
執筆: Leverages Global編集部 (ライター)
監修: 濱川 恭一 (行政書士)
特別永住者の採用にあたって、永住者との違いが分からずお困りの担当者の方もいるでしょう。特別永住者は永住者と同様に、在留期間や就労に制限がないのが特徴です。一方で、特別永住者は在留カードではなく、特別永住者証明書を所持しているという違いがあります。 この記事では、在留資格「特別永住者」の概要や歴史的背景などについて解説。「永住者」「定住者」「帰化」との違いや、国内の各永住者数の推移も紹介します。雇用の際の注意点についてもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
特別永住者とは
「特別永住者」とは、入管特例法で定められた特別な在留資格を指します。第二次世界大戦中に日本国籍を有し、終戦後に国籍を離脱した在日韓国・朝鮮・台湾人やその子孫が主な対象者です。
歴史的背景
第二次世界大戦中、日本は台湾や韓国、満州(現在の中国の一部)などを統治下に置いており、これらの国・地域から日本本土に移り住む人や仕事を求めて来る人がいました。
その後、第二次世界大戦が終結し、1951年にサンフランシスコ平和条約が締結。平和条約によって、日本の統治下にあった国・地域が独立したり他国の領土となったりしたため、多くの人々が日本国籍を離脱しました。これらの人々を「平和条約国籍離脱者」と呼びます。
しかし、日本本土で暮らしていた平和条約国籍離脱者の祖国への送還は難航し、主に韓国・朝鮮・台湾の出身者とその子孫の一部は日本にそのまま在留することになりました。
平和条約国籍離脱者とその子孫には、祖国の国籍を有したまま日本で暮らし続けられるよう在留資格「特別永住者」が与えられており、2025年6月末時点でその総数は270,292人に上ります。
子孫が続く限り原則何世代も続く
特別永住者の在留資格を有することに世代の制限はありません。子孫が続く限り何世代にも渡って引き継がれるのが原則です。戦後に平和条約国籍離脱者となった人々を1世と呼び、その子ども世代を2世、孫世代を3世、以下4世・5世と続いていきます。
参照元:出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」
「特別永住者」「永住者」「定住者」「帰化」の違い
「永住者」「定住者」「帰化」は特別永住者と混同されやすい言葉ですが、実際は全く異なる意味をもつ在留資格です。外国人雇用を行う企業は、それぞれの意味についてきちんと把握しておきましょう。
特別永住者と永住者の違い
在留資格「特別永住者」「永住者」の共通点は、就労や在留期間に制限がないことです。
しかし、在留資格に関する法律や取得要件など異なる点もあります。以下で詳細を解説するので、外国人を雇用する前にぜひチェックしてみてください。
在留資格に関する法律
「特別永住者」と「永住者」の相違点の一つは、在留資格に関する法律です。特別永住者には「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」、永住者には「出入国管理及び難民認定法」が適用されます。
在留資格の取得に必要な要件
在留資格を取得できるのは特別永住者の場合、平和条約国籍離脱者かその子孫のみです。永住者は、「原則10年以上日本に継続して居住している」「素行が善良である」「経済状況が安定している」などの要件があります。
特別永住者と定住者の違い
在留資格「特別永住者」と「定住者」の大きな違いは、在留期限の有無です。出入国在留管理庁によると、「定住者」に該当するのは「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」となっています。具体的な在留期間は、5年・3年・1年・6ヶ月のいずれか、もしくは法務大臣が個別に指定する5年を超えない範囲です。
また、「特別永住者」は限られた人々しか取得できないのに対し、「定住者」は定められた要件を満たせば取得できる可能性があります。
特別永住者と帰化の違い
「特別永住者」と「帰化」の違いは、日本国籍の有無です。
特別永住者は日本での居住が認められていますが、国籍は日本ではありません。一方、帰化は「外国人が日本国民になること」を指すため、帰化許可申請を認められた外国人が有するのは日本国籍です。
なお、特別永住者が帰化する場合は審査要件が緩和されており、日本人との結婚や就職のために帰化許可申請を行う人もいます。なかには、「自身のルーツを大切にしている」「現在の国籍で不自由がない」といった理由から特別永住者でい続ける人もいるようです。帰化しない理由は人それぞれでパーソナルな要素が強いため、安易に質問するのは避けましょう。
参照元: 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和7年10月30日改訂)」 出入国在留管理庁「在留資格『定住者』」
特別永住者は退去強制となる条件が緩和されている
特別永住者は本人や父母、祖父母などが日本国籍保有者であった背景をもつため、退去強制(強制的な国外追放)となる条件が緩和されています。
特別永住者以外の外国人が退去強制となる要件は入管法で細かく定められているのに対し、特別永住者の場合は入管特例法に記載のある下記4項目のみです。
- 内乱または外患に関する罪で禁錮以上の刑が科せられた場合(執行猶予がつく場合など例外あり)
