親日感情を持っている

ベトナムは親日国の一つであり、特に若い世代では家族や親戚の影響を受けて日本に関心を持つ人が多くいます。たとえば、「日本の支援で国が復興した」という話を祖父母や親世代から聞いて育ったり、日本で働いて成功した知人や親戚の話を身近に聞いたりすることで、日本に興味を持つのです。本人が最初から強い日本志望を持っているというよりは、周囲の影響によって「日本に行ってみたい」という前向きな気持ちが芽生えていくケースが多いようです。

また、日本製品への信頼も親日感情の背景にあります。ベトナムはバイク社会として知られていますが、国内で使われているバイクの多くは日本製。バイクそのものを「ホンダ」と呼ぶほど、日本のメーカーが浸透しています。

さらに、日本の漫画やアニメを見て育った世代も。こうした文化的な影響も、ベトナム人が日本に対して親しみを感じる理由の一つです。

高い収入を得たい

日本で働く理由として、多くのベトナム人が魅力に感じているのが「高い収入を得られる」という点です。たとえば、初任給で比べると、ベトナムは月3万円程度なのに対し、日本は18~22万円程度と6~7倍ほどの差があります。そのため、「生活の質を上げたい」「家族に仕送りをしたい」と考えるベトナム人にとって、日本での就労は大きなチャンスです。

また、ベトナムでは若者の就職難も深刻な問題で、15〜24歳の若年層の失業率は7%台にのぼります。対して、日本では特に介護飲食業など人手不足の業界が多く、外国人であってもまじめに働く意欲があれば就職は比較的しやすい状況です。

もちろん、ベトナム国内でも、語学スキルを持つ人材やITエンジニアのように専門性が高い職種では年収が上がってきています。一定の経験を積めばベトナム国内で高収入を得ることも可能でしょう。とはいえ、日本で働けば短期間でまとまった収入を得られるため、多くのベトナム人にとって日本での就労は非常に魅力的な選択肢となっています。

技術力の高い日本で知識・スキルを習得したい

ベトナム人が日本で働きたいと考える大きな理由の一つが、「日本の高度な技術や専門知識を学びたい」という思いです。日本の製造業やサービス業は世界的に見ても高い水準を誇っています。現場で働きながら実践的なスキルを身につけられるのは、キャリアアップを目指すベトナム人にとって大きな魅力といえるでしょう。

特に日本企業は研修制度や人材育成プログラムなどにより、未経験でも段階的に成長できる環境が整っている傾向にあります。そのため、日本での就労で自分の可能性を広げたいと考えるベトナム人は少なくありません。

実際、2023年度の外務省「海外における対日世論調査」によると、日本に対して「経済力、技術力の高い国」というイメージを持っているベトナム人は77%にも上りました。ベトナムは新興国として急速に発展していますが、製造業やその関連産業はまだ発展途上です。そのため、日本での経験を活かして、将来的には母国の産業発展に貢献したいと考えている人もいます。

生活環境や治安が良い

ベトナム人が日本で働きたいと考える理由の一つとして、「日本の生活環境や治安の良さ」が挙げられます。日本は社会保障制度や企業の福利厚生が整っており、健康保険や年金制度、育児支援など、労働者とその家族を支える仕組みが充実しています。企業によっては住宅手当や通勤手当なども支給され、安心して働きながら生活できる環境が整っている点が大きな魅力です。

さらに、日本は治安が良く、犯罪に巻き込まれるリスクが低い国としても知られています。夜遅くに出歩いても安心できる安全な社会は、初めて海外生活を送る人にとって非常に心強い要素です。こうした安心・安全な暮らしと働きやすさが、日本を就労先として選ぶ大きな理由となっています。

参照元:外務省「海外における対日世論調査

関連記事:「外国人労働者を受け入れるメリット・デメリット|雇用の流れも解説

ベトナム人と働くうえで理解しておくこと

ベトナム人は、比較的日本企業に馴染みやすい性質を持っている人が多いといえます。しかし、理解しておかなければならない注意点も。日本とは異なる文化や規範で行動していることを頭に留め、上手なマネジメントの方法を模索しましょう。

弊社のベトナム人スタッフに聞いた、理解しておくべき特徴は以下のとおりです。

時間にルーズ

多くのベトナム人の時間感覚は、日本人からするとルーズに感じられます。時間を守ることに価値を見出しておらず、待たせた相手の時間を奪っているという感覚もそこまで強くありません

