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外国人社員が退職したら就労ビザの手続きを!企業が行う申請のチェックリスト

公開日:2025年4月24日

更新日:2025年4月24日

外国人社員が退職したら就労ビザの手続きを!企業が行う申請のチェックリスト

就労ビザは、日本で仕事に就く外国人に付与されるビザです。その性質から、退職したらすぐ取り消しになると思っている方も多いのではないのでしょうか。実際は、退職後もしばらくは就労ビザで日本に在留でき、就職活動や帰国準備などを行えます。

この記事では、外国人の退職後の就労ビザについて解説。雇用する外国人がいざ退職するとなったときに慌てないように、内容を把握しておきましょう。

目次

  1. 外国人が退職した後の就労ビザについて
  2. 就労ビザは退職してすぐに取り消しになるわけではない
  3. 就労ビザを持つ外国人が退職する際の企業側の手続き
  4. 特定技能外国人や技能実習生が退職する際の就労ビザは?
  5. 就労ビザを持つ外国人本人が退職する際に行うべき手続き
  6. 外国人が退職した際の就労ビザに関するFAQ
  7. まとめ

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外国人が退職した後の就労ビザについて

初めて外国人従業員が退職する場合、就労ビザがどうなるか気になる方も多いのではないでしょうか。ここでは外国人の退職後に就労ビザがどうなるかを解説するので、労務管理の参考にしてください。

就労ビザは退職してすぐに取り消しになるわけではない

就労ビザは退職してもすぐに失効するわけではありません。

就労ビザは、日本で仕事をする外国人に付与されます。そのため、外国人は仕事を辞めたらすぐに母国に帰らなくてはいけないと思っている人も多いようです。

実際のところは、退職後も在留資格の期限が残っていれば一定期間日本に在留することが許可されています。母国に帰る予定のない外国人は、その間に求職活動をすることが可能です。

退職後に就活・転職せず3ヶ月以上経つと就労ビザが取消対象に

前述したとおり、外国人の就労ビザは退職後すぐに取り消しにはなりません。しかし、ほかの会社への転職や積極的な求職活動をしないまま3ヶ月経つと、就労ビザは取り消し対象となります。理由は、入管法第22条の4の在留資格取り消し理由の一つに、以下の文言があるためです。

入管法別表第1の上欄の在留資格(注)をもって在留する者が、当該在留資格に係る活動を継続して3か月以上行っていない場合(ただし、当該活動を行わないで在留していることにつき正当な理由がある場合を除きます。)。

(注)入管法別表第1の上欄の在留資格

「外交」、「公用」、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能」、「技能実習」、「文化活動」、「短期滞在」、「留学」、「研修」、「家族滞在」、「特定活動」

参照元:出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)

入管法別表第1の上欄の在留資格とは、身分に基づく在留資格以外を指します。

在留期限が十分に残っていても、3ヶ月以上何もしていない場合は取り消し対象になり、原則、母国に帰国しなくてはなりません。なお、活動を行わないで在留する正当な理由がある場合は、就労ビザ取り消しの対象外です。正当な理由に該当するかは、それぞれの外国人の事情を個別に考慮し判断されます。

会社都合で退職した場合の就労ビザはどうなる?

外国人が会社都合で解雇や雇い止めにあった場合、自己都合退職のときよりも取り消しの条件が緩和されます。

会社都合の解雇の場合、継続的に就職活動を行っていれば就労ビザの期限までは日本への在留が可能です。在留期限までに転職先が見つからなかった場合はビザを「特定活動」に変更することで、6ヶ月間の在留が許可されます。

外国人がこのような手続きをするためには、会社都合で解雇されたことを証明しなければなりません。本人の将来にも関わるので、必要な書類は速やかに発行し渡すようにしましょう。

退職後に職種が変わる際は就労ビザの変更が必要な場合がある

外国人が転職後して職種が変わる際は、就労ビザの変更が必要なケースがあります。

多くの就労ビザはできる仕事の種類が決まっています。もし、外国人が前職とは異なる職種に就く場合は、就労ビザの変更が必要です。

例えば、下記のようなケースでは、就労ビザの変更(在留資格変更申請)が必要です。

  • 管理系職種から現業系職種への変更(技人国ビザ→特定技能ビザ)
  • 外国料理の調理師から管理系職種への変更(技能ビザ→技人国ビザ)

ただし、就労ビザを変更するためには学歴や職歴、資格などが審査されます。外国人の場合、前職と関連のない異業種への転職はかなりハードルが高くなるでしょう。

就労ビザを持つ外国人が退職する際の企業側の手続き

雇用する外国人が退職する際、企業は以下の手続きを行う必要があります。

  • 退職証明書を作成する
  • ハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出する
  • 各種社会保険の手続きをする

それぞれ詳しく見ていきましょう。

退職証明書を作成する

外国人から申し出があった場合、退職後速やかに退職証明書を発行しましょう。退職証明書は、労働者が転職先から提示を求められたときや、すぐに国民年金・国民健康保険の加入手続きをしなければならないときに必要となります。

本来、退職証明書は労働者からの依頼がなければ発行しなくても問題ありません。しかし、外国人の場合は、退職時に自分にどの書類が必要か理解していない可能性も十分あるでしょう。「辞めたらもう関係ない」と突き放すのではなく、退職後も日本在留を続けられるようできるようできる限りのサポートが必要です。

ハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出する

外国人が退職したら、決められた期日までにハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を提出します。外国人雇用状況の届出は、外国人の雇入れおよび離職時に提出が義務付けられている書類です。提出期限は、雇用保険の加入の有無で以下のように異なります。