- 国交に関する罪で禁錮以上の刑が科せられた場合
- 外国の元首、外交使節、公館に対する犯罪により禁錮以上の刑が科せられ、かつその犯罪によって外交上重大な利益が害されたと認定を受けた場合
- 無期または7年を超える懲役や禁錮刑が科せられ、かつその犯罪によって日本の重大な利益が害されたと認定を受けた場合
参照元:e-Gov法令検索 「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)」
このように、日本の治安や利益、外交に関わるような重大な罪を犯した場合に退去強制の対象となります。
特別永住者の再入国許可の有効期間は6年
日本に在留している外国人が再入国を前提に一時出国する場合、あらかじめ再入国許可の申請が可能です。出国に先立って申請しておけば、入国・上陸の手続きを簡略化できます。
有効期間内に何度でも使用できる数次有効の再入国許可の場合、有効期間は特別永住者であれば6年、ほかの在留資格であれば5年が最長です。
「みなし再入国許可」という制度もある
「みなし再入国許可」という制度では、特別永住者が出国から2年以内に再入国する場合は再入国許可申請が原則として不要になります。ほかの在留資格であれば、出国の日から1年間がみなし再入国許可の有効期間です。
再入国許可・みなし再入国許可のいずれも、特別永住者のほうが上限が1年長いという特徴があります。
参照元:出入国在留管理庁「再入国許可申請」
特別永住者証明書について
特別永住者に交付されるのは在留カードではなく、「特別永住者証明書」です。2012年に「外国人登録証明書」が廃止されて以降、特別永住者には「特別永住者証明書」、それ以外の中長期在留者には「在留カード」が交付されるようになりました。
特別永住者証明書は在留カードと見た目が似ていますが、常時携行の義務がないなど在留カードと異なる点もあります。
記載項目
特別永住者証明書の記載項目は以下のとおりです。
- 特別永住者証明書番号
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
- 住居地
- 有効期間
- 顔写真
- 住居地を変更した場合に記載される新住所(裏面)
- 交付年月日(裏面)
なお、顔写真が載るのは16歳以上です。
引用元:出入国在留管理庁「特別永住者の制度が変わります!」
有効期間
特別永住者証明書には有効期間があり、満了日までに更新する必要があります。所有者が16歳未満の場合、有効期間は16歳の誕生日までです。ただし、特別永住者証明書が2023年11月1日以降に交付された場合は、16歳の誕生日の前日までとなります。
所有者が16歳以上の場合は、申請・届出後から数えて7回目の誕生日までが有効期間です。つまり、16歳以上の特別永住者は、7年ごとに新しい特別永住者証明書を取得します。
更新手続き
特別永住者は、特別永住者証明書の有効期間が切れる前に更新手続きを行わなければなりません。ここでは、具体的な手続き内容について解説します。
申請者と申請先
申請者は、大きく分けて以下の3種類です。
- 申請人本人(16歳未満の者を除く)
- 代理人
- 取次者
代理人は、申請人本人が16歳未満の場合や疾病などによって自ら出頭できない場合、申請人本人から代理を依頼された場合に、同居する16歳以上の親族が代理権をもちます。 取次者は、申請人本人の法定代理人もしくは依頼を受けた弁護士・行政書士です。必要に応じて出入国在留管理庁長官が適当と認める者も、取次者に定められます。
特別永住者証明書の申請先は、本人が居住する市区町村の担当窓口です。
申請期間
特別永住者証明書に記載されている有効期間満了日の2ヶ月前から、満了日当日までが申請期間となります。有効期間満了日が16歳の誕生日の場合は、誕生日の6ヶ月前から申請可能です。
なお、2023年11月1日以降に交付された特別永住者証明書では、16歳の誕生日の前日が満了日となるため、誕生日前日の6ヶ月前から申請期間となります。
必要書類と手数料
更新手続きに必要な書類は、以下のとおりです。
- 特別永住者証明書有効期間更新申請書
- 写真1枚(提出日前の6ヶ月以内に撮影されたもの)
- パスポートの提示
- 現在所有している特別永住者証明書
取次者が代わって申請する際は、上記のほか身分を証する文書などの提示が求められます。また、申請期間内の申請が難しく期間前に申請を行う場合は、必要に応じて当該事情を示した資料が必要です。申請時に手数料はかかりません。
在留カードとの違い
在留カードと特別永住者証明書の違いの一つは、証明する対象です。
在留カードは、外国人が在留資格と在留期間を有し適法に在留していることを証明します。一方、特別永住者証明書は特別永住者の法的地位などを明らかにするものです。在留カードではさまざまな種類の在留資格を証明できますが、特別永住者証明書の場合は特別永住者のみに限られます。
また、特別永住者証明書は在留カードと異なり、常時携帯する義務がありません。本来、日本で在留資格を得て滞在する16歳以上の外国人は、在留カードの常時携帯が義務です。しかし、特別永住者証明書については「歴史的経緯に鑑み、特別の配慮が必要」という理由で、携帯義務は課されていません。そのため、面接や雇用契約締結に際して特別永住者証明書が必要な場合は、事前に連絡しておくのが親切です。