時間を守らなければならないとの考えがあまりないため、ただやみくもに遅刻を注意しても改善は難しいでしょう。「時間を守らなければ日本人はどう思うのか」「遅刻することでどのようなデメリットがあるのか」といった点を説明する必要があります。

長期目標よりも短期的な利益を優先しがち

ベトナム人は長いスパンで考えた将来的な利益よりも、目の前の利益を優先しがちなところがあるといわれています。国が長らくの不況に苦しんだ経験から、今このときの生活を良くしたいと考える人が多いのです。

ベトナム人には将来を見据えて仕事を選択する傾向はあまり見られません。直近でどのくらいの給与が支払われるかという点を重視します。昇給したら高い年収が見込めても採用時の収入が低い仕事は、一般的なベトナム人にとっては魅力的ではないといえるでしょう。

報連相の意識が低い

多くのベトナム人には報告・連絡・相談が重要という感覚はなく、それらの概念をイメージするのが難しいようです。そのため、ただ「報告してください」と言われても、何をいつ報告すれば良いのかがピンときません。面倒でしないのではなく、方法が分からないといった感覚が正しいでしょう。

ベトナム人に報連相を徹底してもらうためには、その目的や重要性を説明していく必要があります。また、どのようなシチュエーションになったら報告・連絡・相談すべきなのか、ケーススタディを作成するのも良いでしょう。

個人の判断で動いてしまうことがある

ベトナム人は人懐っこく話し好きな人が多い一方で、仕事においては個人主義な一面があるといわれています。先述したように、何か問題があっても報告・連絡・相談をせず、自分だけで解決しようと動くことも。よほど大きな問題でなければ、ほかの人に共有する必要はないと考えています。また、自分のスキルを高めて生活や待遇を良くすること以外には、そこまで興味がないともいえるでしょう。

日本企業にうまく適応して能力を発揮してもらうためには、チームワークの意味やチームでの動き方をしっかり教育する必要があります

転職に対する心的ハードルが低い

ベトナム人には、自分に合わないと思ったり、ほかの良い条件の企業があったりしたら転職すれば良いと考えている人が多くいます。ベトナムにおける採用選考のプロセスは日本よりシンプルで、書類選考と面接1回で終わるパターンが大半です。そのため、転職への心的ハードルが低いのでしょう。

また、日本の就職活動において自己分析や企業研究は必須とされていますが、海外ではそうではありません。例に漏れずベトナムでも自分との相性や企業の詳細をよく調べるという文化がなく、入社後にギャップを感じてしまうケースがよくあります。その結果、自分に合った職を求めて転職をするベトナム人は少なくありません。

ベトナム人を雇用する際の注意点

近年、日本では人手不足の解消策として、外国人労働者の受け入れが加速しています。なかでもベトナム人は真面目で勤勉な性格が評価されており、多くの企業で活躍中です。しかし、実際に雇用してみると、「すぐに辞めてしまった」「意思疎通がうまくいかない」などの声が上がることも。

前の項目でも述べたように、ベトナム人は転職のハードルが比較的低く、条件が合わないと判断すればすぐにほかの職場へ移る傾向があります。そのため、企業側は「長く安心して働いてもらえる環境」を提供することが重要です。

ここでは、ベトナム人を雇用する際に押さえておきたい6つの注意点を詳しく解説します。

文化の違いを理解する

まず大切なのは、日本とベトナムの文化的な違いを理解することです。日本では暗黙の了解や空気を読む力が重視されますが、ベトナムでは自分の意見を率直に伝えることが当たり前とされています。また、年齢や役職にかかわらずフラットに意見を交わす傾向があり、上下関係を重んじる日本の職場では誤解を招く場合もあります。

加えて、家族や地域社会とのつながりを大切にする価値観が強く、仕事よりも家族の行事を優先する場面も。宗教や祝祭日も異なるため、カレンダー通りに働く日本の感覚だけで接してしまうと、すれ違いが生まれる可能性があります。文化の違いを前提に、お互いを理解しようとする姿勢が信頼関係を築く第一歩です

難しい日本語は使わない

ベトナム人とスムーズにコミュニケーションが取れていたとしても、すべての日本語のニュアンスを理解できているとは限りません。特に業務上で使われる専門用語やビジネス表現を理解するのは難しいでしょう。

たとえば、特定技能技能実習在留資格の要件である日本語能力試験(JLPT)のN4は、「日常的な場面でゆっくりと話される会話であれば、内容をほぼ理解できる」「基本的な語彙や漢字を使って書かれた、身近な話題の文章を読んで理解できる」といったレベルです。また、受験者数が最も多いN3でも「日常会話レベル」。日本人同士では伝わっても、外国人にとっては非常に分かりづらい言い回しもあります