【提出期限】

  • 雇用保険被保険者:雇用保険被保険者でなくなった日の翌日から10日以内
  • 雇用保険被保険者以外:離職日翌月末日まで

なお、外国人が雇用保険に加入している場合は、雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)を提出することで、外国人雇用状況の届出を行ったことになります。14~19欄が外国人に関する情報を書く場所なので、必要事項を忘れずに記載しましょう。

外国人が雇用保険に加入していない場合は、外国人雇用状況届出書(様式第3号)の提出が必要です。

各種社会保険の手続きをする

健康保険・厚生年金保険の手続きに関しては、日本人の従業員が退職したときと同様です。「被保険者資格喪失届」を、企業を管轄する年金事務所へ退職から5日以内に提出します。

関連記事:「脱退一時金とは?対象となる外国人や手続きについて解説【行政書士監修】

参照元:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について

出入国在留管理局に受入状況の届出書を提出する

雇用していた外国人が退職した場合、企業(所属機関)は、ハローワークへの届出とは別に、出入国在留管理局へ「所属(活動)機関に関する届出」を行う義務があります。

これは、出入国在留管理局が中長期在留者(就労ビザを持つ外国人など)の活動状況を正確に把握するために、出入国管理及び難民認定法で定められている手続きです。外国人が離職した日から14日以内に提出します。「出入国在留管理庁電子届出システム」を利用したオンラインでの届出も可能です。

特定技能外国人や技能実習生が退職する際の就労ビザは?

「特定技能1号」や「技能実習」のビザで日本で働いていた外国人は、日本で働ける期間に制限があります。その期間を過ぎたあとも日本で働くためには、就労ビザを変更しなくてはなりません。

「特定技能1号」のビザを持つ外国人は「特定技能2号」やほかの就労ビザへ、技能実習生は「特定技能1号」へ移行するルートがあります。いずれにしても、就労ビザの変更には企業の協力が必要不可欠です。外国人が継続して自社で働きたい意思を示したら、スムーズに手続きが終えられるようサポートしましょう。

就労ビザを持つ外国人本人が退職する際に行うべき手続き

技人国ビザを持つ外国人本人が退職時にする手続きも企業として把握しておきましょう。なお、「転職」と「帰国」でそれぞれ手続きは異なります。

転職する際の手続き

日本で所属する場所が変わったことを届け出る「所属(活動)機関に関する届出」が必要です。離職・再就職してからそれぞれ14日以内に、住居地を管轄する地方出入国在留管理局へ提出します。

母国に帰国する際の手続き

外国人が退職して母国に帰国する場合は、就労ビザに関する手続きは必要ありません。公共料金の解約や住居の退去、銀行口座の解約などやり残したことがないように、企業側からも確認するようにしましょう。

また、外国人が帰国する場合、これまで納付した年金の一部が返金される制度である「脱退一時金」の申請を行うこともできます。この制度があることを、外国人に案内しておくと親切かもしれません。

外国人採用に特化した人材紹介サービス、「WeXpats」では、人材の紹介だけでなく各種手続きに関する相談も対応可能です。

初めての外国人採用で不安のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

参照元: 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請 出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A

外国人が退職した際の就労ビザに関するFAQ

ここでは、外国人が退職したときの就労ビザに関してよくある質問にQ&A形式で回答していきます。

退職後一時帰国した場合再入国時の就労ビザはどうなる?

退職後一時帰国しすぐ戻ってくる場合、就労ビザは取り消しになりません。出国時の空港にて「みなし再入国許可」の申請を行えば、再入国許可の申請は不要です(有効期限は1年)。ただし、失業状態のまま3ヶ月以上海外にいると在留資格取り消しの対象になります。転職先を決めてから入職までの間に帰国するのがスムーズでしょう。

退職後就労ビザから留学ビザに変更はできる?

外国人が就労ビザを留学ビザに変更し、日本の専門学校や大学に通うことは可能です。在留資格変更許可申請の際は、今までの経歴や就労ビザで勤務していた際の資格該当性が審査されます。また、学費や在学中の滞在費を工面できるだけの経済力があるかどうかも審査対象です。

就労ビザを持つ外国人は退職後にアルバイトとして働ける?

就労ビザで働いていた外国人が自己都合で退職した場合、アルバイトすることは認められていません。一方で、会社都合での解雇や雇い止めにあった外国人は、「資格外活動許可」を申請すればアルバイトしつつ就職活動をすることが許可されます。

退職後に転職できなかった場合就労ビザはどうなる?

自己都合で退職した場合、3ヶ月以上転職先が見つからなければ、特別な事情がない場合を除いて就労ビザは取り消しになる可能性が高いでしょう。会社都合による解雇や雇い止めに遭った場合は、在留期限まで就職活動ができ、状況によっては特定活動ビザが許可されることもあります。

退職後に就労ビザを延長することはできる?

自己都合での退職後すぐに就労ビザの期限が切れる場合、延長は基本的に不可です。なお、やむを得ない事情がある場合、短期滞在ビザへ変更申請をすれば、就職活動のために90日以内の在留が認められる可能性があります。

まとめ

就労ビザは退職後すぐに失効にはなりません。外国人が退職する前に入管法上のルールをしっかり説明できると良いでしょう。

また、退職した外国人から、何年も経った後に「源泉徴収票」「在職期間の証明書」を発行してほしいと連絡が来ることがあります。これらの書類が永住者ビザの審査に必要な場合があるからです。

退職後就労ビザがどうなるかは、外国人にとって大きな心配ごとです。退職後の就職活動やその後の生活に余計な不安がないように、手続きと就労ビザの基本を抑えておきましょう。