なお、特別永住者証明書で確認できる内容の多くは住民票や運転免許証等でも確認できます。企業として把握したい内容が住民票で事足りる場合、むやみに特別永住者証明書の提示を求めるのは避けましょう。詳しくは「特別永住者証明書の提示を求めるのは必要最低限にする」の項目でも解説しています。
参照元: 出入国在留管理庁「特別永住者の制度が変わります!」 出入国在留管理庁「特別永住者証明書の有効期間の更新申請」
国内の特別永住者数と永住者数の推移
ここでは、出入国在留管理庁の資料をもとに、過去数年分の国内の特別永住者数と永住者数の推移をまとめました。
| 2021年末 | 2022年末 | 2023年末 | 2024年末 | 2025年6月末 | |
| 特別永住者 | 296,416人 | 288,980人 | 281,218人 | 274,023人 | 270,292人 |
| 永住者 | 831,157人 | 863,936人 | 891,569人 | 918,116人 | 932,090人 |
参照元:出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について【第3表】在留資格別 在留外国人数の推移」
上記のデータを見ると永住者が増加傾向にある一方で、特別永住者数は年々減少していることが分かります。理由として、特別永住者が「帰化」によって日本国籍を取得したり、少子高齢化が影響していたりすることが挙げられるでしょう。
参照元:出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について」
企業が特別永住者を雇用する際の注意点
特別永住者は歴史的背景から日本での在留を認められている外国人のため、企業で雇用する場合はさまざまな配慮が必要です。良好な信頼関係を築くためにも、適切な対応方法を把握しておきましょう。
外国人雇用状況届出の提出は不要
通常、外国人雇用を行う企業はハローワークに「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります。しかし、特別永住者は当該届出の対象ではありません。ほかの外国人と同じように手続きを行う必要がないため、覚えておきましょう。
特別永住者証明書の提示を求めるのは必要最低限にする
企業が外国人を雇用する際は在留カードを確認するよう義務づけられていますが、特別永住者証明書は確認の必要がありません。
先述したように特別永住者証明書は常時携帯する義務がないため、むやみに提示を求めるのは失礼にあたる可能性も。特別永住者には歴史的背景があることを理解し、提示してもらうのは必要最低限にするのが望ましいでしょう。
通称名と本名の扱いに注意する
特別永住者には、本名のほかに日本で生活する際に使う通称名があります。
通称名は特別永住者証明書に記載されませんが、役所に登録されている場合は法的効力があり、公的手続きへの利用が可能です。たとえば、住民票に載っている通称名であれば、健康保険の資格確認書に記載できる健康保険組合もあります。
そのため、通称名と本名どちらでの就労を希望するかについて、雇用前に確認しておきましょう。また、就業規則で通称名の利用を禁止している場合は、本人に事前に説明するのがおすすめです。
保険や税金は日本人と同様に手続きを行う
特別永住者が加入する各種保険の手続きや税金の控除は、日本人と同じように行います。
外国人採用支援サービス「Leverages Global」では、在留資格や関連手続きについてご相談いただくことが可能です。外国人雇用に不安を感じている方も安心してご利用いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
海外出張の際はビザが必要な場合がある
日本のパスポートをもっていれば、ほとんどの国に短期滞在が可能です。つまり、短期間の出張であれば多くの相手国でビザを取得する必要がありません。
しかし、特別永住者の国籍は日本ではないため、海外出張に行く際はビザの取得が必要な場合があります。相手国のビザを取るには、本国(母国)からの書類取得や審査に日数がかかるので、この点を考慮しておきましょう。
特別永住者だと知らずに雇用してしまった場合は?
特別永住者のなかには、日本で生まれ日本で育った人も少なくありません。日本語は完璧であり、履歴書等にも通称名を使用していれば、外見的にも外国人だとわからない場合もあるでしょう。このため、「外国人だと知らずに採用していた」というケースも考えられます。
結論としては、特別な対応は必要ありません。
これまで説明したように、特別永住者は就労に関する制限がないため、日本で働くことに関しては日本人と同じ法律が適用されます。そのため、特別永住者だと知らずに雇用したとしても特に問題はありません。
まとめ
在留資格「特別永住者」には、日本の歴史的背景が大きく関わっています。企業が特別永住者を雇用する際はルーツを正しく理解し、適切な配慮を行う必要があるでしょう。
また、特別永住者はハローワークへの届出が必要なかったり、特別永住者証明書の確認が必須でなかったりと、ほかの在留資格の外国人とは異なるポイントが多々あります。特別永住者を雇用する際は、相手に失礼のないよう事前に対応方法を把握しておきましょう。

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