そのため、ベトナム人と会話をするときはできるだけ簡単な日本語で話し、都度相手が内容を理解できているか確認しましょう

アイデアや考え方をできる限り尊重する

ベトナム人の出したアイデアや意見を尊重する姿勢を示すと、前向きに意欲を持って働いてもらえるでしょう。

ベトナム人の仕事に関する考え方」の項目でも解説したとおり、ベトナム人は能力を評価されたいという思いが人一倍強い傾向にあります。そのため、頭ごなしに低い評価をされると、モチベーションが下がってしまう可能性があるのです。また、ベトナムでは人前で注意されることはあまりないため、同僚や部下の目の前で否定や批判をされると非常にストレスを感じます。

以上を踏まえ、ベトナム人のアイデアや意見を一度しっかり受け止めたうえで、さらに良い方法を一緒に考えていくようにすると良いでしょう。

曖昧な指示は出さずに明確に伝える

日本の職場では「察する力」が求められがちですが、ベトナム人を含む外国人労働者には通用しません。「ちゃんとやっておいて」ではなく、指示を出す際は「誰が・いつまでに・何を・どうするか」を明確に伝えることが大切です。図解や写真入りのマニュアル、簡単な言葉で説明したチェックリストなどを用意すると、理解度が高まりミスやトラブルの防止につながります。また、「ベトナム人と働くうえで理解しておくこと」でも述べたとおり、日本人に比べてベトナム人は時間にルーズな傾向に……。そのため、「〇月〇日〇時までに、〇〇を△△の順番で仕上げてください」と、できる限り具体的に伝えるのがポイントです。

さらに、言葉だけで伝えるのではなく、業務手順を文書化し、いつでも見返せるようにしておくとベトナム人スタッフも安心して業務に取り組めます。小さなトラブルが大きな不信感につながらないよう、日々のコミュニケーションを丁寧に行いましょう。

キャリアアップの機会を提供する

ベトナム人を含む外国人労働者の多くは、「ただ働くだけでなく、スキルを身につけて将来に活かしたい」と考えて来日しています。日本で得た経験や知識を母国に持ち帰り、独立や起業を目指している人も少なくありません。

そのため、定期的な研修の機会を提供したり、習熟度に応じた評価制度を整備したりすることで、ベトナム人スタッフのモチベーション維持につながるでしょう。「頑張ればキャリアアップできる」「努力が報われる」と感じられる環境が、離職率の低下や長期的な人材育成に効果的です

働きやすい環境を整える

最後に、ベトナム人が安心して働ける職場づくりも重要です。たとえば、生活面のサポートが手厚い職場は、外国人労働者にとって大きな安心材料になります。住居の紹介や役所手続きのサポート、日本での生活習慣の説明など、ちょっとした支援が「この会社で働き続けたい」と思わせるポイントになるでしょう。また、社内に相談できる人がいる、同じ言語を話せる先輩がいるといった「心理的安全性」の確保も欠かせません。

そのほかに、休み時間は机で昼寝してもOKな雰囲気をつくることもおすすめ。高温多湿のベトナムでは、体力を回復させるために昼寝をする文化があります。学生の頃から、休み時間は机に突っ伏して睡眠を取る習慣が根付いているのです。昼休みに15分~30分程度の昼寝をすることは「パワーナップ」と呼ばれ、午後の集中力アップや疲労回復に繋がります。ベトナム人の雇用とあわせて、社内で積極的に昼寝の習慣を取り入れるのも良いでしょう。

関連記事:「外国人採用における課題や問題は?対策をわかりやすく解説

まとめ

多くのベトナム人は、日本の高い技術力や安定した雇用環境に魅力を感じて来日しています。日本企業にとって、今やベトナム人は切っても切り放せない存在になりました。ベトナム人スタッフに能力を最大限発揮してもらうためには、性格や仕事観の特徴を理解したうえで、適切なマネジメントを行うことが大切です。

日本人に「控えめで自己主張しない」「集団主義で和を重んじる」といった傾向があるように、ベトナム人にも「穏やかで温厚」「人見知りしやすい」「ジンクスや行事を大切にする」といった特徴が見られます。とはいえ、すべての人に当てはまるわけではありません。

そのため、文化や価値観の違いを受け入れつつ、先入観にとらわれずに個々と向き合う姿勢が大切です。思いやりを持った関わりが、信頼関係を深め、職場での良好なチームワークへとつながります。